NANA・令和に感じる違和感
NANAはバイブルといってもいいほど
自分にとって特別な作品。
人生で何度も読み返してきた
(年末の無料全話は読みませんでしたが……
NANAは読むのにエネルギーを使うから。
読んだら年末の大掃除とか
何もできなくなると思って!)
今でも大好きだけど
令和の価値観とはギャップを感じる部分もある。
NANAと令和漫画の「距離感」
距離というのは心理的な距離感のこと。
例えば淳子。連載当時は
「面倒見のいい姉御肌」と思ってたけど、
令和に読み返すとちょっとギョッとする部分も。
いくら親友でハチが頼りないからといって
ハチに対してズケズケ言い過ぎに感じて
読んでるだけでちょっとキツく感じてしまう。
ナナもそう。
ハチと再会したマンション内見時
不動産屋に対して「寂しい男だな」
プライベートの付き合いでない相手に対して
かなり踏み込んだ発言である。
ナナは破天荒なキャラではあるけど
破天荒と礼儀知らずは違うよね……
淳子やナナ以外の登場人物も、
なんか全体的に他者との距離感近くて、
バウンダリー(他者との心理的な境界線)
を侵略気味なのが否めない。
反対に、最近の漫画
(正反対な君と僕、いやはや熱海くん、君と宇宙を歩く、カラオケ行こ!等々)
これらの作品には共通して
「登場人物が余計な事を言わず、
自分の心の声に留めておく」
という特徴があると思う。
例えば「いやはや熱海くん」
主人公の熱海くんは超絶イケメンで、ある日友達の家に遊びに行く。熱海くんが帰った後、その家では友達と姉がこんなやり取りをする。
「とんでもないイケメンでびっくりした」
「しかし、あれだけ顔が良かったら苦労することもあるだろうな…」
熱海くんのいないところで話しているのだ。
NANAの世界だったら本人の前で言うだろう。(恐らく、ハチの妹でギャルの奈美が)「え!超イケメンなんだけど〜〜!!」
幸子は悪くない
「わざとだよ?」
あざと発言に当時多くの読者が発狂し
「人の恋人を横取りする最悪な女の敵!」
的な扱いだった幸子。
連載当時は嫌われてたけど
今読み返すと、幸子は別に悪くないと気づく。
彼女いること隠してたのは章司の方だもん。
幸子の苦労
章司に彼女がいると知った幸子と
同級生・関西弁の男とのやり取り
「章司なんか忘れて俺と付き合わん?」
「関西弁くん地元に彼女いるんでしょ?
章司から聞いてるよ」
このシーンでは幸子の苦労が垣間見える。
どう考えても人生モテてきた幸子
可愛くて性格良くて大人しくて小さくて…
所謂「男性を脅かさず、ケアしてくれそう」
と、男性から期待されるであろう女性。
きっと今までもこういうこと
たくさんあったんじゃないかな……。
そもそもハチと章司の関係が不安定すぎる
もしも幸子が現れなくて、あのまま続いてても
どっかで嫌な別れ方をしてたと思う……
しっかりしないハチに対して
「もっと自立してほしい」と願う章司(淳子も。
「もっと〜でいてほしい」と相手に変化を求め
ハチのありのままを受け入れられていない。
ハチ自身も
「もっとしっかりしなくちゃ」
「このままじゃ捨てられちゃう」
という不安が常に心に付きまとう。
それでもなかなか変われない。
一方、章司の側にも
「惚れっぽい性格のハチが
いつか別の男にフラッと心変わりするのでは?」
という不安がある。
なかなかの地獄だと思う……
友達でいる方が良かったのでは……
ハチはナナにリア恋だった
『正直に言おう。あの時、私はナナに恋してた』
ハチ本人もこう明言するセリフがある。
そもそもハチが精神的な面で必要としてるのって淳子だったり、ナナだったり、女性なんじゃないかと個人的には思う。
あれだけ異性愛の恋多きハチだけど、男性に対して期待してるのは、イケメンであるか、自分のことを思ってくれるか、そして途中からは明らかに経済力含めた安定性(自分の将来・生活基盤)を求めていたように思う。
そもそも、どんなに淳子やナナを思ったって、彼女たちにも異性の恋人がいて、いずれはロマンチックラブイデオロギーに則り結婚するであろうし。