【ボロボロになったサービスデザイン vol.1】
「うちは、スタッフみんながデザイナーだよ。
コーダーもデザイナーだし経理スタッフだってデザイナーだ」
こんな話を随分と前に最初にした時、ちょっと不思議な表情をされたし、
今話しても、なんだかよく分からない世界の話をしているみたいに捉えられることもあります。
けど実はこの考え方、
私のオリジナルの考えでも新しいものなんでもなくって、
元々はデザイン思考の民主化に貢献した、
アメリカのIDEOというデザイン・コンサルティングオフィスが発祥の考え方です。
一般的にアイデアを出すのって、企画に通じた専門的な人とか、
それこそ一般的な意味での「デザイナー」とかに期待が集まりがち。
なのですが、
そんな「ちょっとヤバい人」「頭の中どうなってるのな人」「未来が見えてるのかしらな人」
じゃない専門職以外の人でも、
創造性を発揮できるメソッド、それが「デザイン思考」で、
それらを活用し、誰かのために何かを創る人のことを「デザイナー」と呼んでいるんですね。
つまり、
すべての人はデザイン思考を使えばデザイナーになり得ると。
んで、
弊社IdeaCraftはデフォルトで「デザイン思考」をインストールできるように、オンボーディングやOJTが組まれているので、一番最初のようなセリフになったわけです。
「デザイン思考」の特徴として、
「人間中心(ユーザー本位とか顧客本位とかも言われる)にものを考えると、新しいモノ・体験・システムができるよね!」
という人を中心軸とした発想方法があります。
この考え方がIDEOなどの貢献により導入された結果、
硬直化した日本国内の様々な組織に対して、一定のインパクトがありました。
硬直化した組織が何かを実行していこうとする時は、
「ネゴシエーション」か「経験則」、
言葉を替えると、交渉か前例踏襲に頼りがち。
もちろんそれらも有効な手段ですが、
これ"だけ"だとイノベーティブな発想にはつながりにくいし、
何より肝心の「相手がいない」サービスになってしまうんです。
なので、なんだかイケてない感じのサービスを作っちゃうってことにつながりがち。
そんな中、
人を起点とした新しいデザイン思考が、
閉塞的な状況を打破するのに役立ったわけです。
なんせ全員デザイナーですからね。
そりゃアイデアもたくさん出るようになるよね。
さらに似たような言葉である「サービスデザイン」は、
アイデア出しだけでなく、
それらを実行可能なモデルにするまで構築していく価値を作っていく考え方なので、
「素敵な何か(ただし、言ってるだけ、作っただけ)」を、
より現実的に世の中に役に立つものにしていく、
実現可能性を高めてくれるように、仕組み全体をつくっていくのに役立ちます。
まとめると、
デザイン思考やサービスデザインが組み合わせると、
物事を本質的かつイノベーティブに、現実的に、進めていくことができるわけです。なので私も、THIS IS SERVICE DESIGN DOINGという本は随分と読み込みました。
行政をはじめとしたDXの取り組みも、実はその本質は人間中心にあると言われていて、
余談ですがデジタル庁のWebサイトのユーザビリティは、シンプルだけど割と評判いいですよね。
ただ、ですね、
このデザイン思考、ちょっと古くなってきています。
先述したデザイン思考の先駆者、アメリカのIDEOも日本撤退を発表しました。
とは言え、
「人間本位な考え方のデザイン思考」がダメになったわけでなくって、むしろ当たり前として捉えられるようになった、
それよりももっと発展的に課題を扱う必要がでてきた、
という風に捉える方が正解かもしれません。
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