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その昔、どこにでもあった職人技(駅員編)

電車の改札を抜ける時、改札機があって切符や定期券をその機械に通せば自動的にチェックしてくれる。

それでも改札機の前で人が渋滞することがある。

40年以上前、それを人がやっていたことを、現代の若い人たちは信じるだろうか。

人が道具を使って切符に穴を開ける。

調べてみると改札パンチというらしい。

手のひらサイズの大きさで、切符を挟んで穴を開ける道具だ。

いつも銀色だったことを覚えている。

駅員さんが改札に立って、一人一人の切符に穴を開ける。

乗客が少ない時はいい。

しかし通勤ラッシュの時は別だ。

尽きることなく乗客が改札を通過する。

それを恐ろしいスピードで穴を開けていく。

あれは神業だった。

一瞬、乗客の波が途切れると、駅員さんは感覚が鈍らないようにするのか、その器具で何度も何度も空打ちしていた。

もう職人だ。

ぼくはその光景をいつまでも見ていることができた。

「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。