RZP Book Talk Vol.5 『りすの四季だより』あんどう りす 著 | 新建新聞社 刊
危機管理の難しさ
東日本大震災から10年です。人と家と町を押流した津波、絶望的な瓦礫の山―考えるだけで胸が締め付けられます。しかし、なぜでしょうか?災害用に用意した私たちの保存食は棚の奥でとっくの昔に賞味期限が過ぎていませんか?
私たちの多くは災害に恐怖する一方、継続的に危機管理ができる人は稀のようです。本書はそんな危機管理を、義務やマニュアルとしてではなく、日常の延長に取り込めるように説いた本です。
本書は危機管理の観方を変えてくれる
リョーザンパークプリスクールのディレクターの近藤直美さんはRZP Book Talkで本書を紹介し、危機管理と学びについて、次のように話してくれました。
最近の教育本は教育投資を謳う傾向が以前に比べて強いと感じます。必要とは思いますが、受け取る親の反応としては、理想論になるか、環境を作れる経済力の話になってしまい、生きることや学びそのもの、という本質的で身近な教育の価値が損なわれていると思っています。災害に限らず、危機では想定通りのことは起こらないので、自分の思考が試されます。本書は災害本に分類されますが、素晴らしいのは、日常にも災害時にも使用できる、機能性とファッション性を兼ねたレインコートの選び方に始まり、日常の延長に防災を置く、という哲学のもと、知識ではなく、仕組みを伝え、緊急時にも応用できる人を育てる、という本質的な内容になっていることです。
私も保育所を運営する人間として、こういったことを子どもや会員さんに伝えていくべきと考え、防災や危機対応を取り入れた遊びや育児プログラムを実施しています。公園で地震があったら頭を隠すのか?ガラスやブロック塀から離れるのか?近所の人に助けを求められるか?その場で判断できることが生存に直結します。防災は最悪の想定から始まる上に、実践は地味なので、敬遠されがちです。しかし本書はマニュアル知識や、危機を煽る防災プログラムに比べ、生存に直結する知恵を自然に学ぶことができますし、四季折々の日常に注意を払い、愛するきっかけを与えてくれるように思います。
危機管理は何からすればいい?
何のために学ぶのか?良い成績、良い学校、良い仕事、そして栄達、もちろんそれも尊い目標です。しかし、元はといえば、人間は危機を乗越え、生存するために集い、学んできました。それは現代社会では違うと言えるでしょうか?私はそうは思いません。私たち現代人は物やサービスを得る時、お金を媒介とするので、豊かさを享受するために、効率よくお金を得る知識や学歴を優先しがちです。しかし、本来は生きるために学び、集い、伝え合う、その活動の中で楽しみや喜びがあり、それが生きる、ということに他ならないのではないでしょうか?
本書は危機管理という地味な仕事の観方を変えるヒントがたくさん詰まっていると同時に、学びの本質が、我が家、あの店、あの公園、あの道、それら四季折々の日常を愛する、という活動から始まるのだと教えてくれます。ます。危機管理力を高めたい人はぜひ読んでみてください。
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【↓↓↓今回のスピーカー近藤直美さんの活動↓↓↓】
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