I thinkなベーコンよりも、外部要因で揺らめきたい。
こんにちは、choco...です。
先週は出張の合間に、六本木の国立新美術館で開催されている大巻伸嗣さんの個展「真空のゆらぎ」へ行って参りました。
国立新美術館のコンセプトは「森の中の美術館」。
六本木という大都会の中にありながら、敷地内はたくさんの自然で溢れ、波打つ建物は自然光を全面に取り入れるガラスのカーテンウォール。
建築家、黒川紀章が手掛けた最後の美術館。
本当に美しく過ごしやすい美術館です。
ダリやマグリット、ミュシャ。ここで数々の名作と出会ってきました。
今回はあまり触れてこなかったインスタレーションの展示。
チームラボさんがデジタル技法を取り入れてからすごく広がった気がします。
インスタレーションとは、現代美術における表現手法の一つで、作品を設置した空間ごとアートとして提供するスタイルのことです。
ばえばえ言われる近年においては特に人気の出たジャンルではないでしょうか。
かく言う私も、SNSで大巻さんの作品を見て行きたいと思った一人です。
奥行のある部屋を遮るほど大きな作品。歩みと共にうつろう光と、深みを増す先の闇。
通路のような部屋が、吸い込みながら、延伸していくような。そんな不思議な感覚。
自分自身も揺らめく存在なのだと感じさせられます。
目を凝らすと、床にはたくさんのメッセージ。本当に光の具合と近づいてやっとわかるほどの薄さ笑
詩人・関口涼子さんとのコラボレーションのようです。この見えそうで見えない感じ、いいですよね。過ぎ行く日々に零れ落ちていく何かを連想させます。
お次はフォトグラム。
巨大な人体と明暗。
触れた先から光が波及していて、このコントラストによって立体となる。
触れなければ照らされない、そんな作品なんでしょうか。
今回最大の見せ場です。
巨大なポリエステル布をエアでなびかせる。
会場には壁一面に長椅子が置いてあり、皆さんそこに座りながら長い間鑑賞していました。
まるで波打ち際にいるような感覚。だけど静寂。
中央の天井に天窓。ここから光の束が降りている。
端から、ポリエステルの波際を歩く。わかった、これは深海の水底に寄せる波だ。
光の滞留と鈍重な波、重厚な静けさ。
今回のタイトルは真空のゆらめき、なるほど。
大巻さんは、同じインスタレーション作品でもタイトルを変えて展示してるようです。
今回の真空のゆらぎは事象の地平線とも表現されています。
事象の地平線とは、どうやら物理用語のようです。
難しすぎるので表層だけにしたいのですが、
宇宙でブラックホールが出来た際、その引力の影響範囲内にあるものは高速以上でないと抜け出せない。
つまり光であっても範囲内であれば吸い込まれてしまう。この影響範囲の境界線を事象の境界線と呼ぶようで、この線上にあるものは拮抗した力の影響で点となり存在するようになる。とのこと。
光の速さでわからねぇ。
大巻伸嗣さんは「存在」について追及、表現し続けている方です。
切り取った空間の中の残滓の表現を、私たちに解りやすくする為に色々な概念を介在させてくれているのだと思います。
実はこの個展、無料なんです。
12/25まで開催されておりますので、お近くの方は是非行かれてみてください。
「存在」を感じてみてください。