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100人いれば100通りの海
誰かとキャッチボールする時、まず、キャッチボールをしようと声をかける、
うん、いいよと相手が言ったら、適当な距離をとって向き合う、
そして投げる、受け取る、また投げる、受け取る、
これ、まさに対話と同じだと言ったのは、伊藤守さん。
たったこれだけのことだけれど、ここには、とても大切なことが含まれています。
まず、今から話をしようと相手に伝えて合意を取る、この時、30分とか1時間とか共有できる時間も告げます。そして程度な距離をとって向き合う、
ここまでを私はフレームを作る、と言っています。
対話の場を作る、ということです。
さて、この適度な距離、というのが実は、問題なのです。
私とあなたは違う人間。違う人間だからこそ、違う考え方があり、違う意見があり、違う感じ方があります。そしてだからこそ、対話、つまりキャッチボールが成り立つのです。
距離がなくべったりくっついていたら、キャッチボールはできませんよね。
日本の家庭には多いと言われる母子分離ができない親子やご夫婦の間で、会話は成り立っても、対話が成り立たないケースが多いのは適度な距離が取れてないから、という理由があります。
ちなみに、会話というのはもともと対立を避けて成立するやり取りです。
「うんうん、そうだよね〜」「そうそう」という受け答えが延々と続くのが会話の基本。
対話は、対立を前提として成り立つやり取りのことです。
私がこう感じるのだから、あなたもそう感じるはず、とか夫婦なのに、どうして私の気持ちをわかってくれないの、とか。私とあなたの間に境界線が引けていないいっしょくたの関係にあると、本当の意味で対話をすることは難しいです。
家族の中で対話が成り立ちにくいのは、この距離感にあるかもしれません。
先日ワクチンを打つ打たないで揉めたご家族の方から相談を受けました。
打ちたくない妻と打つのが当然という夫、
彼女は、夫があんなことを言うなんて信じられない、と憤慨していました。
他人なら腹が立たないことでも身内だと腹が立つ、
これも距離の問題ですね。
あなたはどうして接種するのが当然だと思うの?と聞いてみた?と言うと、彼女はサポートスキルを学んだ人だったので、
あっ、という顔になりました。
あなたは〜〜〜?
私は〜〜〜〜だと思うの、
という主語をつけた言い方にすると、不思議と距離を保つことができます。
あなたと私は違う人間だ、ということを、自分にも相手にも自然と伝えることになるからです。
そして、違いを認め、尊重しようと思えるようになります。自分の思いを大切にしたい、だからこそ、相手の思いも大切にしてあげたい、それが対話の基本です。
そして対話がなくなれば、そこには、サポートしたりされたり、いう関係は、なくなります。
どんなに相手のことを思っているとか、心配しているとか言っても、対話が無い間柄で、サポートすることは不可能です。それは単なる押しつけにすぎません。
ある時、インプロという即興劇の講座を受けました。そこで先生が印象的なことをおっしゃいました。
「海」という一言で抱くイメージは、100人いたら100通りのイメージがきっとある、
それを相手に合わせようなどと思わず、自由に表現できたとしたら、100通りの海がそれぞれの口で語られたら、その多様性が、豊かさを生むのです、と。
確かに一人ひとり違うから、しかもそれを正しいとか変だとかジャッジなく語り合えたら、まさにそれが豊かさの源泉なんだよなぁと、感じ入りました。
私たちはもう、みんな一緒でないとダメ、という鎖を断ち切る時代に生きている、
対話できる自分に自分を育てていく必要があります。
でもそのためには、みんな違っていていいんだ、という安心感を得る必要があります。
人とは異なる自分を、これでいいんだ、と認めてあげる必要があるのです。
そんな場所を、作り始めています。
冬休み、ちょっと覗いてみるキャンペーンをしています。
詳しくは、ここから見てください。
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