Peaky Oyanagiさんと「60〜90年代の旧ジャニーズ楽曲」をテーマに対談してみた 【対談/インタビューシリーズ②】
今回が第2回となります!
"SHU-TO.が好きなミュージシャン/活動者をゲストにお招きして、好きなことを語り合い、気になることを伺う。"
というコンセプトの連載企画
「SHU-TO. プレゼンツ
対談/インタビューシリーズ」
前回まで↓
第2回のゲストはDJ/イベントオーガナイザーのPeaky Oyanagiさんです!!
元々Oyanagiさんとは「少年隊好き」という縁でTwitterのFFだったのですが、今回「60〜90年代の旧ジャニーズ楽曲」がテーマの対談企画を行うにあたり、「旧ジャニーズ楽曲の豊富な知見がおありな方」ということでオファーさせて頂きました!
それでは早速本編に入ります!
■Peaky Oyanagiさん プロフィール
SNS : ↓
Peaky Oyanagiさんと「60〜90年代の旧ジャニーズ楽曲」をテーマに対談してみた
SHU-TO : Oyanagiさん、今日はよろしくお願いします!
Oyanagiさん : いえいえ、こちらこそよろしくお願いします!
SHU-TO : まず最初にOyanagiさんが「旧ジャニーズ楽曲をお好きになられた経緯」から伺わせて頂きたいのですが、どのような経緯でお好きになられたんですか?
Oyanagiさん : 僕が旧ジャニーズ楽曲を好きになった経緯は、宇多丸さんと西寺郷太さんのラジオで「光GENJIの1stアルバム」が紹介されていたことがきっかけですね。その後すぐ「夜のヒットスタジオの仮面舞踏会」の映像を見て、少年隊も好きになりました。2つとも凄く衝撃的だったんですよ。
SHU-TO : 光GENJIと少年隊がきっかけだったんですね!宇多丸さんのラジオは定期的に「少年隊特集」の回を放送されてますよね。
Oyanagiさん : 「夜ヒットの仮面舞踏会」は本当にダンスがキレキレ過ぎて驚きました。僕はバンドも大好きなので、生バンドで歌って踊るところも刺さりましたね。少年隊は西寺さんも仰ってる通り「マイケル・ジャクソンのようなことを日本でやっている」という稀有なスタイルなので、そこにも衝撃を受けました。
SHU-TO : 「夜ヒットの仮面舞踏会」は撃ち抜かれますよね…!僕は昭和スタジオミュージシャンのオタクだったので、「ミュージシャンの方々のキャリアを辿って行ったら、数多くの旧ジャニーズ楽曲に参加されていた」というきっかけで好きになりました。
◯60〜70年代編
SHU-TO : ここからは年代ごとにセクションを分けてお話していきたいと思います。まず、60〜70年代編の旧ジャニーズ楽曲についてお話していきたいのですが、実は僕フォーリーブスからしか聴いていなくて…。Oyanagiさんは初代ジャニーズから聴かれてるんですか?
Oyanagiさん : 一応初代ジャニーズから聴いてます! といっても「手に入りそうだったからレコード買っちゃった」という理由なんですけど笑。初代ジャニーズのサウンドは結構グループサウンズっぽいなって思いますね。
SHU-TO : となると、初期からグループサウンズ寄りなサウンドなんですか?
Oyanagiさん : 初期はちょっと違うんですけど、グループサウンズが出てきたあたりから、段々そのサウンドを取り入れてたりしてて。演奏にジャッキー吉川とブルー・コメッツやザ・スパイダースが参加している曲もありますね。
Oyanagiさん : ちょうどグループサウンズが出てくるのが、初代ジャニーズがアメリカに行ってる間なんですね。なので、初代ジャニーズがアメリカから日本に帰国したらグループサウンズの大ブームが起きてたんですよ。だから、初代ジャニーズは国内人気でもグループサウンズに遅れを取ってしまうという。。
SHU-TO : そうなんですね…。でも逆にフォーリーブスは初期から結構グループサウンズ寄りなサウンドですよね?
Oyanagiさん : そうですね!グループサウンズへの対抗意識的で髪を長髪にしたり。初代ジャニーズはみんな短髪だったので。
SHU-TO : そこの作戦もあったんですね。Oyanagiさんはフォーリーブスだと、どのあたりの楽曲がお好きなんですか?
Oyanagiさん : 勿論「ブルドッグ」や「オリビアの調べ」とかも好きなんですけど、「急げ!若者」が凄く好きで。あの曲は"ミュージカルっぽさ"と"グループサウンズっぽさ"が絶妙に混ざってるんですよね。
SHU-TO : あの曲はガラッと展開が変わるのがカッコいいですよね!僕は「嵐のあと」みたいな"フォーリーブス色を確立してきたあたり"の曲が好きですね。フォーリーブスのサウンドは初期からずっと「コーラスラインのキレイさ/ベースラインのイカツさ」という一貫した特徴があると思ってます。
SHU-TO : あとラストシングルの前にリリースしたアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「宇宙のファンタジー」のカバーも大好きで。ちょっと歌謡曲っぽくストリングスが強めだったりして。
Oyanagiさん : あー!あれいいですよね!僕はザ・テンプテーションズの「ハッピー・ピープル」のカバーめちゃめちゃ好きですよ!
SHU-TO : あれもアップテンポアレンジされててカッコいいですよね!フォーリーブスの洋楽カバーは間違いなく後世のアイドルグループに影響を及ぼしていると思ってます。
Oyanagiさん : あとサウンド面じゃないんですけど、僕、北公次さんの"独特の影のある雰囲気"が凄く好きで。映画「竜二」とかにも出演されてましたけど、「道を踏み間違えなければ物凄い俳優になっていたんじゃないかな…」って思ってます笑。この事務所、"快活な雰囲気な方"と同じくらい"物哀しい雰囲気の方"多いですよね笑。
SHU-TO : 確かに成田昭次さんとかもそっち系ですね…。では、フォーリーブスの後にデビューされた郷ひろみさんについてお話していきたいのですが。
Oyanagiさん : 郷さんの雰囲気も独特ですよね。多分このあたりから事務所も「他所のアイドルやバンドをリサーチし始めてる」ので、郷さんはグループサウンズのオックスみたいな雰囲気もあって。
SHU-TO : 確かに初期の郷さんは「グループサウンズの可愛い担当」みたいな雰囲気がありますよね。郷さんの初期曲は、ギターを「男の子 女の子」は矢島賢さん、「よろしく哀愁」は芳野藤丸さんが演奏されてるので、とにかくギターがカッコいいんですよ。
Oyanagiさん : あー確かにギターカッコいいですよね!
◯80年代前半編
SHU-TO : 続いては、80年代前半編に移ります。1980年に田原俊彦さんがデビューされるので、まずは田原さんについてお話していきたいと思います。
Oyanagiさん : 田原さんは"完成形"ですよね。徐々に少年から大人になっていく過程も含めてアイドルを提示し始めたのは田原さんが最初なんじゃないかと思ってます。当時の事務所的にも「アメリカのダンサーみたいに年齢を重ねても踊れるようなタレントを作らなきゃいけない」という方向性があったそうで。
SHU-TO : 田原さんは初めから"長期育成"を見据えたタレントさんだったんですね。歳を重ねられてもキレキレのダンスは本当に凄いと思います。Oyanagiさんは田原さんの楽曲だと、どのあたりがお好きですか?
Oyanagiさん : 僕は「キミに決定」と「悲しみ2(TOO)ヤング」が好きですね。この時期の曲は結構好きな曲沢山あって。
SHU-TO : デビュー初期の爽やか曲がお好きなんですね!僕はAORバンド SHOGUNの方々がアレンジ/演奏で楽曲制作に携わられていることもあって、田原さんの楽曲が凄く好きで。↓
SHU-TO : その中でも「ハッとして!Good」が大好きなんですけど、「とても美しい曲だけど、どこかで聴いたことある構成だな〜。あ!"LUNA SEAのROSIER"と一緒だ!」ということにある時気付いて笑。それ以降「ハッとして!Goodは歌謡曲でROSIERをやっている説」を提唱してます笑。
Oyanagiさん : あー笑!確かに言われてみればそうですね笑!
SHU-TO : そして、すぐ後にデビューされるマッチさんの曲も、「ふられてBANZAI (ブラスロック)」「ケジメなさい(テクノ)」「ハイティーン・ブギ (ロック)」とか、"ジャンルも幅広くて良い曲が多いな"って思ってるんですけど、マッチさんの曲はいかがですか?
Oyanagiさん : マッチさんの「ハイティーン・ブギ」は、恐らく山下達郎さんが1980年にクールスというバンドのボーカリスト"水口晴幸さん"をプロデュースされた時の経験を活かして制作されてると思うんですよね。だから、"達郎さんの思い描く不良サウンドの原型"は、達郎さんプロデュースの水口さんのアルバム「BLACK or WHITE」に詰まっていて。これ聴くと結構面白いですよ。
SHU-TO : 原型みたいなアルバムがあるんですか!勉強になります…。「ハイティーン・ブギ」といえば、「達郎さんが当時のマッチさんの持ち歌を全曲聴いて、"どの音階からどの音階への発声なら安定しているのかのチャート"を作って研究した結果、下がり調子の楽曲になった」というエピソードも強いですからね。
Oyanagiさん : マッチさんへの楽曲提供はそこのシビアさもありますよね…笑。
SHU-TO : そして、この後はシブがき隊がデビューされますけど、シブがき隊についてはいかがですか?
Oyanagiさん : シブがき隊も好きな曲色々あるんですけど、ガッツリ好きというよりは"バラエティ/トンチキの先駆けグループ"として楽しく聴いている感が強いですね。
SHU-TO : 確かに少年隊と比べると、シブがき隊は"パワーゴリ押し系"の楽曲が多いですよね。シブがき隊のシングルは、大体井上大輔さんか後藤次利さんが書かれてるんですけど、次利さんの作風が一世風靡セピアの時と全然違くてビックリしました…。
Oyanagiさん : あ〜確かに全然違いますよね。僕はシングルだと「Zokkon 命」が結構好きなんですよね。「命」って書いて「LOVE」って読むのも味があって凄いなって思って。森雪之丞さんのセンスに脱帽しました笑。
SHU-TO : 確か「Zokkon 命」はアレンジャーの水谷公生さんが、「ナイト・レンジャーのDon't Tell Me You Love Meと似た感じのイントロを作ったら、ディレクターさんに"同じにしちゃってよ"って言われて同じ演奏になった」ってインタビューで仰ってました笑。
Oyanagiさん : なるほどな〜。あとは、ラストシングルの「君を忘れない」も好きです。"最後にちゃんと作って貰えた曲"なんだなって感じる部分もあって。
SHU-TO : 「君を忘れない」はプリテンダーズの「Don't Get Me Wrong」っぽいアレンジなので当時の流行りの音を感じますね。
Oyanagiさん : あの曲はそっち系のアレンジですよね。意外と最後の方のシブがき隊はオシャレなサウンドになっていくんですよ。歌唱力も向上してて。
SHU-TO : 後期の「KILL」とかも大人っぽいですからね。ちょうどシブがき隊の中期くらいからASKAさんや長渕剛さん、ラッツ&スターとかが楽曲提供をされてるので、この辺りから"ミュージシャンによる旧ジャニーズへの楽曲提供"が盛んになってきますね。
Oyanagiさん : あー!確か田原さんの1stアルバムも近田春夫さんが数曲提供されてたりしたんですよ!!いわゆる"他の界隈のミュージシャン"による楽曲提供を最初に取り入れたのは、田原さんからなのかなって思います。
SHU-TO : 田原さんの1stアルバムは駆け出しの頃の松下誠さんも数曲アレンジで参加されてるので、物凄い攻めたデビューアルバムですよね…。
SHU-TO : そういえばOyanagiさんが大好きなTHE GOOD-BYEもこの時期ですよね!
Oyanagiさん : GOOD-BYEもこの時期ですね!GOOD-BYEは"メンバー自身で曲を自作する"のが凄いと思っていて。しかも初期は「自作曲」と「作家さんが作った曲」をちゃんと両立させてやってるんですよ。チェッカーズが人気過ぎて大人気にはなれなかったんでしょうけど、良いアルバムばっかりですよ。
SHU-TO : そこを両立させてるところは本当に凄いですよね。僕はGOOD-BYEを本格的に履修出来ていないんですけど、GOOD-BYEの自作曲の方向性って具体的にはどういう感じなんですか?野村さんは古いハードロックへの造詣の深さが有名ですけど。
Oyanagiさん : 実は僕とヤッチンさん(曾我泰久さん)はとても音楽ルーツが近くて。ヤッチンさんは「ビートルズ/ビーチ・ボーイズ/XTC」みたいなソフト寄りなバンドがルーツなんですよ。だから「ハード寄りな野村さん×ソフト寄りなヤッチンさん」による音楽性の化学反応が斬新なんです。
SHU-TO : そういう感じのサウンドなんですね!
Oyanagiさん : ヤッチンさんはストレイ・キャッツみたいな当時のアメリカのネオロカビリーバンドも聴かれてたみたいで。なので、GOOD-BYEの曲には聴いた瞬間に「これストレイ・キャッツじゃん笑!」って感じる曲もあったりして超面白いですよ。
SHU-TO : 男闘呼組にもネオロカの曲ありますけど、旧ジャニーズで早めにネオロカの曲を作られてたのはGOOD-BYEだったんですね!
◯80年代後半編
SHU-TO : ここからは80年代後半編に移ります!1985年の末からついに少年隊がデビューされます!
Oyanagiさん : いよいよ少年隊のお話が出来ますね!僕は本当に「仮面舞踏会」を初めて聴いた時の"稲妻に打たれたような衝撃"がきっかけでレコードを買い集めたんですよ。
SHU-TO : 僕も「人生で好きな曲トップ10を選べ」って言われたら「仮面舞踏会」は絶対入ります。
Oyanagiさん : 曲構成といい、破裂音みたいなイントロといい、完璧ですよね。
SHU-TO : あのイントロのキーボードのフレーズは打ち込みじゃなくて、SHOGUNのキーボーディストの大谷和夫さんが生で弾かれてるらしいですよ。
Oyanagiさん : あーそうなんですね!
SHU-TO : 「仮面舞踏会」は"サラリーマンの宴会ウケ"とか"3人でしか歌えないパートを作る"とか様々なことを計算して作られてる上に、歌詞もアレンジも何十回とやり直されてたそうで。僕も度々昭和邦楽のアレンジャーさんにお話を伺うことがあるんですけど、大体「アレンジのやり直しは多くて3回」らしくて、何十回なんてあり得ないみたいですからね。
Oyanagiさん : 何十回は本気度を感じますね…。あの曲からは錦織さんとミュージシャンの方々がとにかくこだわり抜いて作ったのが凄く伝わってきますからね。だからこそあんなに良い曲に仕上がったんだろうなって思います。
SHU-TO : 少年隊は1stアルバム「翔 SHONENTAI」を作る時も、他所のグループならシングルに出来るレベルの曲をバッサバサ没にしたそうですからね。
Oyanagiさん : 初期の少年隊の制作スタンスは、「本当に世界を目指していたんだろうな」という姿勢を強く感じます…。
SHU-TO : ちなみに80年代の少年隊の曲だとどのあたりがお好きなんですか?
Oyanagiさん : えっーと色々好きすぎて笑。何が好きだろうな…。HIPHOPの「ガ・ガ・ガ」とかも好きですし、「ヴギウギ・キャット!」も好きですし。
SHU-TO : 「ヴギウギ・キャット!」はディープ・パープルのリフのサンプリングが入っていて良いですよね。
Oyanagiさん : シングルで好きなのは「SILENT DANCER」ですね。雰囲気がオシャレでめちゃくちゃ好きなんですよ。振り付けの"錦織さんと東山さんが向かい合って踊られて、真ん中で植草さんが歌われるところ"も大好きです。
SHU-TO : 植草さんも昨年のソロコンサートで「SILENT DANCER」歌われてて、メロウなカッコよさがありました。
Oyanagiさん : あとは「What's your name?」もカッコいいですね。個人的には仮面舞踏会に並ぶ名曲です。作詞:宮下智さんで、作編曲:馬飼野康二さんという鉄壁の布陣。ダンスがゆっくりになったり高速になったりと目まぐるしい曲な上に、台湾で小虎隊にカバーされたりしていて。未だにサバイバル番組にも使われたりするくらいアジアでも馴染み深い楽曲なんです。
SHU-TO : 錦織さん曰く「What's your name?はソウルステップが入っている分、大きく踊らないといけない」みたいですからね。僕はシングルだと「ダイヤモンド・アイズ」が好きです。2010年代のEDM系K-POPみたいな"ダンス込みで完成するクセのあるトラック"なところが大好きで。
Oyanagiさん : 「ダイヤモンド・アイズ」良いですよね!
SHU-TO : アルバム曲だと「1998 〜星の彼方へ〜」が好きですね。最近流行りの"爽やかニュートロトラック"と構造が一緒で、時代を先取ってるところにシビれました。
Oyanagiさん : 僕はアルバム「TIME・19」の楽曲だと、「ガ・ガ・ガ」以外に「ストレンジャー Go To The ストリート」も好きですよ。
SHU-TO : 「ストレンジャー Go To The ストリート」は「アレンジャーの松下誠さん(のバンド AB'S)の持ち歌じゃない!?」ってくらいアレンジのクセが強いですよね笑。
Oyanagiさん : 錦織さんのソロ曲はニューウェーブっぽい曲多めですよね。ご自身もアズテック・カメラやスタイル・カウンシルを聴かれてたみたいですし。錦織さんがラジオでかけてた曲、僕の好きな曲ばっかりで「この人DJやっても最高なんだろうな」って思いました笑。
SHU-TO : 錦織さんがFunky Diamond 18のLIVEで流されてる曲の選曲も素敵ですからね。続いては、光GENJIのお話に移ろうと思います。Oyanagiさんが一番最初に買われた旧ジャニーズのレコードは、光GENJIの1stアルバムなんですよね?
Oyanagiさん : そうですね!「CHAGE and ASKA色でカチッと固まった1stアルバム」も最高なんですけど、2ndアルバムの「Hi!」も好きなんですよ。「ファンキー・ランド」とか「サマースクール」とか。
SHU-TO : 濱田金吾さん作の「サマースクール」は、メロディ運びもキレイで、アレンジもシティポップ/AORみたいで良いですよね。
Oyanagiさん : 氣志團の綾小路翔さんも「Hi!」が凄くお好きみたいで、「このアルバムが大好き過ぎて、中古屋さんで売られてる分を買い占めて友達に配りたい!」って仰ってましたよ笑。
SHU-TO : 綾小路さんの旧ジャニーズアイドルへの愛は凄いですからね…。続いては翌年デビューの男闘呼組のお話に移ります。男闘呼組についてはいかがですか?
Oyanagiさん : 「DAY BREAK」とかのレコードは持ってます。"80年代のハードロック"って感じがしますよね。
SHU-TO : 初期の曲は作曲家の馬飼野康二さん(Mark Davis名義)たちが"Bon Joviを始めとするハードロックをインプットして出力したような楽曲"も多いのですが、後半は曲を自作されるようになられて、どんどんサイケデリック/スピリチュアル/プログレッシブロックみたいな路線になるんですよ。
Oyanagiさん : 高橋和也さんって確かお家がカントリーバーですよね?男闘呼組は元々音楽への気持ちが熱い方々の集まりだったからか、徐々にサウンド内の自我が強まってきますよね。
SHU-TO : 和也さんの作られる曲が一番思想強めですね。歌詞のテーマも薬物/政治/スピリチュアルとかになっていくので。それもあるのか、最近のLIVEで披露される定番曲は「ちょっどMark Davisさん期〜思想の強い自作曲期の中間」の「曲を自作し始めた期」の楽曲が中心ですね。↓
Oyanagiさん : でも僕は活動休止直前の曲も好きなんですよ。「凄い攻めたことやってて面白いな〜」って思って。
SHU-TO : メンバーごとに作風に特徴があって、岡本健一さんは「ゴシック/アンビエント」みたいな曲を持ち込まれるんですけど、「こんな攻めた曲がOK出たの!?」って思いながら聴いてました。多分プロデューサーの蛎崎広柾さんがOKをお出しされたんでしょうけど。
Oyanagiさん : やっぱりそこを判定するのはプロデューサーさんなんですね…。
SHU-TO : そして、この時期の田原さんはコンテンポラリーR&B/シティポップ路線になられてましたけど、そのあたりはいかがですか?
Oyanagiさん : やっぱり僕は田原さんが段々大人びていく感じが好きなんですよね。「カッコつかないね」とか「It's BAD」も好きですし。「It's BAD」のラップトラックは「やっぱり久保田さん凄いな」って思いますもん。
SHU-TO : 久保田利伸さんは「It's BAD」以外に「夜の都」っていうバラード曲も提供されてるんですけど、それがまんま当時の久保田さんの持ち歌みたいで大人なサウンドなんですよ。
Oyanagiさん : 久保田さんが田原さんに楽曲提供され始めたあたりから「日本の音楽が変わっていく雰囲気」を肌で感じ取れて面白いですよね。「職業作家さんだけじゃ作れなかったもの」が出来て行くのに時代の流れを感じます。
◯90年代編
SHU-TO : ここからは90年編に移りたいと思います!まずは90年代の少年隊サウンドについてお話していきたいのですが、このあたりについてはいかがですか?
Oyanagiさん : 僕はアルバム「Prism」が凄く好きです!「Be COOL」とかも好きですし。
SHU-TO : スウィング調の「Be COOL」カッコいいですよね。僕は「Prism」のアルバム曲だと「愛の嵐」が好きです!ちょっとハロプロっぽいところもあって。
Oyanagiさん : 「愛の嵐」も大好きですよ!!分かります!ハロプロっぽいですよね!というか「Prism」は全体的にハロプロっぽくて。スペクトラムのカバー曲「Act-Show」から始まるのも余計にハロプロ感を加速させてますよね。
SHU-TO : 「Prism」はシングル曲も中西圭三さん作の「愛と沈黙」や、山下達郎さん作の「湾岸スキーヤー」が収録されてて、良い曲ばっかりの名盤ですよね。
Oyanagiさん : 僕「湾岸スキーヤー」を初めて聴いた時、「錦織さんが歌上手すぎてヤバいな」って思いましたもん笑。
SHU-TO : この前Funky Diamond 18のLIVEで、錦織さんが「湾岸スキーヤー」を歌われてたんですけど、そのままLIVE音源をパッケージ化してほしいくらい良かったですよ!バックバンドもNeighbors ComplainっていうR&Bバンドだったのでサウンドも仕上がってて。
Oyanagiさん : めちゃめちゃ見たかったです!良いなー!僕は本当に錦織さんの歌声が大好きで、"アイドルの歌唱力"を超えてしまってますよね。あんなに"ファンク/ソウルを感じる歌声の方"がアイドルをされてたのが不思議です。めちゃめちゃハイトーンですし。
SHU-TO : この前のLIVEでの「湾岸スキーヤー」も、ラスサビのシャウトがキレキレでしたし、低音より高音の方が出しやすそうでしたからね。この「Prism」を通して聴くと、錦織さんの音域の広さを強く感じます。「Act-Show」でファルセット、「湾岸スキーヤー」でシャウトを用いられていたり。
SHU-TO : 僕は逆に90年代前半の「コンテンポラリーR&B期の少年隊」も好きですね。特にアルバム「Heart to Heart 5years 少年隊…そして1991」の1曲目「衛星の街 -サテライト・シティー-」が好きなんですけど、アルバムの1曲目で"近未来的なハウスビート"をやってるんですね。この10年後に、他事務所ですけど、w-inds.も2001年リリースの1stアルバムの1曲目で全く同じ曲調をやってて、「10年早くやってる少年隊は時代を先取ってるな」って思いました。
Oyanagiさん : それめちゃめちゃ凄いですね笑。少年隊の先取りセンスは本当に驚かされるばかりで。確か錦織さんはかなり早い段階からDA PUMPのことを褒めてましたよね。
SHU-TO : DA PUMPを事務所の後輩だと思って"ウチから良いグループが出てきたな!"とスタッフさんに言ったら"あのグループはウチじゃないです!"って怒られてたみたいですからね笑。
Oyanagiさん : 強烈なエピソードですけど、あの方はそういうところありますからね笑。
SHU-TO : 錦織さんの強烈なエピソードといえば、錦織さんは少年隊の曲をかなり書き換えられているそうでして…。西寺さんが提供された「プリマヴェラ〜灼熱の女神〜」も錦織さんがまあまあ歌詞を書き換えられていたり、「Stripe Blue」も元々サビのラストは「♪Stripe Blue〜」だったみたいなんですけど、錦織さんが一文字追加して「♪Stripe Blue "で"〜」にしてピボットノートを作ったらしいです…。
Oyanagiさん : 僕もそんなエピソード聞いたことあります…。錦織さんはアレンジ能力が高すぎますよね。
SHU-TO : 多分少年隊の曲は、全曲「監修 : 錦織一清」なんだと思いますよ。
SHU-TO : では、90年代の光GENJIのお話に移りたいと思います。このあたりの光GENJIについてはいかがですか?
Oyanagiさん : 僕は光GENJIの「'93 WINTER CONCERT BRAVO!Nippon」のコンサートツアーが好きで、HIPHOPの影響を受けているダンスが最高なんですよね。"アイドルのダンスじゃないことがやりたかったんだな!ダンスが上手くなっていて脂が乗ってる時期の光GENJI良いな!"って思って。この時期からTRFのSAMさんが振り付けに携わられてるんですよ。
SHU-TO : 今でこそSAMさんは東方神起のLIVEの演出を何年もやられてますけど、本格的にアイドルのコンサートに携わられたのは光GENJIが最初なのではないですかね。
Oyanagiさん : 当時ダンス番組の司会をされてた大沢樹生さんがSAMさんと友達にならなかったら、旧ジャニーズのダンスにHIPHOPのエッセンスが入ることは無かったと思うんですよね。その後、忙しくなられたSAMさんが、代わりにサンチェさんを連れて来られたらしいので。
SHU-TO : 光GENJIのコンサートはそのあたりも革新的だったんですね。僕は90年代の光GENJIだと、解散後の佐藤アツヒロさんソロが大好きで。そうる透さんプロデュースのめちゃめちゃギターロックなアルバムなので、対談終わったらアルバムお貸しします!
Oyanagiさん : ぜひ!気になります!!
SHU-TO : では、SMAPのお話に移りたいと思います。OyanagiさんはSMAPだと、どのアルバムがお好きですか?
Oyanagiさん : 「SMAP 007 〜Gold Singer」ですね!ダントツで好きです!
SHU-TO : 僕も「007」大好きです!周りの大人から「007とSmappies(当時のSMAPのインストアルバム)良いぞ!」って勧められて大好きになりました。SMAPや東京女子流みたいな「アイドル×AORのサウンド」が好みなもので…。
Oyanagiさん : この時期のSMAPの「豪華な海外スタジオミュージシャンと一緒に作品を作り上げるスタイル」は音楽に対する真摯な向き合い方を感じて素敵ですよね。
SHU-TO : あと「007」は凄く音が良くないですか?初めて聴いた時1995年のアルバムとは思えないくらい音良くてビックリしました…。
Oyanagiさん : 「007」めちゃめちゃ音良いですよね!ただやっぱり「007」のサウンドの奥底にはCHOKKAKUさんの凄さを感じます。SMAPも音楽性の変化を辿ると面白くて、最初の「Can't Stop!! -LOVING-」の頃は「光GENJIの後釜をやらせたかった感」がありますよね。
SHU-TO : 2ndアルバム「SMAP 002」からニュージャックスウィングが入ってきて、そこからディスコ路線になる流れも面白いですよね。
Oyanagiさん : ファンの方々も「SMAPの音楽性がどんどん変わっていく過程」を追えるのは楽しかったんじゃないかなって思いますね。
SHU-TO : 最後に、90年代後半からデビューされるいわゆるJ-FRIENDS内のグループについてお話していきたいのですが、このあたりのグループの楽曲だとどのあたりがお好きですか?
Oyanagiさん : まず、V6は世代的に中期の曲からしか知らなくて。後追いで初期曲を聴いたんですけど、物凄いユーロビートで「やっぱavexだなー」って思いました笑。MAXとかと近い音楽性じゃないですか。
SHU-TO : avex全開サウンドな上に、楽曲制作にデイヴ・ロジャースさんやm.o.v.eのmotsuさんが携わられてますからね。僕的には"一番歌番組で歌われてる特撮ソング"としての「TAKE ME HIGHER」の立ち位置も好きですけどね。
Oyanagiさん : 僕も初期曲知らなかった頃からウルトラマンティガの影響で「TAKE ME HIGHER」だけは知ってたんですよ!でもまさか全部ユーロビートだとは思わなくて…。初期のアルバムを聴いてるとずっとカツ丼を食わされてる気分になりましたね笑。
SHU-TO : コンサートでもユーロビート曲は「ユーロビートメドレーのコーナー」でやるみたいな扱いになってますからね。でも、そこから音楽性が徐々にJ-POPっぽく変化していきますよね。
Oyanagiさん : そうですね。玉置浩二さんとかが参加されてから段々路線が変わってきて。だから僕はJ-POP路線に入ってからの曲の方が好きです。
SHU-TO : ちなみにKinKi Kidsはどうだったんですか?
Oyanagiさん : KinKi Kidsは母の影響で元々聴いてたんですけど、本格的に旧ジャニーズ楽曲を好きになってから改めて聴くようになりました。初期のシングルは「愛されるより愛したい」が好きです!
SHU-TO : 「愛されるより 愛したい」も馬飼野さんの曲ですよね。
Oyanagiさん : 僕、達郎さんに怒られるかもしれないですけど、「愛されるより 愛したい」が一番好きなんですよ笑。確か近田春夫さんも「愛されるより 愛したい」がお好きだって仰ってましたね。
SHU-TO : 近田さんってシンプルなJ-POP/アイドルソングがお好きですよね。w-inds.の曲も「Long Road」がお好きみたいですし。「硝子の少年」みたいなめちゃめちゃ暗い曲よりは「愛されるより 愛したい」みたいな少し明るめの曲がお好きなんでしょうね。
Oyanagiさん : 近田さんの考え方はそうですよね。アルバムだと「B album」が好きなんですけど、「A album」も好きなんだよな〜。笠置シヅ子さんカバーの「たよりにしてまっせ」とか。「こうアレンジするのか!」って思いました。
SHU-TO : 僕も少年隊の「三味線ブギ (市丸さんの三味線ブギウギのカバー)」初めて聴いた時「こうアレンジするのか!」って思いました笑。
Oyanagiさん : 「三味線ブギ」もアレンジ強いですからね笑。でも一番好きなのは2000年の「D album」と、アルバム曲の「欲望のレイン」ですね。あの曲は後輩たちが"2人組"で歌う伝統も好きで。
SHU-TO : 「欲望のレイン」ってサウンドがめっちゃハウスなんですよね。確か西城秀樹さんも2000年に「ギャランドゥ」のハウスアレンジをリリースされてたので、ハウスはこの時期流行りのサウンドだったんだろうなとは思います。
Oyanagiさん : 個人的にはKinKi Kidsは"フォーリーブスの系譜"もあるんじゃないかなって思います。"フォーリーブスの90年代版"みたいな。
SHU-TO : 確かにフォーリーブスみたいな「ちょっとマイナー調で暗め」みたいなコンセプトがありますよね。ちなみにこの後にデビューする「嵐のデビューコンサートのセトリ(リンク先はWikipedia)が凄い」って周りから聞いたんですけど、フォーリーブス/少年隊/男闘呼組のカバーが多めなんですよ。
Oyanagiさん : 旧ジャニーズグループのデビューコンサートは、「先輩の曲を沢山カバーすることで、事務所の歴史まで見えてくる」点が素敵ですよね。他のアイドル事務所には無い文化なので残して欲しいと思ってます。
SHU-TO : いや〜とても楽しい対談でした!Oyanagiさん、今日はありがとうございました!
Oyanagiさん : いえいえ!こちらこそありがとうございました!アツヒロさんのソロアルバム聴きますね!
◆企画/取材交渉/文章…SHU-TO.
(スポンサーさん&この連載企画を買ってくださる編集者さんガチで大募集中)
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回の
「SHU-TO. プレゼンツ
対談/インタビューシリーズ」
は、1月31日更新で、とある作曲家さんとの
「ニュージャックスウィングなJ-POP対談」
をお送りします!
次回もお楽しみに!
※この対談で話した錦織さんのエピソードの大半は錦織さんの自伝に載っています↓
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