転売規制、その先にあるもの:1 はじめに
怖いのはコロナ・ウィルスか、それとも転売ヤーか(筆者撮影)
本稿を書くには、遅きに失した感がある。とはいえ、インターネット空間の整備がますます進展し、様々な側面で情報化社会への転換が試されていく中で、その技術や仕組は、時に既存の制度を崩壊させ、時に既得権益層からの反発を受けることが予想されるが※1、転売問題は、その試金石となる可能性を多分に秘めていると思う。なので、現時点での考えをまとめておくことにした。
なお、転売と情報化社会に関しては、すでに弁護士の福井健策が「情報社会のかなり根幹に触れる問題だ」と指摘しているが※2、法律家であるだけに、転売を如何に規制するかという方向に重きが置かれているように思う。一方、経済学者の塚崎公義は、高額転売が表面化しはじめた段階で、「マスクの高値転売は不愉快だが、禁止できない理由」を発表し、転売は認めざるを得ないことを指摘している※3。本稿も、基本的に塚崎の論旨の右に出るものではない。が、その後、法律による転売の規制が現実化したこともあるので、それに伴い生じたことに目を向けながら、この問題に迫ってみたい。
「転売規制、その先にあるもの:2 転売は悪いことなのか」へつづく
※本稿は、合同会社Fieldworkerが運営するウェブサイト「Fieldworker's Eyes」に寄稿したものの転載です。そこでは、すでに全文が公開されています。長文なので、noteには、6回に分けて転載する予定です。なお、オリジナルでは、注釈も見ることができます。
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