アニメ「マクロス7」のFire Bomberは実はAORバンドなのではないか!?
僕も正直この記事を書くかどうかは正直迷いました。
何故かというと、
Fire Bomberはアニメ「マクロス7」のストーリーの中で"パンクバンドくらいの勢いでめちゃめちゃロックしてるバンド"みたいな扱いをされていて、それを前提にストーリーが進むので、
僕が"お前ら音楽性めちゃめちゃAORバンドやん!"などと言ってしまった場合、
「ロックさを売りにしている彼らへの営業妨害」になってしまう可能性があるからです。
ただ、僕はAORミュージシャンとして活動しているので、"世にAOR広めてAOR好き人口を増やさなければいけない"という使命があります。
だから世にAORを広める活動の一環として、
"至高のAORバンドであるFire Bomberの音楽性の解説"をどこかのタイミングで絶対にしなければならなかったので、それを今回やっています!
ということで、今回の記事は
"Fire BomberのAORな音楽性"と"そこから考えられること"
について書いていきたいと思います!
↑めちゃめちゃAORなFire Bomberの1Stアルバムを聴きながらお楽しみください!
そもそもFire Bomberとは?
Fire Bomberはアニメ「マクロス7」に登場する架空のバンドで、メンバーは熱気バサラ(Gt Vo)、ミレーヌ・ジーナス(Ba Vo)、レイ・ラブロック(Key)、ビヒーダ・フィーズ(Dr)の4名です。
LIVE活動をしたり、軍の特殊部隊になったりして、最終的に歌で戦争を終わらせて銀河的に有名になります。
・現実でも活動
現実でも熱気バサラの歌パート担当の福山芳樹さんと、ミレーヌ・ジーナスの歌パート担当のチエ・カジウラさんの2人とサポートメンバーでFire Bomberとして度々LIVE活動をされています。
・ただアニメと現実のFire Bomberはそれぞれ音楽性が違う
これは何故かと言うと、アニメのFire Bomberの曲(CDに収録される音源)の初期曲はAORなどのジャンルで活躍されているギタリストの河内淳一さんが裏でアレンジを手掛けています。
なのでFire Bomberの全曲は河内さんの初期曲のアレンジをベースにしたのか全体的にAORっぽいです。
対して、現実のFire BomberのLIVEの時の音作りは歌バサラの福山芳樹さんが手掛けているので、結構サウンドが福山さん好みなUKロック系のサウンドになっています。
他にも福山さんの作った曲は福山さんのバンド「HUMMING BIRD」寄りのアレンジになっていたりしますね。
なのでギターの音も河内さん系の音はAORなのですが、LIVEで演奏される福山さんの音はクイーンっぽいUKロックの音なので結構音が違います。
僕はAORミュージシャンとして河内さん監修のバサラギターも欲しいですね。
Fire BomberのAORな音楽性について
①河内さんの作った曲のAORに近いため全体的な曲にアレンジがAORっぽい
先程も言いましたが、Fire Bomberの作家の皆さんは、河内さんの初期曲のコンセプトを踏まえて曲を制作されているように思えます。
Fire Bomberの曲のアレンジの特徴としては
・時にクリーン、時に突き刺さるようなAORギターの音(河内さんの曲はご本人が演奏されています)
・変則コード
・めっちゃ暖かいコーラス
・最高の間で入るキーボード
・YAMAHA系の多めシンセのサウンド
・ブラスやストリングスもシンセブラスやシンセストリングス
・この年代特有のチープな打ち込みベースや打ち込みドラムの音
など、もろAORっぽい特徴が多めですね。
というより、AORミュージシャン用語で
"AORっぽい歌謡曲"を指す
「フュージョン歌謡」そのものだと思います。
他にもFire Bomberはちょっとロックにするためなのかオルガン系の音を多用する印象があります。
色んな曲を聴いてみると結構シティポップっぽい曲もあります。やっぱりアニソンとシティポップって親和性があると思います。。
バサラボーカルの曲は刻みギターがあったり、度々ギターの音が歪んでいたりと、ロック寄りな曲もあります。
ただAORのボーカルの人は結構"ダンディな歌声"だったり、"暖かい歌声"だったりするのですが、
福山さんの"熱いハイトーンロックな歌声"のおかげで"歌はかなりロック要素が強め"です。
そこのバランスが良いですよね!
対して、ミレーヌボーカルの曲は機材的にも"シンセポップ"っぽかったり"90年代アイドル歌謡"っぽかったりして聴き応えがありますね。
またアニメ後半になると、福山さんが自分のバンド曲を持ち込んで来たりするのですが、福山さんのバンド「HUMMING BIRD」によるバージョンだと結構"3ピースバンドの正統派のロック"なのですが、
「Fire Bomber」のバージョンではアレンジでコーラスを追加したり、コードを変えたり、キーボードの音を足したりして、"AORっぽいアレンジ"になっています。
②この時期のインストもののフュージョンに音作りや曲調が似ている
僕はこの時期のフュージョンだと「KONAMIのゲーム音楽」をAORミュージシャンたちがフュージョンアレンジした「pro-fusion」というフュージョンアルバムが好きなのですが、そのアルバムにかなりやっている手法や音作りなどが似ていますね。
他にもちょっと年代は前になるのですが、AB'Sの「AB'S-4」とも音作りが似ている気がします。
③AOR色強めな曲について語る
箇条書きで行きます!
・SEVENTH MOON
イントロのシンセやギターの音やフレーズがAORすぎる。至高のフュージョン歌謡。
・突撃ラブハート
チープサウンドと柔らかいコーラスや裏でキーボードやシンセがずっと鳴ってる感じが良き。
・PLANET DANCE
テクニカルな速弾きギターやチープなリズム楽器、シンセハーモニカが最高。
・REMEMBER 16
シンセの音を全開で出して来てゆったりした曲調や暖かみのある音作りが良く、コーラスの作り方も素晴らしい。クリーンギターも良い音。
・SUBMARINE STREET
ギターの音色(バッキングもリードも)やフレーズ、刻み系のベースライン、コーラスラインが素晴らしい。
・LIGHT THE LIGHT
突き抜けるギターと打ち込み中心の音で構成された壮大な曲。意外と最小限のリズム楽器が良い味を出している。
④再結成アルバム「RE.FIRE!!」は普通にハードロック
1998年のOVA関連のアルバムから大分経った2009年に発売された再結成アルバム「Re:FIRE!!」は結構生楽器中心の"ハードロックアルバム"で、Fire Bomberの音楽性が変わり、めっちゃロックしています。
バサラの声も渋くなっていて、僕はロックアルバムとして結構このアルバム好きです。
福山さん曲も多く、福山さんの意向が結構反映されたのでしょうか?
そこから考えられること
①ということは「LET'S FIRE!!」のゴールドディスク大賞を部門"アニメ"で獲ったが、実は音楽性的には"AOR"で獲っている説
これは僕の師から聞いた話ですが、この時期はオリコンの「ジャズチャート」はあまり賑わっておらず、CASIOPEAなどもそこまでCDが売れていなかったという話があります。
ということは
"この時期にアニソンではあるが、AORな音楽性でゴールドディスク賞を獲った"ということは"かなり快挙"なのではないでしょうか。
②宇宙でプレイされる未来のロックだということを考えた場合、こういう音作りやAORの音楽性に走るのはおかしくないのかもしれない
逆にマクロスの世界では"めちゃめちゃグローバルにウケるような、伝わるようなバンド音楽をやろうとした結果フュージョン歌謡な音楽性になった"ということが考えられますね。
もし本当に世の中がマクロス7みたいになるのであれば、2045年には宇宙中でAORが流行るので、その時僕は41歳ですが、AORの仕事でめちゃめちゃ忙しくなっていることを祈ろうと思います。
③フュージョン歌謡を歌いながら戦闘機で戦場を駆け回ることによる影響について
僕はこんなサウンドが流れたら、「お!めっちゃAOR!」ってなってしまうのですが、音楽にライトな人たちはどうなのでしょうか。
そもそも戦場で戦争の真っ最中ですから「歌」は刺さっても「サウンド」まで考える余裕は無いと思います。
また「AORのテクニカルな音楽性がチバソングにも影響があるのでは!?」とも思ったが、チバソングは"歌エネルギー"なのでサウンドはあんまり関係無さそうですね。