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"1984年の松下誠さん"のアレンジの特徴

今回は1984年の松下誠さんのアレンジの特徴をまとめていきたいと思います!

松下誠さん
(ギタリスト/アレンジャー)

なぜ今回このような記事を書くに至ったかというと、
1984年の誠さんがアレンジされた曲、全部独特な質感があるような気がする…
と感じていたため、どうしてもその理由を解き明かしたくなってサウンドを研究してみました。笑

ごく一部ですがプレイリストまで作って
研究しました

それでは本編に移ります!

1984年の松下誠さんのサウンドメイクの特徴まとめ

※今回取り上げる楽曲は全て「1984年リリースの松下誠さんアレンジの楽曲」です!

①暗いキーでマイナー7thコードを多用
(しかもそれを"デカめのタイアップ曲"とかでされる)

この時期の誠さんの楽曲はマイナーキーの曲やマイナーコードが多用されている曲が多く、「暗く妖しい雰囲気の曲調」に仕上がっています。

具体例を挙げると、

クラッシュギャルズ「炎の聖書」
8月21日リリース
キー : Dm
マイナーコードとマイナー7thコードを多用
MIQさん 「エルガイム-Time for L-GAIM-」
1月21日リリース
キー : F#m
7thコードと#の黒鍵コード多用
少年隊 「感じだね…デラ」
この年の秋頃からCMソングとして放映開始
キー : Dm
マイナーコードとマイナー7thコードを多用

などの楽曲で用いられています。

しかも3曲とも
・人気女子プロレスのタッグのデビュー曲
・アニメのオープニング主題歌
・チョコレートのCMソング
というデカめのタイアップ楽曲なのにも関わらずダーク味のある雰囲気の楽曲に仕上げられていますが、恐らく「曲がカッコいい」「勇ましくヒーローソング感がある」という理由でOKが出たのだと思います。

まあここまで振り切ったサウンドとなると他のクリエイターの作品と被る心配もありませんからね…。
クライアント全員が"そういう音"を期待して誠さんに頼んでいると思います。

②フィルター系の鈍い音のシンセサイザーを多用

それこそ上記の3曲もそうなのですが、この時期の誠さんの作品には"フィルター系の鈍い音色のシンセサイザー"が多く登場します。

恐らく
ぶっとい低音のシンセサイザーで曲に妖しさを付け足す
という目的で使われていると思われます。その太いシンセでそのままグリッドサンドされたりもします。

中には太いシンセベースを用いてる曲もあったり、モーグ系のシンセサイザーをストリングス代わりに使われている曲もありますね。

③飛び跳ねる(シンセ)ベースとゲートリバーブドラム(シモンズ)

この時期の誠さんの作品は「リズム隊が物凄く跳ねている」という特徴もあります。

ベースパートは、
・めちゃめちゃスラップを多用する生ベース
・刻みを多用するシンセベース
を使われることが多いです。

また、ドラムパートも、
・ゲートリバーブをかけた生ドラムを使う場合
・シモンズ(電子ドラム)を使う場合
の2パターンがありますね。
「エルガイム」などの曲はシモンズを使われています。

また、リズム隊のアレンジもとても複雑でテクニカルなフレーズを中心に構築されています。

例えば杉山清貴&オメガトライブの「Misty Night Cruising」や近藤真彦さんの「ムシャクシャするぜ」もリズムアレンジがかなり複雑です。

杉山清貴&オメガトライブ
「Misty Night Cruising」
12月21日リリース
「ムシャクシャするぜ」
(構成や音作りはほぼエルガイムと一緒)
3月1日リリース

④細かくメロディアスで特徴的な音色のギター

この時期の誠さんのギターのフレーズは細かくテクニカルで、更にメロディアスなものが多いです。
音の運び方がとても美しく、ギターソロの最後は音を伸ばす形で締めることがほとんどですね。

ギターの音色は、ギターソロやリードギターの音色は少し歪んでいるのですが、基本的に大きく歪ませるようなサウンドではありません。

クリーン系のオクターバーやモジュレーターを駆使した音色をメインに使われて演奏されています。
少し"90年代ヴィジュアル系バンドのクリーントーン"とかにも近い気はします。心地よい音色ですよね。


今までに上の方で述べた曲以外でギターがカッコいい曲だと、

近藤真彦さん 「一番野郎」
3月1日リリース
いとうまい子さん「優しい絆」
2月1日リリース

などがあります!

⑤コーラスラインはいつも流れるような美しさ

これはこの年のAB'Sのアルバム「AB'S-2」の収録曲や、いとうまい子さんの楽曲で顕著なのですが、やはり誠さんはコーラスアレンジが巧みです。
この年の作品でも流れるようなコーラスラインを構築されていますね。

他の項で紹介した曲以外でコーラスラインが素敵な楽曲だと、

杉山清貴&オメガトライブ
「Stay The Night Forever」
12月21日リリース
(全体的なアレンジがエルガイムEDの
「スターライト・シャワー」
と似ていますね)
いとうまい子さん「ルーフに白いTシャツ」
5月21日リリース

などがあります!


結局何が「独特な質感」を感じさせるのか?

1984年の松下誠さんサウンドを研究した結果、
マイナーキー/マイナーコード×個性的なリズム隊/リズムアレンジ×メロディアスなクリーントーンのギター
の掛け合わせが、独特な質感を生み出している理由なのだと考えています。

また、こういう言い方をすると怒られるかもしれませんが、僕が考えるに恐らく
1984年の誠さんのアレンジは基本形が「エルガイム」なので、
・「炎の聖書」
・「感じだね…デラ」
・「ムシャクシャするぜ」
も全部「エルガイム」っぽさがあります。笑

また、こうして誠さんの1984年のお仕事を振り返ってみると
「これだけソロワークが忙しかったら翌年のAB'S脱退も納得できる…」
と感じました↓


まとめ

・1984年の松下誠さんサウンドの特徴は
「マイナーキー/マイナーコード×個性的なリズム隊/リズムアレンジ×メロディアスなクリーントーンのギター」。

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