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【授業紹介】実習・鏡編

こんにちは

皆さまこんにちは!ナカモリです。8月に入って前期の授業も全て終わり、今は一日も早く夏休みに突入するべく、レポート執筆に励んでいるところです。

ところで、今週は、東日美研究室の先輩であり、現在は東京大学で中国美術史を専門に研究されている、塚本麿充先生をお招きして行われた集中講義を受講しました。
講義を通して、中国で作られた作品が日本を始め東アジア全体に伝播し、各地の美術が発展した様子を知り、日本の美術品を研究時には、日本だけでなく周辺の国々にも目を向ける必要があると強く感じました。他にも様々に新しい事を学び、充実した5日間になりました!


今回の話題

さて、今回は、前期の授業紹介の最終回として、鏡について取り上げた実習の様子をお伝えします!
授業の前半では、鏡の基礎知識について、杉本から講義がありました。以下、授業中の説明を抜粋してご紹介します。

東洋において、鏡に付与された宗教性や信仰性は多岐にわたります。
例えば、鏡によって反射された光は、魔を退ける効力を持つとされていました。また、鏡の反射光は、通信手段として狼煙と同様に用いられることもあったようです。

加えて、己の姿を写す鏡は、自分の分身と捉えられました。このことから、鏡を自分の身代わりとして池に投げ入れたり、神社に奉納したりして、邪を祓う風習が生まれたそうです。

鏡。文様がある面の裏側が、顔を写す面です。


このような性格を持っていた鏡は、古代から江戸時代まで、長きにわたって作り続けられました。紙や絹に描かれた絵画とは異なり、金属製の鏡は土中に埋まっても残り続けます。故に、鏡背面の文様を見れば、その鏡と同時代に描かれたけれども、今は失われてしまった絵画の様子を知ることにつながるのです。しかし、杉本によれば、鏡や、鏡と絵画を結びつけての研究はほとんど行われていないのが現状だと言います。


湿拓をとる

鏡の性格や研究の重要性について学んだ後は、鏡の文様の拓本をとる実習をしました。
前回ご紹介した刀装具の回では、鐔が錆びて傷まないように、水を使わない乾拓を用いましたが、今回は湿拓の手法で文様を写し取りました。

濡らした布巾を押し当てて紙と鏡を密着させ、文様の凹凸を浮かび上がらせます。
文様が浮かび上がったら、タンポに墨をつけたものをポンポンと押し当てて文様を写し取ります。


展示の工夫

湿拓で写し取った文様は、ハレパネ(のり付きスチレンボード)に貼り付けて、展示できるような形にしました。

ハレパネ(片方が接着面になっているパネル)を切り取っているところ。ポスターや作品解説をハレパネに貼って仕上げれば、専門の業者でなくても見栄えのする展示物を作ることが出来ます。
完成した作品はお互いに鑑賞しました!


授業のまとめ

実習の最終回では、これまでのふりかえりとして、受講生達が授業の感想などを発表しました。印象的だった受講生の言葉をいくつかご紹介します。

・ただ物に触れるだけでなく、それを作ったり使ったりした昔の人  
 の精神性についても知る事ができた。

・物を扱うときには、周りの目を気にせず、物と自分との1対1 
 の世界に集中すると良いのだと学んだ。日常中でもこの考えを  
 活かせる場面があり、自分を見つめるきっかけになった。

・皆が自分の考えを受け止めてくれるので、臆せずに発言でき
 た。もし「これは違うのではないか」と事に対しても、穏便か 
 つ建設的な話し合いで解決出来たのが良かった。

単に必要な技術を身につけるだけではなく、物との向き合い方や、物に込められた当時の人々の思いまでも実物に触れながら学べる機会は中々ないため、私も毎回の授業をとても楽しみにしていました。
また、今学期は「東北の画人たちⅠ」の展覧会が出来上がるまでの過程を、授業を通して近くで見たり、時には参加したりして、実際の学芸員の仕事を間近に知れたのも、貴重な経験となりました。

そして最後に。高校までとは違って、大学では答えの設定されていない問題に直面することが格段に増えます。この実習でも屏風の画題など、答えのない問題に取り組む機会がありました。その際に、問題に立ち向かうための考え方や周囲の人と協力する方法を、身をもって知ることができたと思います。実習で得たこの経験を、これからの勉強や社会でも活かして行きたいです。


ありがとうございました

今回は、鏡について学んだ実習の様子と、授業のまとめをご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
前期の授業紹介は今回でおしまいです。私たちが普段の授業で学んでいることを、なるべくそのままお届けできるよう努めたつもりなので、皆さまにも楽しんでいただけていれば幸いです。

それでは、今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
来週はよろずさんが記事を投稿します!


【参考】

展覧会特設サイト:杉本監修の展覧会「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島編~」についてはこちらからどうぞ!
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YouTube:講義を期間限定で配信中!杉本の特別企画もあり、美術史についてより深く学ぶことができます。そして何より、ここで取り上げた講義を実際に聞くことができ、気軽に体験授業を受けることができます!


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