山の向こうの空中に人が浮かんでる
我が家の窓から山が見える話は何度かさせていただいた。
その山の景色の中に鉄塔が見える。
高さは30mくらいだろうか。
山の中にニョキっと突っ立っている。
ある日、何気なく窓の外を見ていると、鉄塔の上に何かがうごめいていた。
カラスにしては大きい。
糸が切れた凧が風に吹かれてたどり着いたのだろうか。
それにしてはモゴモゴと動いている。
よーく見てみるとそれは人だった。
電線の点検をしていたのだろう。
どうやって登ったのだろうか。
山の中だからクレーン車なんて近付けない。
自力で梯子を登ったのだろうが、一般の人が登れる高さじゃない。
てっぺんに辿りつく前に手足が疲労し、恐怖心で動けなくなる。
驚くべきことは、これだけでは止まらない。
なんとミノムシみたいに電線からぶら下げた袋に下半身だけ入れて、電線を渡り始めた。
まるで空中に人間が浮いているようだ。
世の中にはとんでもない仕事がある。
高所恐怖症のぼくにはとても務まらない。
「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。