伊岡 瞬

ぼちぼちはじめてみたものの、中断してみたものの、やっぱりぼちぼち再開してみます。。

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ほんとの話(Ⅳ) 『異音』

ほんとの話(Ⅳ) 『異音』   実話である。  子どもがまだ幼かったころ、バンガローに一泊し、そこを拠点に周囲を車で観光するという企画を立てたことがある。  こぢんまりとしていたが、一階にリビング、キッチン、シャワー設備などがあり、二階に4~5人のベッドがあった。あまり泊りがけの旅行などしなかった時期なので、子どもは喜んでいた。  運営側に事前了解を得て、昼前にチェックインし、外にある炊事場で子どもと一緒に米を炊いたり、カレーを作る予定だった。  受付で手続きを済ませ、バン

    • ほんとの話(III)  真夜中の「電話」

      狭くて汚くて散らかったアパートで、気ままに暮らしていたころの話。 夜中にジリジリと電話が鳴った。(固定電話) ベッドから手を伸ばして受話器を取った。ちなみに、ほとんどのものは手を伸ばせば届く範囲にある。 以下は、その際のやり取り。若い頃の記憶力はいいので、会話の内容はほぼ正確だと思う。 【前置き1】こちらは寝入りばなを起こされて多少寝ぼけている。 【前置き2】電話の向こうは、かなり艶っぽくてハスキーな(古いところでいえば青江三奈さんみたいな)声だった。 「もしもし」 「あ、

      • ほんとの話(II) 『ネスカ』

        ほんとの話(II) 『ネスカ』  ジェダイが活躍していた時代よりも、はるか昔のことだ。  高校一年の夏、バイト先で知り合った女の子と、仕事帰りに喫茶店に寄った。  いまのように、高校生が制服のまま気軽にコーヒーショップに入る時代ではなかった。スタバもドトールもサイゼリアもなかった。安っぽいビロード(ベロア)風生地の、尻と背中が当たる部分が擦り切れたソファがあるような「喫茶店」しかなかった。  そんな店に入るだけで、ちょっとした背伸びした気分になる時代だった。  それはともか

        • ほんとの話 (I)

          こういうものは、始めたらあるていど継続しないとならないだろうな(もしくはきっぱり一切やめるか)と思うので、きょうもまたどうでもいいような話をあげます。(I)とありますが、(II)があるかどうか不明です。 今回は実話です。 仕事場のマンションの懇親会の席で。 「よく、平日の昼間にお見かけしますけど、どんなお仕事をされているんですか?」 と質問を受けた。 時候の挨拶ぐらいの軽い口調だが、「一度直接聞きたかった」感がにじんでいる。 ここですらっと「作家です」と名乗れる人がうらやま

        ほんとの話(Ⅳ) 『異音』