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横入り(よこはいり)

誰もが横入りをされたことがあるだろう。

ぼくは電車待ちのホームでそれをよく経験する。

電車がホームに入ってきて扉が開くと、皆整列して待っているのに、するするっとどこからともなくやって来て、列の横から少しの隙間を狙って電車の中に入って行こうとする。

"ちゃんと並んでください"、と何度か注意したことがある。

こんな経験は誰もがあるんだろうな。

しかし、横入りをしたことがない人っているのだろうか。

列に並ぶのに、ほんのちょっとしたタイミングのずれで、故意じゃないのにやってしまったとしても、横入りに違いはない。

整列するルールがない時は、そんなことがあるんだろうな。

例えば、電車を降りる時。

人は扉の前に群がるけど、列は作らない。

遠慮して後ろの方にいると、遠慮なくぼくの前に人が入ってくる。

その人たちは横入りしているという観念がない。

例えばエスカレーターに乗る時。

とりあえず自然発生的に列はできる。

ぼくは気を遣ってその列の後ろに並ぶが、横から遠慮なく人が列の中に入ってくる。

その人たちも横入りしているという観念がない。

エスカレーターの前に並びなさいと言うルールはないから。

明確にルールが定められてなければ、誰だって人を押し除けてでも先に行きたい。

それに並んでいる人が目に入っているはずなのに、自分だけよければいいと思っていることは確かだ。

気を使っている方がむしろ意味がないのかもしれないな。

理由はどうあれ、横入りされた方は憤りが残る。

故意じゃなかったとしても、横入りした人がしめしめとその場を立ち去っていくように思える。

身勝手な他人に、気使いをしている方が嫌な気持ちにさせられるのはやっぱりおかしい。

やはり思いやりが必要だ。

人を思いやる気持ちさえあれば、横入りなんて縁がなくなる。

そんなことを言っているぼくも、気が付かないうちに、そんな横入りをやってしまっているかもしれない。

やはりぼくにも思いやりが必要だ。


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昭真(shoshin)
「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。