12月1日付『みなとニュース』(民主主義を勝ち取るための戦い/消費者から取っって株主へ?/お勧めの一冊『少年が来る』)
みなと隆介の近況:民主主義を勝ち取るための戦い
2泊3日で韓国へ行ってきました。11月20日の夕方発、11月22日のお昼着なので、在韓時間40時間のバタバタ旅ですが、中日の21日は韓国の高速鉄道であるKTXに乗り、韓国南西部の光州市に向かいました。
1980年5月18日から27日にかけて起きた光州事件。民主化を求める市民の蜂起を、当時の軍事独裁政権が武力で圧殺した事件です。街の中心部に「5.18民主化運動記録館」や光州事件も記念した広大な公園があり、ゆっくりと学び、そして散策してきました。
わずか44年前に、多くの市民が自国の軍隊により殺害された街を歩いていると、特に中高年の方には当時の記憶が鮮明に残っているのだろうなと想像され、そのような年代の方を見かけるたびに「当時どんな心境だったのだろうな」と胸が苦しくなりました。
同時に、普通選挙や民主主義は決して空気のように当たり前にあるものではなく、どの国にもその権利を勝ち取るための戦いがあったのだと、厳粛な気持ちになりました。
みなと隆介の視点:消費者から取って株主へ?
給料がなかなか上がらない一方で(8月9月の実質賃金もまたマイナスになっています。給与増が物価高に追いついていません)、株主への配当や自社株買いが増えていることはおかしいのではないか、と朝の宣伝などでお話しているのですが、実は配当増や自社株買いの割を食っているのは従業員や下請企業だけではありません。
先日、京阪電車は10%強の値上げを検討していると発表しました。この値上げによる増収効果は約35億円だそうです。しかし同時に発表された「株主還元策」を見ると、200億円規模の自社株買いを実施するとともに、株主配当は年間数十億円の規模で増えるそうです。
運賃値上げは人件費増や車両の更新投資のためのもの、との説明ですが、これでは実際には消費者(利用客)から取って株主へ回しているだけではないのか、会社の利益や金回りはまったく痛まないではないかと、びっくりしています。
京阪沿線の方には代わりの交通手段はそうはありませんし、運賃値上げが嫌だからと転居するわけにもいきません。公共交通を担う企業が、株主還元のために利用客に負担を求めるなど、言語道断です。
「強欲インフレ」という言葉もありますが、こんな株主優先の資本主義で本当に良いのでしょうか?
みなとお勧めの一冊:ハン・ガン著「少年が来る」
今年のノーベル文学賞受賞者、ハン・ガンさんの作品で、光州事件をテーマとしています。様々な形で事件の犠牲となり、またかかわった人たちの物語が数十ページずつの章立てで展開されています。拷問、心の傷、喪失の悲しみ、怒り、、、、登場人物の様々な思いに感情移入し一気に読みながら胸が苦しくなりました。