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散文詩『雨に濡れて』

少しだけ、身体が冷える


傘もなかった
何もなかった

突然起きる出来事に
僕らはただ、立ち尽くすしかなくて

ものすごい音と
たくさんの水滴と
あまりの勢いに

僕の中にあった「何か」も
流されてしまったような、気がした


どうすることもできないことが、たまにある

そういう時、為す術もなく、時間は過ぎていく

心も身体も、そのままに

そんな時に、ふと
自分の中で蔑ろにしていたものに気付いたりして

どうしてか、少し、哀しくなって

哀しさのあとに、なぜか、愛おしさがやってきて

見上げた空が泣いていることを通じ
僕は、自らの「生」を感じる


いろいろなことが、ある
それでいい
それがいい

僕はまだ、ちゃんと
息をしている

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