露朝の「軍事同盟」 中国は冷淡?
東アジア情勢で他にも書くべきニュースはあるのですが、もう少しだけ、プーチン大統領と金正恩総書記の新車でのドライブ…ではなく、ロシアと北朝鮮の新たな条約について。
日本や韓国、それにアメリカなどの各国政府は今回の露朝「包括的戦略パートナーシップ条約」には懸念を強めているわけですが、もう一人の重要プレーヤー、中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席はどう受け止めているのか、とても気になるところです。
今のところ、彼が中南海のどこかで「いいぞ」と手を叩いて喜んでいないのは確かなようですが、そうした冷めた姿勢がどれだけ続くのかは分かりません。言い換えれば、露朝の「軍事同盟」に中国が近づかないよう、上記の3か国は戦略的に対応する必要があるように思えます。
「論評しない」を論評すると
習近平氏が露朝の蜜月ぶりからは距離を置いていることは、露朝首脳会談についてどう考えているのかと問われた中国外交部報道官が、「論評はしない」と素っ気なく答えたことに象徴されます。
中国外交部がHPに載せている20日の記者会見の記録をみると、韓国の聯合ニュースとトルコのアナドル通信の記者が立て続けに露朝関係について質問したのですが、林剣(りん・けん)報道官は2人に「論評しない」と繰り返しました。
その上で、「朝鮮半島問題に関する中国の立場は一貫して明確であり、それは、半島の平和と安定を維持し、問題の政治的解決を追い求めることが共同の利益に合致するものであり、我が方も各国と建設的な努力をしたい」という常套的なコメントを述べるにとどめました。
というわけで「論評しない」を論評してみるなら、中国指導部は①露朝の「軍事同盟」を肯定的に評価してはアメリカをはじめ西側からの批判材料を増やすだけなので静観したほうが得策、②感情の面でも北朝鮮がロシアに急接近するのは習近平指導部として面白くない、と受け止めているのでしょう。
その両面について、もう少し掘り下げてみます。
プーチン訪朝の同じ日に中韓は安保対話
6月18日の深夜、正確にいうと日付は替わっていた19日の午前2時ごろ、プーチン氏は平壌に到着しました。この人、相手国の首脳を待たせるのが大好きなことで有名です。今回も金正恩総書記は空港で相当長いこと待つ羽目になりました。
恒例の(?)プーチン氏遅刻より先立ち、18日の日中、ソウルには中国の孫衛東(そん・えいとう)副部長の姿がありました。この日に開催された、中国と韓国の「外交安保対話」に参加したのです。
首脳会談よりはかなりローレベルではありますが、平壌で露朝が急接近しようとしていた時、ソウルでは中韓が安全保障も含めて対話をしていたわけです。
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