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熊本県産アサリ~産地偽装の代償

あなたは、家族や自分が食べている食品を買う時には、何を重視して選んでいますか?

私は食べ物を買う際には、消費期限だけでなく、成分やカロリー、オーガニック、生産地、遺伝子組み換えの有無等々をチェックするようにしています。最終的に何を買うかは値段との兼ね合いになるのですが、それでも少しでも健康のことを考え、安全安心を得たいとの思いからです。

昨日、熊本県産と表示されているアサリ貝のほとんどが外国産であることを、農水省が公表しました。調査によれば、熊本県産として販売されている97%に外国産が混入している可能性が高く、一昨年の推計では2,485トンが熊本県産アサリとして販売されていたのに対し、実際の採取量は約20トン、なんと100倍以上が偽装ということになります。はっきり言って滅茶苦茶です。

もともと、有明海は豊饒の海といわれるほどありとあらゆる魚貝類が採れていましたが、最近では、アサリやハマグリ、タイラギなどの貝類はほとんど採れなくなり、ノリ養殖が漁業の中心になっていました。そんな中、数年前にある漁協にお邪魔して、アサリの漁場を復活させようと懸命に努力する現場を視察する機会を得ました。

天然の稚貝を産卵するまで成長させようと砂利の入った網を海の中に設置し、鳥による食害を防ごうと干潟にネットを張ったり、カキを養殖するカゴを使って生育に取り組んだり。試行錯誤しながらも徐々に成果を上げておられ、出荷できる日を楽しみにしておられました。今回の偽装行為は、まさにこのような地道な努力を踏みにじる行為であり、残念でなりません。

そもそも、なぜ国産と外国産ではそんなに値段が違うのか。アサリに関しては、成分や安全性にあまり違いがないのではと思いますが、おそらくその差は信頼なのでしょう。信頼をお金で買っていたわけですが、その信頼が裏切られました。代償は計り知れませんが、この問題を根絶するためには代償を惜しむべきではないのだと思います。一度失った信頼を取り戻すのは容易なことではありませんから。

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