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虫捕りの腕に自信あり

1970年代、子供の遊び場はもっぱら外。
家の中で遊ぶことはなかった。
遊びの種類はやはり野球。
今ほどサッカーはメジャーなスポーツではなかった。

その次は何だっただろうか。
夏の虫捕りだろうなぁ。

セミや蝶々は獲れて当たり前。
友達に自慢できるのはカマキリかトノサマバッタ。
草むらの中を探し回ってやっと捕れるからだ。
もしヤンマが捕れれば、その夏のヒーローになれた。


ぼくが父親になってからなある夏の日、二人の息子たちから虫捕りをしようと誘われた。
腕に自信があったぼくは、すぐさま出動。

近所の公園に行くと、セミならいくらでも捕れた。

息子たちに自慢したいぼくは、カマキリをゲットしようと草むらへと侵入。

それがなかなか見つからない。
あの頃と同じように、草をかき分け、かき分け、探し回っているうちに時間を忘れてしまっていた。

「おとうさーん、帰ろー!」
声のする方を見てみると、息子二人が地面に座って退屈そうにしていた。

やってしまった。
ぼくが子供に戻ってしまっていた。

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昭真(shoshin)
「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。