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まこ
2020年11月8日 15:55
白いシャツが風に膨らんで、袖の方から抜けていくのが気持ちいい。ブレーキで微調整しながら、下り坂を勢いよく下っていくのはまさに爽快だ。風を切っていく。あれだけ満開だった桜も、いつの間にか葉桜へと変わっていた。僕は、青々と瑞々しい葉桜の方が好きだ。淡いピンク色の桜も“春”を盛大に彩ってくれているのは間違いないのだけど。土曜日の午前授業を終えた帰り道下り坂に沿って植えられている桜の木を眺め
2020年1月17日 20:24
明け方の街は1日を終わりきった表情でそれでいて、眠気まなこな表情で始まっていく。 路肩には、空になったインスタントラーメンの容器や、少しだけ入った缶コーヒー、吸い殻、まさに、【ゴミ】としか呼べない物たちが散らばっている。 どうせ誰かが片付けるんだろう 横目でそれらを見ていく人たちは皆が皆、そう思っているから気にもしない。 こんな事は日常茶飯事だったはずなのにあの日を境に胸を締
2020年9月10日 21:36
プルルルル…プルルルル…どこかで携帯が鳴っている。頭はまだ夢の中のはずなのに携帯の音が頭に響いている。手探りで、ベッド周辺にある携帯を探す。はい…賢二?すっごく天気がいいよ!海に行こ!海!聞こえてる?もしもーし!…わぁーー!突然、耳元が震えて目を覚ました。聞き慣れた笑い声の向こうに見慣れた顔がぼやけて浮かんできた。それは卑怯だぞ!やーっと起きた。も
2020年10月27日 16:19
ねぇ、ちゃんと聞いてる?寧々は少し膨れた顔で僕の顔を見ていた。ジョボボボ…とコップの底をストローで啜る音を立てながら、寧々を上目遣いで見た。もういい。幼なじみがこんなに恋で悩んでるのに、ちっとも気にならないんだね!いや、そんなことないって。じゃあ今、あたしがなんて言ったか言ってみてよ!いや〜、その〜。。。ほらね!涼介っていっつもそう。ごめん。で、もう一回お願いしていい
2020年11月1日 13:14
ヴーヴー、ヴーヴー。テーブルに置いていたスマートフォンが震えている。カーテンの向こうが少しだけ明るい。ようやく朝になりはじめた頃だろうか。瞼を開けきらないまま、ベッドから思いっきりテーブルに手を伸ばしてスマートフォンを見た。佳奈の笑った顔が画面いっぱいに映し出されていた。「もひもふぃ」「ごめんね、めちゃくちゃ早い時間に」「ほんとだよ。どうした?」「今日、彗星が見えるん