まさかの「国父」否定か
北朝鮮の国営放送・朝鮮中央テレビで1月24日に映し出された一場面が、大きな波紋を呼んでいます。正確にいうと、北朝鮮ウォッチャーたちの間で、ものすごい波紋を呼んでいます。
それが冒頭の写真なのですが…何がポイントかお分かりでしょうか。
本来なら絶対に掲げられているはずの金日成(キム・イルソン)の肖像画がないのです。
あるのは金正日(キム・ジョンイル)のだけ。
北朝鮮内部で、予想だにできなかった激変が始まったのかもしれません。
国父を否定し始めた?金正恩総書記
北朝鮮では、いたるところに「建国の父」金日成と、2代目の最高指導者・金正日の肖像画が掲げられています。職場や学校の教室はもちろん、一般家庭でもそうです。
また、人々は金親子の肖像画をあしらったバッジを服につけます。ドラマ「愛の不時着」でも、ヒョンビンが演じた軍人リ・ジョンヒョクはじめ、北朝鮮側の登場人物たちはちゃんとつけていました。
しかし、冒頭で紹介したように、24日に朝鮮中央テレビで放送されたニュースでは金正日の肖像画だけかかげられた教室が映し出されたのです。ロケーションは教員を養成する金亨稷(キム・ヒョンジク)師範大学とのこと。
2代目の肖像画だけ…
些末なことのように思われるかもしれませんが、かの国では極めて異例です。これまで、人民が金親子の肖像画をぞんざいに扱えば厳しく処罰されてきました。
こうした重大な変化の兆しは、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が打ち出した「統一放棄」「韓国は敵対国家」「韓国人たちは同じ民族ではない」という路線と関連しているように思えます。
というのは、彼が打ち出した抜本的は路線変更に基づいて、平壌にある「祖国統一三大憲章記念塔」が爆破されたことが衛星写真で確認されたのです。(下のリンクに入ると、その衛星写真を見ることができます)
高さ30メートルもあるこの記念塔。
建設されたのは2代目金正日時代の2001年(その前年に史上初の南北首脳会談)です。
ただ、「祖国統一三大憲章」のベースになっているのは、金日成が示した「民族大団結」の思想に基づく南北統一という目標なのです。
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