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北朝鮮 米韓演習より脅威なのは…

アメリカと韓国が8月19日に定例の合同軍事演習「ウルチ(乙支)・フリーダム・シールド」を始めました。米韓演習が実施されるたびに北朝鮮は激しく反発し、ときには合同演習が終わった直後のタイミングでミサイルを発射したりもしてきました。

今回も米韓を指弾していますが、実際には、より大きな脅威のほうに指導部は神経をすり減らしている模様です。以前にもお伝えした大雨による水害です。おそらくは、90年代に大勢の餓死者を出した引き金の水害を思い起こしているのでしょう。


「苦難の行軍」を引き起こした大水害

若い読者の方はもうあまりピンと来ないかもしれませんが、1990年代後半から2000年代初めのころまで、北朝鮮の崩壊が近いのではないかという見方が国際的に広がりました。
それは、90年代後半の「苦難の行軍」があまりに悲惨であったためです。この「行軍」は、実際には軍隊の移動とは何も関係がなく、北朝鮮各地で大勢の人が餓死するほどの深刻な食糧難を指しています。餓死者の数は、30万人とも300万人ともいわれますが、いまだに実態は明確ではありません。

近年、コロナ禍もあって再び北朝鮮の食糧事情が悪化すると、金正恩総書記は再び「苦難の行軍」を持ち出して人民に「耐えろ」と呼びかけています。

話を90年代に戻すと、「苦難の行軍」の引き金となったのは1995年の夏に北朝鮮を襲った大水害です。
それ以前から、北朝鮮は科学的な知見を無視した独自の農業手法で穀物などの生産力が落ちていました。ただ、ソ連をはじめとする社会主義陣営から「友好価格」という名でエネルギーを非常に安く購入できていたこともあり、経済難は回避できていました。
それが、ソ連崩壊などでエネルギーは国際市場価格で調達せざるを得なくなったところに、水害が来て、一気に飢饉が発生しました。

トップの現地入りは危機感の表れだが…

そうした90年代の悪夢が頭をよぎるのでしょう。金正恩氏は今回の水害が発生してから頻繁に被災地に入り、車やボートで状況を確認して回っています。

国のトップが現地に入って被災者に寄り添うのは悪いことではありません。以前の記事でも書きましたが、むしろ日本の首相はそういう行動が足りないくらいだと思います。

一連の報道で「おやっ」と思ったのが、金正恩氏の特別列車を写したこちらの写真。なんと、列車の側面がパカッと開いて演説ができるという構造になっていたのです。

https://x.com/NorthNKAAL/status/1822047559063343469/photo/1

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