池畑修平

ジャーナリスト/アジア・ユーラシア総合研究所理事。元NHK解説主幹、「国際報道」キャス…

池畑修平

ジャーナリスト/アジア・ユーラシア総合研究所理事。元NHK解説主幹、「国際報道」キャスター。ジュネーブ、北京、ソウルに駐在。東アジアのニュースを掘り下げています。著書「韓国 内なる分断」(平凡社新書)。修士(学術)。ikehata-planning@naver.com

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歴史は繰り返すか?文在寅に収賄疑惑

「なぜ韓国の大統領たちはみんな捕まるの?」 こういう質問、何度となく受けてきました。確かに、韓国の歴代大統領たちは辛い晩年を迎えた人が多いです。 ものすごく簡潔に振り返りますと、 李承晩(イ・スンマン)→激しい抗議活動に直面して亡命、 朴正煕(パク・チョンヒ)→在任中に暗殺、 全斗煥(チョン・ドゥファン)と盧泰愚(ノ・テウ)→退任後に逮捕、 盧武鉉(ノ・ムヒョン)→退任後に検察の取り調べを受けて自殺、 朴槿恵(パク・クネ)→弾劾されて逮捕、 李明博(イ・ミョンバク)→退任

    • 深圳の事件に関して

      この痛ましい事件について書くべきかどうか迷いました。 まだ犯人像がよく分からない上に、掘り下げることで日本側での狭隘な反中感情が高まりかねないリスクがあるためです。 ただ、中国政府のいう「個別の事案」などで済まされないのは明白なので、少し俯瞰してみることにしました。 (冒頭の写真はNHKのHPより) 「偶発的事件」と当局は強調するが… 言うまでもありませんが、児童を刃物で襲うような男は中国の人たちの中でも例外中の例外です。地元の深圳市民たちはじめ多くの中国人が事件を悲し

      • 「アルバニア決議」歪曲に抗って

        アルバニア…世界地図の中ですぐどこに位置するか思い浮かぶ方は多くないでしょう。ご参考に示すと、こちら ↓ です。 ギリシャの北西、イタリアの「かかと部分」の対岸ですね。 ちなみに、国旗はこちら ↓ なんだか強そう。 ここではアルバニアについて深掘りするわけではありません。 話は「アルバニア決議」という呼び方が定着した国連総会第2758号決議の解釈をめぐる攻防についてです。 1971年10月に国連総会で採択されたこの決議は、国連における「中国」代表権問題に決着をつけたこ

        • 誰へのアピール? ウラン濃縮施設

          9月13日、北朝鮮の国営メディアは金正恩(キム・ジョンウン)総書記がウラン濃縮視察を視察したことを伝えました。言うまでもなく、濃縮ウランは核兵器の材料となるものです。彼がこの施設を訪れたと公表されたのは初めてのこと。裏にどういう計算があるのでしょうか。 ズラリと並んだ遠心分離機 公にされた写真には数多の遠心分離機が写っています。遠心分離機はウランを濃縮する装置です。惜しげもなく披露したのは、自分たちの核戦力は充実していると誇示したいのでしょう。 施設内を一通り視察した正

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          深圳の事件に関して

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          岸田首相の訪韓をめぐるモヤモヤ(後)

          前回の記事では、岸田首相が韓国を訪問して尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談したことに関して、首相が日韓関係好転を自分の「レガシー」として語るには日本政府としての行動が足りないのでは、ということを書きました。 後編は、首相が訪韓する前日の話です。 「存在しない」とされていた「浮島丸」の名簿 9月5日、岸田首相がソウルに飛ぶ前の日に、日本政府は「浮島丸」の乗船者が記録された名簿など19点の資料を韓国政府に渡しました。 「浮島丸」は日本海軍の輸送船で、1945年8月24

          岸田首相の訪韓をめぐるモヤモヤ(後)

          岸田首相の訪韓をめぐるモヤモヤ(前)

          岸田首相が9月6日にソウルを訪れて韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談しました。 自民党総裁選への出馬を断念して退任間近…というタイミングで訪韓する意義を疑問視する向きもあるようですが、私は行って良かったと思います。 次の自民党総裁≒首相が誰になっても、日韓関係改善の流れを逆行させてはいけないと内外に示す効果があるためです。 ただ、2つほどモヤモヤとする事柄はあり、前後編でお伝えしたいと思います。 レガシー? 今回の会談、内容に関しては、初めの方に貼りつけたN

          岸田首相の訪韓をめぐるモヤモヤ(前)

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          窮地の「柯P」

          台湾社会が騒然となっています。 8月31日、最大野党・国民党に次ぐ勢力の野党・民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)党首が逮捕されたのです。 気さくな人柄と、ときには物議を醸す率直な物言いで知られる柯文哲氏。民進党と国民党の2大政党制の間に割って入る第3勢力・民衆党を率いて台湾政界で存在感を拡大させていました。しかし、今回の逮捕で彼の政治生命は急な終わりを迎えるかもしれません。 (冒頭の写真はhttps://japan.focustaiwan.tw/society/20240830

          窮地の「柯P」

          ラップと政治と陰謀論と

          いま台湾で若い世代の人たちを中心にけっこう物議を醸しているニュースがあります。中国の人気ラッパー、王以太(Wang Yitai)が9月中旬に台北でコンサートを予定していたのですが、台湾政府が不許可としたというものです。背景には、「あの呼称」があります。 (冒頭の写真は王以太のインスタグラムhttps://www.instagram.com/p/Cu164B_S2u7/より) 「中国台北」 ラップに疎いこともあって王以太は知らなかったのですが、けっこう世界的に有名です。今年

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          自爆ドローンvs"STAR WARS"レーザー

          このニュース、話題になっています。北朝鮮が自爆攻撃に用いるためのドローン(無人航空機)を初めて公開したのです。 金正恩(キム・ジョンウン)総書記がドローンを開発している「国防科学院無人機研究所」を訪れて自爆攻撃のデモンストレーションを自分の目で見て、満足の意を示したとのこと。 北朝鮮による新たな脅威が出現、というわけですが、韓国は韓国で新型兵器の投入を準備しています。なんでも、映画「スター・ウォーズ」シリーズに出てきそうなものだとか… 自爆ドローンの技術はロシアから?

          自爆ドローンvs"STAR WARS"レーザー

          尹錫悦の剛速球

          日韓の「8月ジャーナリズム」について記事を書いたりしたため、やや遅くなったのですが、今年の韓国「光復節」は異例の内容となりました。 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が歴史をめぐって日本を批判しなかったのは昨年に続いてのことでしたが、今年は日本との関係についてすらも触れませんでした。 唯一、日本への言及があったのは国民一人当たりの総所得(GNI)が昨年日本を上回ったことに触れたときくらい。誤解を恐れずにいえば、8月15日が韓国にとって曖昧なほど、過去の「光復節」とは様変わり。

          尹錫悦の剛速球

          金正恩体制で「エリート脱北」急増

          8月20日、北朝鮮軍の兵士1人が軍事境界線を越えて韓国に亡命したことが伝えられました。いわゆる脱北ですね。 この兵士が亡命した経路は、日本海に近い東部でした。 その前、8月8日には、北朝鮮の一般住民1人が西部で漢江(ハンガン)が黄海に注ぐ河口のあたりを泳いで南に渡り、やはり亡命しています。 北朝鮮→中国→東南アジアを経ての脱北ではなく、ダイレクトに北朝鮮から韓国への亡命が一か月に2件起きるのは珍しいです。ただ、「たまにはそういうこともあるだろう」くらいに受け止めました。

          金正恩体制で「エリート脱北」急増

          強権体制における最高機密

          煽り気味のタイトルをつけましたが、結論からいきましょう。中国、ソ連/ロシア、北朝鮮など、強権体制の国家における最高機密は、最高指導者の健康状態だといえます。 日本なら岸田首相が健康診断を受けたことまで日々の動静として報じられますし、アメリカならバイデン大統領が新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたことも伝えられます。しかし、中国の国家主席が風邪で寝込んだことがニュースになることは、まあ考えられません。そうした情報は徹底的に伏せられるためです。 ただ、情報統制で体調不良

          強権体制における最高機密

          北朝鮮 米韓演習より脅威なのは…

          アメリカと韓国が8月19日に定例の合同軍事演習「ウルチ(乙支)・フリーダム・シールド」を始めました。米韓演習が実施されるたびに北朝鮮は激しく反発し、ときには合同演習が終わった直後のタイミングでミサイルを発射したりもしてきました。 今回も米韓を指弾していますが、実際には、より大きな脅威のほうに指導部は神経をすり減らしている模様です。以前にもお伝えした大雨による水害です。おそらくは、90年代に大勢の餓死者を出した引き金の水害を思い起こしているのでしょう。 「苦難の行軍」を引き

          北朝鮮 米韓演習より脅威なのは…

          もう一つの「8月ジャーナリズム」

          先日書いた記事で、日本では毎年8月になるとメディアが集中的に太平洋戦争を振り返って平和の尊さを伝える「8月ジャーナリズム」について、批判的にお伝えしました。 この中でサラッと触れたのですが、日本では8月15日が「終戦の日」となりましたが、これは国際的には殆ど通じない話です。 大日本帝国がポツダム宣言を受諾して降伏すると連合国側に伝えた8月14日をもってして戦争が終わったとする考え方もあります。あの玉音放送で昭和天皇が読み上げた終戦詔書も、日付は14日でした。 一方、国際

          もう一つの「8月ジャーナリズム」

          "Chinese Taipei"の苦闘

          オリンピック。 若いころは、もっと観戦を楽しめていました。 と、少し前に書いた記事の出だしをリユースしてしまいましたが、相も変わらず競技以外のニュースに反応してしまいがちです。職業病。 今回は、こちらの話について。 オリンピックの会場で「台湾」や"Taiwan"と記された応援グッズが警備員らによって次々と没収されているというのです。背景には、言うまでもなく、中国政府によるIOCへの圧力があります。 ここでは、そもそも"Chinese Taipei"というオリンピックでの不

          "Chinese Taipei"の苦闘

          「8月ジャーナリズム」の本質

          8月6日は、言うまでもなく、1945年に広島に原爆が投下された日です。毎年、平和記念式典が開かれます。 長崎原爆の日、そして終戦の日とともに、毎年、平和のありがたさを考える機会として各メディアは戦争についての特集を組みます。広島と長崎では被爆者の体験談を中心に核兵器の非人道性を大きく伝えます。NHK広島放送局では、毎年、核兵器関連のNHKスペシャルを制作することが「責務」です。 このように8月になるとメディアで「核兵器廃絶の願い」や「不戦の誓い」が集中的に報道されることは

          「8月ジャーナリズム」の本質