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2040年の障害福祉の未来って??

所属する法人は、来年度より新たな中期計画(5ヶ年)をスタートさせます。コロナ禍の中、5年後の未来を考えるのは予測不能なことも多く、正直、未来予想は難しいなぁと思います。
でも、こうやって考えて、書くことでアウトプットして、少しずつ未来が見えてくることもあるかと思ったりします。
(あっ、別に、僕が中期計画の策定担当ってわけではないですが…。)

少し前、成毛さんの「2040年の未来予測」を読みました。最近はまた、ちょこちょこ読み返してます。個人的には2040の内容に共感することも多く、今回のnoteは成毛さん2040を参考書籍として未来予想をしてみたいと思います。

どうせなら、5年後の未来ではなく、法人の中期計画とは関係なく、約20年後の2040年をイメージして、勝手に妄想しながら障害福祉の未来を考えてみます。

1、どんな地域を作りたいか

未来を考える上で、やはりこの話題を避けて未来志向は難しいように思います。福祉の仕事は、地域密着型のサービスであるのが大前提!って考えると…、事業展開する「地域」、利用者の方が住む「地域」、働く場所となる(職場がある)「地域」が、どうあるべきかを描くのは、未来志向を始める上で大切なファーストステップです。

20年後は、どんな「地域」になっているでしょうか?
障害のある人にとって生きやすい「地域」って、どんなのが理想なんでしょうか?

僕が勝手に思う20年後は、「ごちゃまぜの社会(地域)」

障害、高齢、子ども、LGBTQ、外国人など、カテゴリー分けされることなくごちゃまぜで地域や社会が成り立っていることをイメージしています。その結果として、例えば「障害」という言葉はなくなり、「障害福祉」といった分類もなくなっていて、「誰でも、いつでも、福祉サービスを受けることができる」ってことが自然と成り立っているような社会が20年後です。

そう考えると、僕が今担当をしている「発達障害に特化した就労支援」は、専門性は担保されてるかもしれませんが、逆に言うと「発達障害しか対象とならない」といった限定的なサービスとなっていて、ごちゃまぜではなく分断となっているのかもしれません。

労働人口が減り、少子高齢化になり、地域がコンパクトシティ化するなど、20年後の社会は大きく変化しているように思います。専門性を磨くことに努めつつ、専門性とごちゃまぜがうまく共存するような社会を理想としたいです。

2、20年後の社会保障制度

専門家ではないので制度の未来はよくわかりませんが、今の障害者総合支援法は「障害のある人」を「福祉サービスで支える」ための仕組みが多岐にわたっていて、きめ細かく整備されています。それはそれで、多様なニーズの人に福祉サービスが行き来届くといった良い面はたくさんあります。

ただ、正直、仕組みが細かすぎて読み込むのに時間がかかるし、対象者や条件、支援内容など部分的に違うことも多く、制度をうまく利用できるときと使い勝手が悪いときがあり、多様なニーズに応えられているかは正直よくわからない感じもします。

社会保障制度の未来像のひとつとして、制度の一元化やシンプル化は可能性としてなくはないような気がしてます。社会的な弱者となりうる人(障害、高齢、子ども、LGBTQ、外国人など)には、一定の条件を満たす中で福祉サービスを広く使うことができたり、ベーシックインカムのような発想もなくはないように思います。そうすると、「ごちゃまぜ」で福祉事業を展開する非営利やビジネスモデルは増えていくのではないでしょうか。

社会保障費は、年々の増加を続けており、財政上の圧迫感が社会的インパクトとして大きくなっています(社会保障費は2018→2040年で1.5倍増/財務省予測)。少子高齢化や人口減少で福祉の対象者ニーズが変化するのなら、制度の統廃合で社会保障制度の効率化は話題になってくるでしょうし、現実的な議論も進むように思います。

今の社会保障制度が20年後も同じスタイルかというと、個人的にはちょっと違うような気がしてます。

3、20年後の社会を未来志向

ここは、成毛さんの2040を参考に書いてみます。成毛さんの本では、以下のことを主だって示唆されていて、その内容はあまり明るくないものも多いですが、20年後の未来は現実的な話として理解しやすいものも多く含んでいます。

●テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする
●社会保険料の負担はますます増える
●衣・食・住は、コロコロ変わる(環境問題との関係性)
●シェアリングエコノミーの時代になる(モノや場所、スキル)
●天災は必ず起こる

上記5つをポイントに、2040年の障害福祉をもう少し深めてみます。

4、テクノロジーのフル活用

福祉はデジタルよりアナログ文化が根強いのもあってか、20年後にテクノロジーの恩恵をどれくらい受けているかは未知数ですが、流れに乗れれば早い変化は期待できそうな気もします。AIやロボットなどの導入による省人化は、介護や福祉の現場でも可能性はまだまだあるでしょうし、少子化で人手不足はますます深刻になるでしょうから、テクノロジーの進化とうまくコラボすることは必須なように思います。

そう考えると、自分たち福祉法人だけでテクノロジーとのコラボを模索するよりも、企業とのパートナーシップで可能性を高めていくことが近道かもしれませんし、テクノロジーの活用による働きやすさと支援の質の向上が人材確保・採用活動、法人としてのブランディングなどにも良い影響を与えるように思います。

成毛さんの2040には、「テクノロジーだけが未来を明るくする」と書かれています。僕もそう思います。障害福祉…というか福祉の発展に向けてテクノロジーの進化と活用は欠かせないように思います。個人的な意見をもう少し書き加えておきたいと思います。

4-(1) 5Gになり、そして6G時代へ

通信技術が進化することで、すべてのモノがインターネットに常時接続されるようになります。そうなるとモノを介してデータを取ることが容易となり、ビックデータは集まりやすくなります。集まった情報をどう活用するか、個人情報の取り扱いのことなど課題はありますが、職人技や感覚的な文化も根強い福祉からすると、データ収集と分析により人手不足の解消や運営効率を図ることは可能性としてたくさんありそうです。人にしかできない専門的な支援は人が専念し、AIやロボットに任せられることは分担していく。テクノロジーの進化は、こうやって様々な可能性を検討することができ、「テクノロジー」と「人」の多様な組合せが未来をより良くするように感じます。
ただ、テクノロジーの活用は、きっとすぐには実らないような気もします。アナログ文化が根強い福祉なら上手い活用が期待できるのは結構先の未来かもしれませんし、テクノロジーとの共存を目指して、少しずつ、少しずつ、新たな文化と価値を育てていく姿勢が未来を明るくするのかもしれないです。

5、社会保険の負担増と寄付文化への期待

社会保険料はますます増え、国民の負担感は増える一方となります(負担率は2009→2017年で26%増/本書より)。2040年には、老人が増えて若者が減り、65歳以上を支える若者は1.5人になります(1950年は12.1人/本書より)。保険料が増えることは自然な流れでしょうし、負担増がネガティブなイメージへとつながってしまうかもしれません。

そう考えると、社会保障制度の財源も効率化を図り、今と同等の公費が福祉法人に入るというよりは、公費による収入は少なくなる可能性もあるように思います。

僕、個人的に思うのは、クラウドファンディングのような最近新たに根付いた寄付文化は20年後に向けて今よりも盛り上げっていくような気がしています(2020年の市場規模は500億円/日本流通産業新聞)。ふるさと納税も同じくですが、「寄付したい人」はそれなりにいて、「寄付の使途が明確」であったり「リターンが明確」であれば、寄付は比較的集まりやすいようにも思います。

20年後を考えると、福祉法人が目指したいビジョンや地域づくりが明確であれば、「その夢を応援したい」といった気持ちが集まって寄付(資金)が集まる可能性はあるのではないでしょうか。昔からある家族会のような寄付集めではなく、ビジョンやミッションに共感することで資金を集め、仲間集めをしながら夢の実現を目指すことは、ごちゃまぜの社会(地域)創りにも寄与するように思います。

6、避けられない環境問題

地球温暖化、今回のような新型コロナウイルスなど、環境問題による環境の変化は衣食住に大きな影響を及ぼすことは間違いなく、20年後の未来を歩む中でそんな変化変更はますます多くなるように思います。脱炭素やカーボンニュートラル、GX(グリーントランスフォーメーション)などが最近のトレンドのようになっていますが、今から取り組みを加速したところで環境問題が改善するのはまだまだ先の話であり、改善するかも未知数です(今後十数年で温暖化を1.5℃抑えられるどころか2℃に抑えることさえ現実的でなくなるかもしれない/IPCC第1作業部会報告書2021より)。新型コロナのような有事の事態は、これからもありうることを前提にした福祉法人の運営、福祉サービスの提供に努めることが必須であるように思います。

そう考えると、環境変化が衣食住などの身近なことにも変化を与え、住まいや暮らし、働く、楽しむといった当たり前の日常に多くの変化を与える可能性があります。急な変化があることを前提に、環境問題を身近に置いた上で事業展開を進めていく必要がありますし、変更しやすい柔軟なスタイルで利用者の方の支援も進めることが大切なように思います。

7、所有→共有する地域社会へ

地域福祉を進める上で、地域貢献や協働は大切な視点であるように思います。少子高齢化や人口減少の時代は、物余りの流れを加速させ、山間部などを含めた広範囲の地域はコンパクトシティへと変化していくと思われます。空き家が増えたり、土地が余ったり、電車やバスなどの公共交通機関も統廃合されていくかもしれません。

2021年の現代もそうですが、物は「所有→共有」へと移り変わり、シェアリングエコノミーの市場規模は大きくなると予測されます(2018年は1.8兆円→2030年は11.1兆円)。そんな2040年への歩みは、福祉団体が所有する資源を地域の人たちとシェアしたり、協働で運営したりすることは、容易な時代になっているかもしれません。

2040年がごちゃまぜ社会になっているのなら、所有より共有する地域社会のほうが地域との交流も生まれやすく、障害だけに囚われない新たな福祉を創造しやすいのではないでしょうか。

8、天災のこと

最後のタイトルが明るくない話になってしまいましたが、天災は必ず起きると成毛さんの2040では書かれています。首都直下型地震、富士山噴火、南海トラフ…。
研究者の発言やデータでは様々な予測があるようですが、「どこかで起きる」は確実なようで、2040年までに起きる確率も現実的なイメージとして認識しておいたほうがよさそうです(南海トラフが起きる確率30年以内に70〜80%、首都直下型地震の確率はは30年以内に70%以上/本書より)。

そうすると、福祉施設の場所、入所施設やグループホームの場所は見直す必要があるかもしれないですし、BCPの立案は必須かもしれません。天災が起きることを前提に事業展開を進めることと、天災による事業運営の柔軟性を持ち合わせていることが2040年に向かって取り組むことの重要な視点であるように思います。

9、さいごに

「ごちゃまぜの社会(地域)」を創るには、創るまでプロセスに「関わる人もごちゃまぜ」が望ましいような気がしてます。福祉の仕事に関わる人だけでなく、当事者の方、家族、地域の人、企業、教育、医療、行政などなど、ごちゃまぜなメンバーでより良い地域を模索し、20年間の中で取り組みを続けていくことで2040年は今より居心地のよい地域になっているように思います。

今回の未来予想は、「2040年の未来予測」を参考にして、予測可能な社会の姿をイメージした上で福祉の在り方を考えました。その分、「社会」や「地域」に重きを置いた内容になり、障害福祉が抱える今の問題点や課題解決への道筋に繋がらない内容も多かったように思います。その辺りは、またどこかで考え、書いてみたいと思います。

今の若者や子どもたち、ちょうど今年生まれた赤ちゃんは、20年経てば皆成人です。

20年後が明るく、住みやすく、自分らしく生きていける社会を創るのは今の大人の使命。書きながら改めてそう思いますし、思うだけでなく実現できるためのなにかを、一人の大人として頑張りたいなと思います。

以上、勝手な未来予想でした。

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