ガチの"昭和アイドルソングクリエイター"の方々が制作された スリーライツ 「流れ星へ」 のサウンドメイクに迫る
今回はアニメ「美少女戦士セーラームーン セーラースターズ」に登場するアイドルグループ「スリーライツ」の楽曲についての記事です!
作品内では大人気の「男性アイドルグループ」として活動していて、実は「男装しているセーラー戦士」だったりするのですが、それについては是非「セーラースターズ」本編をチェックしてください。。
ちなみに元ネタは昭和邦楽ファンにはお馴染み「ハートブレイク太陽族」のスターボーなのではないかと言われています。
本記事では、スリーライツの代表曲である「流れ星へ」のサウンドメイクについて解説していこうと思います!
制作陣はそれぞれ、
・作詞…武内直子さん (セーラームーンの原作者)
・作曲…鈴木キサブローさん
代表作:中森明菜さん 「DESIRE -情熱-」、沢田研二さん 「酒場でDABADA」、近藤真彦さん 「大将」、西城秀樹さん 「ジプシー」
・編曲…大谷和夫さん
代表作:西城秀樹さん 「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」、田原俊彦さん 「恋=Do!」、本田美奈子.さん 「Temptation(誘惑)」、岩崎良美さん 「赤と黒」
以前書いた大谷さんのアレンジテクニックをまとめた記事↓
となっており、作曲家さんとアレンジャーさんは
「数多くのアイドルソングを手がけられてきたクリエイターさん」
です。
そのため、時代的にも90年代のアニメの劇中歌ながら
「かなりガチなアイドルソング」
に仕上がっております。全然劇中歌のレベルを超えていますね…。
また「流れ星へ」はアニメ内でめちゃめちゃ歌われるので、僕も小学生の頃は大谷さんアレンジだと知らずに聴いていました。
ということで、今回は凄まじいクオリティのアイドルソング「流れ星へ」のサウンドメイクに迫っていきたいと思います!!
「流れ星へ」のサウンドメイクについて
①アイドルグループの曲らしく"3人じゃないと歌えないパート"を作っている
これは筒美京平さんがアイドルグループの曲を作られる時に、フレーズが重なり合う箇所など、敢えて"複数人じゃないと歌えない箇所"(例:少年隊の「仮面舞踏会」のBメロ)を作られていたそうなのですが、「流れ星へ」にもしっかりそういう箇所があります。
例えば、
・"Aメロの終わり"や"サビ"にメンバー同士の掛け合いパートがある
・Search for Your LOVEをハモる
・2番からはメンバーのソロパートが多くなる
などが顕著ですね。
②Bメロからイントロが始まりDメロで曲が終わる不思議な構成
この楽曲は、
イントロ…Bメロのメロディ
↓
Aメロ
↓
Bメロ
↓
サビ
↓
Dメロ
↓
Dメロのフェードアウト
という不思議な構成となっています。
恐らく完全に"掴み"や"インパクト"目的だと思うのですが、最初にBメロから始まることでBメロのハモリ部分の印象を重厚にしていますね。
③派手なイントロで掴む&宇宙感を出すためにキラキラした音色のシンセを多用
これも大谷さんがアイドルソングのイントロでよく使われる手法です。派手なイントロでリスナーを一瞬で"掴み"ます。
この曲では、エレクトロな音色のシンセサイザーによるグリッサンドで曲名通り「流れ星」のようなイントロを表現されています。
また曲の世界観通りの宇宙感を出すために、全体的にキラキラした音色のシンセサイザーによるフレーズ(シンセリード)が差し込まれていますね。
④フルバンドのようなブラスアレンジ
大谷さんはジャズのフルバンドのようなブラスアレンジを得意とされていて、極端に音が高いブラスのフレーズなども大谷さんのアレンジの特徴です。
その他、曲のセクション変わるときのブラスのキメフレーズが入るのも大谷さんがよくやられる手法です。
⑤"重厚感あるコーラスアレンジ"や"タイトな8ビートドラム"など、全体的にジャズ/シティポップっぽい
・重厚感あるコーラスアレンジ
・タイトな8ビートドラム
に加えて、
・ほぼDM7とC#m7の2つのコードで曲が組み立てられていて、半音進行のようになっている
ことから、かなりジャズやシティポップなど
「大人っぽい音楽を感じるようなサウンドメイク」
となっています。
これに関しては
「ジャズにめちゃめちゃ強い方が宇宙や流れ星をイメージしてアレンジをしたら凄く大人っぽい音になってしまった」
と考えています。そのおかげで、曲に"スーパースター/スーパーアイドル感"があるので、サウンドメイク的には大正解だと思いますね。
※少年隊もバンドブームでアマチュア感がウケていた時代に、プロが作った感(「君だけに」など)を大事にされていたそうです。
余談:アレンジが完璧すぎてリミックスで崩せない
こちら、
・海外のクリエイターさんによる「流れ星へ」のリミックス
・セーラームーンの新作映画用にリアレンジされた「流れ星へ」
なのですが、リアレンジの内容が両方とも
「ドラムやギターを少々追加した上で、BPMのみを変更」
となっており、ほぼオリジナルのアレンジをそのまま採用しています。
その理由ですが、恐らく
「オリジナルのアレンジがあまりに完璧に構築されすぎていて崩しようがない
(だからBPMを変えるのみに留めた)」
「コードがほぼ2つだけの曲で、コードを変えてしまうと曲の印象が変わり過ぎるし、新たに曲の構成を変えたり、コード進行を変えて展開を作り上げるのも難しい」
からではないかと考えています。
改めて"オリジナルのアレンジ"や"曲の構成"が完璧に構築されていることを痛感します…。
まとめ
・「流れ星へ」はガチの昭和アイドルソングのクリエイターさんによるテクニックが詰め込まれているため、アニメの劇中歌のクオリティを超えたアイドルソングに仕上がっている
・アレンジが完璧に構築されすぎて、リミックスやリアレンジの際に崩せない
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