朝を迎える
淡くて澄んだ朝には苦い珈琲が似合う。
名付けようのない感情に溺れてしまいそうな
そんな夜を、少し恋しく思ってしまうような
そんな朝だった。
言いたいことがたくさんあった。
伝えたいこともたくさんあった。
なにひとつ言葉に出来なくて
なにひとつ上手に伝えられなかった。
年相応と言えるくらいには
それなりに恋愛をしたと思う。
酸いも甘いも、未来も夢も、
貴方のことも、僕のことも、
ぜんぶ上手に誤魔化したくて
必死に取り繕った“またね”が
つまらなさそうに溶けた夜に
似合う言葉はなんだったのか
未だに分からないまま
答え合わせをする術も知らないまま
僕たちは変わらない朝を迎える。
もしも、“またね”が叶ったら
“いま、幸せ?”って訊いてみよう。
「僕たちは変わらない朝を迎える」
という映画を観た。その感想文。