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コロナショックの暴落を活かして資産大幅増した話

突然やってきた謎のウイルス

株式市場は時々暴落することがある。その引き金はバブルの崩壊だったり、金融危機だったり、戦争が関係していたりと様々だ。過去の統計を見ると、2年に1回ほどの確率で10%以上の暴落があり、
4~5年に1回ほどの確率で30%以上の暴落があり、
100年に2回の確率で50%以上の大暴落がある、
という。世界の株式は長期的には常に右肩上がりになってきたが、細部を見ると時々「休憩」することがあるのだ。

世界的に有名な暴落と言えば以下のものがあるだろう。

  • 1929年ウォール街大暴落

  • 1987年ブラックマンデー

  • 2000年ITバブル崩壊

  • 2008年リーマンショック

  • 2020年コロナショック

2025年2月現在、今回私が話の題に取り上げたのは最も直近の暴落であるコロナショックだが、この暴落はそれまでの暴落とは異質なものだった。1929年のウォール街大暴落はその直前の20年代後半の投機ブームが債務の膨張を生み、結果その崩壊による株価暴落が起きた(世界恐慌の原因と言われる)。1987年のブラックマンデーは諸説あるが香港市場の暴落が原因、2000年のITバブル崩壊はハイテク株への投機過熱とFRB金利引上げが原因、そしてリーマンショックはサブプライムローンというとんでもない商品がもたらした金融危機。

アプリ"Trading View"より リーマンショック時のS&P500

どれも人間が営む経済活動が主たる原因となるものばかりだったが、このコロナショックは、人類史上初?人間以外の要因世界中の経済が停止したという異常事態であった。グローバル化が進んだ世界ではヒト・モノ・カネが縦横無尽にめぐる。ウイルスも一緒に世界をめぐってしまったのだ。

私はパンデミックが始まったこの時は現在の医療系の職に就いていたが、じわじわと感染者が増えていく恐ろしい報道を日々見続けていた。町からは人が消え、職場も感染症対策で出勤が週2回に減らされた。そして職場の目と鼻の先にある介護施設で感染者が出たというニュースを聞き「ついに来たか…」と皆で顔を見合わせたあの日を一生忘れることはないだろう。結局この時には感染はしなかったが。ワクチンでぱんぱんに腫れた肩の痛みも忘れることはないだろう…。

コロナショックの底値を拾う

感染者が〜、緊急事態宣言が〜、とニュースで連日報道される中、株式市場も早速反応を示し始めた。

アプリ"Trading View"より コロナショック時のS&P500

2020年1月には日経平均株価は過去最高値である24083円を記録、2月12日にはアメリカのダウ平均株価も29551ドルを記録して好調であったが、2月後半からコロナ感染が中国だけの問題だったのが国際化し、世界中で株価が大暴落し始めた。

2月後半には日経平均は-8.9%、ダウ平均-12%まで下落し、3月にはそれぞれさらに-5%、-10%も大暴落した。

「ニューヨーク証券取引所でサーキットブレーカーが発動しました」と2020年3月初頭に度々報道されるのをニュースで見た。サーキットブレーカーは急激な株価の変動を強制的にシャットダウンするシステム。私が投資デビューしてから初めて知った言葉だった。

アプリ"Trading View"より VIX指数(恐怖指数)

VIX指数(別名:恐怖指数)は85まで上昇し、市場はまさしくパニック状態。結局日経平均は30%程下落、S&P500は33%、ダウ平均も37%程下落した。

ところが当時のトランプ大統領は、この大変な事態を救済するべく大規模な金融政策を検討し始めた。そして各国が緊急利下げ、財政出動を速攻で打ち出していった。また、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社など大手製薬会社のワクチン開発がかつてない勢いで進められていった。

投資を始めてから間もなかった私は、ここで考えた。今現状、世界経済は混乱しているが、しかしこれってチャンスなのではないか?と。

たしかにコロナウイルスの致死率はインフルエンザウイルスよりも高く、後遺症も重篤なものが多い。当時のニュースでフランスのマクロン大統領が
「Nous somme en guerre.=私たちは(ウイルスとの)戦争状態にある」と言っていたのが印象的だった。しかしながら、人類の脅威となっているのは確実だが一方で感染しても何の症状もない人もいる。リーマンショックみたいに債務の膨張が崩壊して金融システム自体が根幹から揺らいでいるわけではない。ということは、株価はいずれ回復していくのでは?という少しポジティブな考えが浮かんでいた。

亡くなった方々がいる中では不謹慎かもしれないが、日本やお隣の韓国、ベトナムなどは欧米諸国と比較しても死亡者数がなぜか圧倒的に少なかったのもあり、私の中では少し楽観ムードになっていたのもあるかもしれない。

株価は急激に低下している。
「まるで世界株のバーゲンセールだな」と
某王子みたいなことをつぶやきながら、私は証券アプリを開き、余剰資金のありったけを入金していった。

アメリカ株の復活に託す

株式市場が始まって以来数々の世界的な暴落が起きてきたが、アメリカは何度もその発端になってきた。しかし、その度にアメリカは克服し株価を上げ続けてきた。

この人類vsウイルスの戦争の中で、きっとアメリカならなんとかしてくれるだろう、という希望を抱いていた。そこで私は一心不乱に米国株ETFを買い集めることにした。

私がここで買い集めていたのは以下の銘柄だ。

  • VTI → アメリカの約4000社の株に分散投資できる低コストなETF

  • VEA → アメリカを除くヨーロッパ、日本などの先進国の銘柄に分散投資できるETF

  • VWO → 中国、ベトナムなどの新興国株に分散投資できるETF

  • AGG → 米国の優良債券に分散投資できるETF

一応世界に分散していたが、60%くらいはVTI を買っていた。これらを買い集めてコロナとの戦いの行く末を見守ることにした。そして、各国の経済対策が功を奏して株価はその後急速に回復していった。ワクチンも異例の速度で開発され、配布が進み、徐々に人々が街に戻っていったのだった。

暴落から6ヶ月も経たないうちにS&P500は過去最高値を更新していた。私が持っていたETFたちは想像通り素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれた。あっという間に増益率40%を達成した。ウォーレン•バフェット氏が言うように
「人々が貪欲な時に慎重になり、人々が恐れている時に貪欲になりなさい」
という言葉は真実なのだとここで気付かされた。暴落はチャンスでもあるのだと。

ただ、今回はたまたま急速な回復があったので良かったが、これがリーマンショックの時のようにズルズルと底値を広げていたら私はVTI を持ち続けられなかったかもしれない。

各国利上げラッシュに耐えた

コロナとの戦いでマヒした景気を刺激するべく、各国は利下げ、財政出動で対応をした。結果、2021〜22年には人々の日常が徐々に戻ってきたが、ここで景気刺激策の副作用があらわれはじめた。お金をばら撒いたことで急速にインフレが始まったのだ。

2021年初頭ごろからアメリカのCPI(消費者物価指数)は3%〜4%を超え始め、2022年半ばにはピークの8%〜9%にもなっていた。

アメリカのCPI推移
引用: https://www.google.com/amp/s/www.cnbc.com/amp/2023/01/12/consumer-prices-fell-0po


当時ニューヨークに住んでいた知人から聞いた話では
ラーメン1杯が3000円なった(しかも味は日本の方が美味い)」
とのことだった。また、卵1パック600円だとか。

世界各国はこのとんでもないインフレを抑え込むために利上げを急がされた。インフレと共にお給料も上がれば良いが、1年で8%も給料が上がるわけがない。FRBは2022年3月に0.25%の利上げを決定し、他の国々も追随した。

ところが!利上げを全然しない国が1つだけあった。
ご存知、日本である。相変わらず日本の金利は低いままだった。30年間もデフレに苛まれた日本人たちには
「値段は低ければ低いほどいいよね」
「投資なんかしないで貯金だよね」
金利ってなんだっけ?
というデフレ☆マインドみたいなものが染み付いていた。

このコロナ禍のインフレの波は日本にも押し寄せてきたが、
「どうせまたデフレに戻るんでしょ」と言った具合でなかなかマインドは変わらない。2016年にマイナス金利を導入してから成果がでないままで、利上げというチャレンジをするにはまだ心の準備ができていなかったのだ。そんなわけで日本と諸外国との間で金利差がどんどん開いていった。相対的に円の価値は目減りしていった。スーパー円安タイムの始まりだ。

利上げというのはカネの流れを鈍くする。金利が高くなるほど株価は下がりやすくなる。2022年3月にFRBが利上げをし始めてから株価はずるずると下げ始めた。最終的に2023年7月ごろに政策金利は5.5%にまで達し、しばらく据え置きとなってから徐々に株価は利下げ期待で戻し始めて現在に至るわけだが、この利上げによる株価下落を私はほとんど食らわなかったのである。

なぜならETFたちはアメリカドル建てなので、株価下落も為替差益が帳消しにしてくれたのだ。ドル建て資産にしておいて良かった。その後日銀がマイナス金利を解除して円高になるぞ~というウワサが広まり始めたころに私は大体のETFを売り抜けた。このコロナショックをバネとしてうまく資産を増やすことができたわけである。

暴落はチャンスだが...

繰り返しになるが今回はたまたま急速に経済が回復してくれたので良かったが、これは記録的な速さだ。だいたいいつも復活には年単位で時間がかかる。リーマンショックの時のS&P500は回復までに約5年かかったし、もっとヤバいのはバブル崩壊後の日経平均株価が高値更新するまでにはなんと32年もかかっているのだ(これはかなりレアケースだが)。ホントに...日本株よく頑張ったね...(下の別記事参照↓)

今後もし暴落が来ても
「よっしゃ!バーゲンセールやでぇ!!」
といきなり飛びかからない方がいいかもしれない。かといって恐れて持ち株をパニック売りしたり、いつまでも買いをためらっていてはチャンスを逃してしまう。

S&P500に関しては5年かかったとはいえ、底値からじわじわと回復しているのでリターンは得られるので暴落=買いは間違いないかもしれないが、重要なのは以下のことを念頭に置くべきということだ。

  • なぜ暴落しているのかを知る。

  • 市場は常に過剰反応する。調子が良い時は過熱しすぎるし、調子が悪い時は売られすぎる。

  • 資本主義という世界の仕組みが滅亡しない限り株価は長期的には復活する。

  • 中央銀行の経済見通しを鵜呑みにしない。

「暴落は3日待て」という投資格言があるように、一旦冷静になって市場を見つめることが重要なのだろう。だいたい暴落があると毎回
「資本主義はもうオワコン」
「株投資は終わり」
という売り煽りみたいな言葉が飛び交うので、これに惑わされず、冷静さを保ちながら、なおかつチャンスの時には攻めることが勝ちの秘訣なのだろう。

今回のコロナショックを経験できたことは私にとって経済を深く学ぶ契機になったのだった。

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