長距離重賞について~一口馬主的よもやま話
こんばんは、竜神です。長距離重賞は競馬の華なのですが、現在はそうでもない状況があります。今回はそういうお話です。【1917文字:読み応えがあります。】
新設G1は中距離のみ
ちょっと難しめの話になりますが、中央競馬のG1競走の増加の歴史が以下となります。
グレード制創設時
桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞、天皇賞(春・秋)、有馬記念、安田記念、マイルチャンピオンシップ、宝塚記念、エリザベス女王杯、ジャパンカップ、朝日杯3歳ステークス、阪神3歳ステークス。
この年に、天皇賞秋が3200mから2000mに距離が変更されています。1990年
スプリンターズステークスがGIIより格上げされて16。
1996年
高松宮記念がGIIより格上げ、NHKマイルカップ、秋華賞が新設され19。
1997年
フェブラリーステークスがGIIより格上げされて20。
2000年
ジャパンカップダート(現・チャンピオンズカップ)が追加され21。
2006年
ヴィクトリアマイルが追加され22。
2017年
大阪杯、ホープフルステークスが追加され24。
以上、グレード制が施行された後は2001m以上のG1レースは増えていません。グレード制が施行された時に、天皇賞秋の距離が短縮されたくらいです。
長距離戦は人気がない?
昭和の世では、天皇賞至上主義な時代が有りました。
その頂点に立っていたのがメジロ牧場です。有名な所ではメジロラモーヌ、メジロドーベル、メジロライアン等を輩出しています。
オーナーの北野豊吉は天皇賞制覇に強い拘りを持っており、長距離馬を指向した生産が行われ、「長距離のメジロ」として知られていました。
配出馬の中でも、メジロアサマから、メジロティターン、メジロマックイーンと続いた「父子三代天皇賞制覇」は、JRA史上の偉業とされているほどです。
ですが、今ではメジロ牧場は競馬界から撤退、解散となっています。
なぜこんな事に…。(ちなみに牧場資産などはレイクヴィラファームに売却されました。)
生産界のトレンドが変わっていく
一般的にスピードタイプの馬の方が成長が早く、早い時期からレースで活躍できると言われています。そうなれば馬を買った資金の回収も早くなります。現在は2歳戦も早い時期からOP戦や重賞が有り、その傾向はより強まっている(JRAも強めている)と言えます。
そのため、生産界ではスピードタイプの種牡馬の需要が高まりました。下手に長距離のG1に勝っても種牡馬としてスピードが足りないのではないかとみられてしまいます。(通常、スピードと長距離適性の両取りはほとんどないです。サンデーサイレンスですら若干スピードに寄っていると思います。)
長距離G1馬が、敢えて中距離以下のレースに使ってくるのもスピードが有る事を見せるためです。その位、種牡馬としての需要が低下している表れと言えます。
おのずと長距離戦には馬が集まらず、レースレベルの低下を招き、それがまた種牡馬の評価を下げてしまう、と地獄のようなスパイラルに入っています。
レースとしての魅力は今でも褪せない
種牡馬ビジネスの場としての長距離戦は今や瀕死の状態です。ですが、レースとしての魅力は未だ色褪せません。やはり人馬一体を表現するのは長距離戦が一番です。
お勧め春の天皇賞
2番人気ゴールドシップがまさかの出遅れ最後方
鞍上横山典弘はどう逆襲するのか…。
10人気イングランディーレは果敢に大逃げを敢行
強力なSS産駒群を出し抜く事は出来るのか
お勧め菊花賞
オルフェーヴルの3冠挑戦。
阻むものは現れるのか…。
この辺りから見始めて頂けると面白さに触れて頂けると思います。
まとめ
概ねビジネス的な観点で不遇をかこつ長距離戦ですが、別にレースそのものが面白くない訳ではありません。特に騎手の腕がモノを言う事も多いので、見る側もわかって見るとより楽しめます。
今回は無くなりつつある長距離戦について書いてみました。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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