中国とEU 貿易戦争開戦前夜?
中国とEU(ヨーロッパ連合)の間で神経戦が繰り広げられています。焦点はEV(電気自動車)。
中国が意図的にEVを過剰に生産し、それをヨーロッパに向けて輸出しているとEU側が問題視し、高関税をかけると発表。それに反発した中国側もEUの大型ガソリン車に対する関税を大幅に引き上げる構えをみせているのです。
この件、世界的なEV市場の動向という要素に加えて、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席のメンツが丸つぶれになったという事情もあり、中国側は引くに引けなくなっています。
訪欧したばかりのところに…
対立の構図は冒頭に紹介したとおりなのですが、もう少し詳しく確認したい方は、こちらの記事もご参照ください。
一本目は中国側の報復関税の動き、二本目は中国とEUが話し合うことで合意したことで貿易戦争の「開戦」が避けられるのか注目、という内容です。
今回の対立が生じた背景には、中国の不景気、より具体的にいうと不動産バブルの崩壊があります。中国のGDPを支えてきた旺盛な不動産投資が曲がり角に来たことで成長が鈍化しているわけですが、その落ち込みを取り返そうと得意のEVを過剰に生産してヨーロッパに輸出しようとしている、とEUはみているわけです。
ここで重要となるのは、冒頭でも書いたように、EUの高関税は習近平主席のメンツをつぶしたことです。なぜなら、習氏は5月にヨーロッパを訪問して、各国との良好な関係を固めた…とご本人は考えたためです。
ただ、実際にはEUのフォンデアライエン欧州委員長らから、面と向かってEVの過剰生産への懸念は提起されていました。
それに対して習主席がどう述べたかというと…
「中国の過剰生産問題は存在しない」
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