なぜ年末年始は社員が辞めるのか
日ごろ、採用や退職のご相談をお受けしていると感じますが、年末年始は退職する人が増える傾向にあります。
「離職率を下げたい」という場合、多くの経営者は社員から退職の申し出があったときに慌てて給与の交渉などを始めるのですがそれでは遅いです。
社員の定着率を上げたり、退職時に会社も社員も気持ちよく分かれるためには普段の関わり方がとても大切です。
今回は、社員が辞めるのは年末年始が多い、ということについて考えていきたいと思います。
┃なぜ年末年始に辞めるのか
なぜ年末年始に辞めるのか、それは二つのケースが考えられます。一つは「賞与をもらってから退職しよう」というケース、二つ目は「新たな気持ちで新年を迎えたい」というケースです。
辞める方の立場で考えればどちらも気持ちは理解できますが、会社側の立場で考えるとどうにも納得できない気持ちもあるでしょう。
特に経営者としては「退職する人にまで賞与を支払わなくてはいけないのか?」ということに対して抵抗感を示す人は少なくありません。
しかし、ここで「退職する人には賞与は支払わない」というようなことをしてしまうと退職時のトラブルに発展するケースもあります。
未払い残業代を請求されたり年次有給休暇をすべて消化すると強硬されたり、労働関係法令で認められた労働者の権利を振りかざしてこられると事業主としては非常に弱い立場になるので注意が必要です。
┃賞与(ボーナス)をもらってから辞める
12月末を退職日として申し出があったケースでは「賞与をもらってから退職しよう」「どうせ辞めるなら賞与をもらってから辞めたい」という気持ちの表れととらえるのが自然です。
これを不満に感じる経営者は多く「退職(予定)者には、賞与を支払わなくてもいいか」という相談は多いです。
賞与を不支給にすることはできるか
結論から言うと労務トラブルに発展した際に経営者側がとても不利になる、ということができます。
一般的に賞与の性質というのは「過去(評価期間)に対する功労」と「将来に対する期待」の二つの要素があると考えられます。
退職時に不正が発覚した場合など、過去の功労を打ち消すような重大なことがあったということであれば不支給ということも考えられます。
しかし、会社と社員で争いになった場合には会社側がかなり不利であると考えておいた方がいいでしょう。
賞与を減額することはできるか
賞与に対する評価や制度設計、就業規則(賃金規程)の整備がしっかりとされており、「過去(評価期間)に対する功労」と「将来に対する期待」の二つの要素に基づいて支払うことが明確になっている場合であれば「将来に対する期待」は無いという意味で一部、減額することは考えられます。
それまで経営者が適当に賞与の金額を決めていたり、なんとなく「給与の○箇月分」などと支給していたりした場合には、その時になって「将来に対する期待の部分は減額する」といってもそれは通用しないと考えた方がいいでしょう。
┃新たな気持ちで新年を迎えたい人も
賞与をもらってから退職したい、そういう気持ちは社員側の立場で考えれば理解できると思います。あとは、12月末で退職をして新年は新たな気持ちで迎えたいということもあるでしょう。
いずれにしても、新しい気持ちで新年を迎える場所は貴社ではないと判断されてしまったということについては、真摯に受けとめる必要があるかと思います。
┃まとめ
今回は、社員が辞めるのは年末年始が多い、ということについてお伝えしました。
既に退職の申し出を受けているケースも賞与を支払ってから言われるケースもあると思います。
もし、そうなってしまったら、それはもう仕方のないこととして変に最後にジタバタして関係性をこじらせるのではなく次へのステップとしてとらえていくことをおすすめします。
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