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仁尾智(におさとる)
2016年10月15日 20:10
「○と△と□、どの形がお好きですか?」電車で隣り合わせた初老の男性が、突然僕に尋ねてきた。僕はとっさに質問の意味を理解できず、何も答えることができなかった。ただその男の顔を間の抜けた顔をして眺めることしかできなかった。男はそんな僕を見て、穏やかに微笑んだ。その笑みは、いたずらっ子のようでもあり、照れくさそうでもあり、戸惑っている僕の様子に満足しているようでもあった。その顔がとて