#49 食べられるための本能 / Dreams shuttered for breath
あなたは脅威を前にして、意志とは裏腹に、
何も出来ない無抵抗状態に陥ったことがありますか?
STORY
01
むかしむかし、本が好きなウサギがいました。
頼みごとをすれば知恵を駆使してなんでもやってくれる、
とても便利なウサギでした。
02
そんなウサギのもとには、
たくさんの炎上したメテオが降ってきました。
ウサギは知恵の魔法を使いましたが、
消せば消すほど、より巨大なメテオが降ってきました。
03
メテオとの戦いに疲れたウサギは、
前戦を離れて、魔術書を編集する任務に当たりました。
ウサギは戦いの疲れを癒し、束の間の平穏を取り戻しました。
04
しかし、誰も食い止められなかった巨大な炎上メテオが
再び地球を襲います。
ウサギは逃げようとしましたが、
「戦え!」と迫られ、
逃げ場を無くしました。
05
ところが、意を決したそのとき、
ウサギに異変が起こりました。
メテオが迫り狂っているにも関わらず、
何故だか力が入らないのです。
戦うことも、逃げることもできません。
平穏を取り戻し、
ウサギには余裕があるはずでした。
なのにウサギは知恵の魔法を使うことが
出来ませんでした。
06
その時は、ウサギの身に何が起こったのか、全くわかりませんでした。
生き永らえたウサギは、後にこう振り返ります。
ポリフェーガル理論
ポリフェーガル理論をご存じでしょうか。
私は全く知りませんでしたが、1994年アメリカ生まれの理論だそうです。
ポリフェーガル理論とは、
でも私はもう少し汎用的に、生物的な安心の土台をつくるための知恵であり、脅威と向き合う自分を築くための神経レベルのアプローチと捉えて解釈しています。
凍りつく本能
先ほどのウサギのように、脅威に直面しているにも関わらず全くの無抵抗になってしまう状態のことを、ポリフェーガル理論界隈では「凍りつき」と呼んでいるそうです。
サバンナ的に言うと、いわゆる「死んだふり」。
コンピューター的には、「突然のシャットダウン」。
「背側迷走神経」という自律神経の内のひとつが、最期の生存戦略の砦を担っているようです。
土日に力尽きて寝込んでしまうのも「凍りつき」現象のひとつだそうです。
背側迷走神経が生命を維持するために強制的に休息命令を出していて、それが究極化すると「うつ状態」や、ウサギが体験した脱力状態になるようです。
人間がこんな状態になるとは、恥ずかしながら最近まで知らなかったので、はじめてこの脱力状態を経験したときは驚きました。(おそらく後遺症症状ですが)
そして仮説
この体験と、ポリフェーガル理論を元に、なんとなくの直感レベルですが、仮説が浮かびました。
前回、前々回と書いた下記の図がまた登場するのですが、一番下の段に該当する人々というのは、この背側迷走神経や腹側迷走神経(=自律神経)の土台が安定しないまま大人になった人達が含まれるんじゃないかと感じます。
というのも、著名な組織心理学者の5段階ピラミッド(Rethinking Style)を、試しに上図の右側(政治的)に当てはめてみると、左側のような恐れ(内面的)の段階が見えてきたからです。↓
進化の歴史を振り返っても、サバンナには脅威がたくさんありました。束の間でも安心安全を手に入れることは、我々を概念的な動物に向かわせ、イノベーションに繋げるヒントのように思えます。
人は、安心安全の土台を築いて初めて、
曖昧で未知なる世界を受け入れることができる
と言えるんじゃないかなと思います。
−−
ちなみに表紙はCanvaのAIで作成。イラストは指で描きました(笑)
お読みいいただき、ありがとうございました。
Dreams shuttered for breath
夢のために息を潜めて
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