沢田研二さんが「柴山和彦さんと2人でLIVEをされていた頃」のサウンドメイクを分析
今回は沢田研二さんに関する記事です!
内容的には、
↓の続編で、
↓の前日譚となります!
今回取り上げる内容は
「沢田さんがギタリストの柴山和彦さんと2人体制でLIVEをされていた頃のサウンドメイク」
となります。
このボーカルとギターの2人だけの編成は、
沢田さんご自身が
「12年ほど構想されていた編成
(元々還暦LIVEの後にこの編成に挑戦される予定だった)」
らしく、2018年から2021年いっぱいまでは2人編成でLIVEされていました。
勿論この時期にリリースされた新曲は全てギター1本の伴奏なのですが、LIVEでは過去の楽曲も全てギター1本の伴奏にリアレンジされています。
ということで、
・ボーカル&ギター体制はどのようなサウンドだったのか
・逆にこの時期にリリースされたギター1本伴奏の新曲は最近のバンド編成ではどういう形で演奏されているのか
について書いて行こうと思います!!
ちなみに筆者は2021年の「BALLADE」ツアーを2公演見に行った(このツアーの初日が初ジュリー)のですが、物凄くパワフルなLIVEで圧倒されました。。
沢田さんのボーカル&柴山さんのギターのみのサウンドメイ
①アコースティックLIVEではなく"ロックのLIVE"/基本全曲エレキギター
まず、「ボーカルとギターだけなら弾き語り/アコースティックみたいな感じなのかな?」
と思われるかもしれませんが、
基本的に一部のバラードを除いて全曲エレキギターによる伴奏です。
しかもエレキギターの音色が結構歪んでいてグランジ寄りで、激しいストロークやカッティングなどを多用して演奏されます。
(ヘビィな音色な理由は沢田さんのパワフルで太い歌声に合うような音色にされているからと思います。)
パンク系のボーカリストの方の弾き語りだと「エレキギター弾き語り」もちょくちょく見かけるのですが、70代のアーティストでこのスタイルの方はなかなか見かけませんね。
そんな激しいギターに沢田さんの迫力ある歌声やシャウトが合わさるので、とても「歌とギターだけ」とは思えないような分厚い音に聴こえます。めちゃめちゃロックです。
②アップテンポな曲は「エレキギター+お客さんの手拍子」で華やかに
例えば
・「A・C・B」
・「マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!」
・「30th Anniversary Club Soda」
・「根腐れpolitician」
などのアップテンポな曲は、
お客さんの手拍子も合わさってかなり華やかになります。
客席に聴こえる音は「歌とギターだけ」なので、アップテンポな曲はお客さんの手拍子がパーカッションのような役割を担っていて、ステージ上のお二方と共にサウンドを作り上げていました。
③バラードはリードギターのフレーズを中心に演奏
・「三年想いよ」
・「時の過ぎゆくままに」
・「雨だれの挽歌」
・「追憶」
などの楽曲で柴山さんは、
基本的に突き抜けるようなクランチの音色で「リードギターのフレーズ」を演奏されていました。
そのため、ギターで「♪ジャカジャカ〜」とコードを弾く弾き語りスタイルでバラードを歌うのではなく、
リードギターのフレーズだけで叙情的な雰囲気を作り上げ、曲の世界観を構築していく形でバラードを歌われます。
個人的にはギター1本の「時の過ぎゆくままに」「雨だれの挽歌」は、
「こういうアレンジでもカッコよくなるのか!」
と感じて大好きになりました。
④一部のバラード曲のみアコギを使用
「BALLADE」ツアーで披露された楽曲だと、
・「あの日は雨」
は、アコースティックギターのコード弾きによるアレンジで披露されました。
このアレンジは「アコギでの弾き語り」のような感じだったのですが、本当にこれくらいしかアコギを使う曲が無かったので、沢田さんの中では
「このアコギバラードコーナーは"真のバラードコーナー"のような扱いなのかな」
とも思いました。
⑤沢田さんがバンドの時よりシャウトされる
沢田さんのボーカルは、
「ロックバンド編成じゃないから激しい歌い方は抑えめ」
などは全く無く、
「むしろ伴奏がギターだけだからこそシャウトを多用」
されます。
この時期にリリースされた「ギター1本の新曲」もシャウトを用いる楽曲が多く、
などがあります。
その他、過去曲でもhiAのロングトーンを用いる
・「渚のラブレター」
・「明日は晴れる」
なども披露されていました。
(バラード枠でしたが、物凄い雄叫びでした。)
また、70代を迎えた沢田さんの
「雄大でブルージーな太い歌声/桁違いな声量」
だからこそ、この編成が成立しているんだと思います。
"太くてパワフルのある歌声の倍音自体"がこの編成でのベースのような役割を担っている節はありますね。
※元々のベースレス編成も沢田さんの声量や声質ありきでしたし…。
⑥相当演奏力に自信がないと出来ない
恐らくこの編成は
「歌とギターだけでどれだけロックなことができるのか」
というチャレンジ的な部分がある上に、
「お客さんに聴こえるの"歌とギターだけ"だから相当演奏力に自信が無いと出来ない」
のですが、お二方とも熟練のプロなので、激しくダイナミックな演奏でロックなサウンドを作り上げられています。
この編成でしっかりロックなLIVEを魅せれたのは、本当に沢田さんと柴山さんの"実力/ロック魂"が凄すぎるからだと思っています。
個人的にはツアーではなく「正月LIVE」などで、
「ボーカルとギターのみ」
のLIVEをもう一度見てみたいという気持ちも強いです!
余談:この時期に「ギター1本」でリリースした曲は今のバンド編成だとどうなるのか
2022年以降のLIVEだと
・「核なき世界」
・「頑張んべえよ」
・「根腐れpolitician」
・「ISONOMIA」
がバンド演奏で披露されています。
前者2曲は、七福神バンドで"ラウドロックアレンジ"されていて、凄くカッコいいサウンドに仕上がっていました。
一方、後者2曲は"ラウドなバンドサウンド+エレクトロな音色のリードシンセが入る"という形のアレンジで披露されていて、例えば「根腐れpolitician」は、
「♪嘘で〜 (♪タラララ〜)
♪かわし〜 (♪タラララ〜)」
というようなエレクトロなリードシンセのフレーズが加わっていました。
これらのアレンジは、現在七福神バンドのアレンジを担当されている斎藤有太さんがLIVEのために完全新規で制作されたアレンジだと思われます。
まとめ
・沢田研二さんと柴山和彦さんの2人体制のLIVEは、歌とギターのみでも"アコースティックLIVE"ではなく"ロックのLIVE"だった
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