隆祥館書店 下半期(2024年7月~12月までの)ノンフィクション本大賞の発表をさせていただきます。(お客さまが、この期間に購入して下さったベスト10です。)
まず、ノンフィクション本大賞の発表をすることに至った経緯についてお伝えさせて下さい。
それは第1回となる「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2018年ノンフィクション本大賞」部門ができた時のことです。
テレビや新聞ではタブー視されて報道できないテーマでも本ならば、流通できるものがある。例え一般的には売れなくても、私たちなりに使命を感じて「ノンフィクション本」のフェアやイベントをしている隆祥館書店にとっては、このニュースは非常に嬉しく、スタッフ全員、興奮状態で、投票に参加しました。
私たちが選んだ作品は、ノミネート10作品にも選ばれました。さあ、いよいよ大賞です。ところがです、本屋大賞において、ノンフィクション部門に限ってはなぜか、二次選考は実行委員による投票で大賞作を決定するというのです。最後まで本屋が選ぶことができないという制度を知ってとても残念に思いました。
それぞれに素晴らしい作品が、ノミネートされていましたが、なぜノンフィクションだけは、本屋の投票ではなく、実行委員によって決定されるのか? 疑問が残りました。
実際、耳に入ってきたことは、「政治的なもの」は除外されたとのことでした。何をもって「政治的」と判断されるのか。権力に抗って闘っておられる著者、危険を顧みず現地を取材している著者に対して失礼ではないのかと、憤りを感じ、次回は辞退したのでした。
ちなみに、当時、隆祥館書店で二冊選んだノンフィクション作品『軌道 福知山線脱線事故JR西日本を変えた闘い松本創/著 東洋経済新報社発刊 』は、第41回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」を受賞しました。
また、もう一冊の『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実 旗手啓介/著 講談社発刊 』は、第40回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。とても嬉しいことでした。
(この二冊は実行委員による選定で本屋大賞を受賞しませんでした)
しばらくして2回目からは、書店員がノミネート全作品を読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票する方法に変わったということを知りました。
そして一昨年2023年からは、2018年以来5年間、続いてきた『本屋大賞 ノンフィクション本大賞』が、運営体制の変更により、実施を中止することになったといいます。
しかし、私たちは今こそ、ノンフィクションは、必要だと強く感じています。
隆祥館書店では、メディアでは報道されないことを書かれたジャ-ナリストの方々や、細かい分野の専門知をお持ちの方をお招きしてトークイベント(作家と読者の集い)をしてまいりました。
お客様から、本屋大賞のノンフィクション部門は中止になったけれども、隆祥館書店のノンフィクション大賞を発表して欲しいといくつかリクエストを頂きました。
そこで僭越ではありますが、それにお応えして、昨年、下半期(2024年7月~12月までの)ノンフィクション大賞を発表させていただきます。
第1位 「崩壊する日本の公教育」 集英社 鈴木大裕/著
第2位 「新自由主義と教育改革 大阪から問う」岩波書店 高田一宏/著
第3位 「中学生から知りたいパレスチナのこと」ミシマ社 岡真理/・小山哲・藤原辰史/著
第4位 「マイナ保険証6つの嘘」 せせらぎ出版 北畑淳也/著
第5位 「終わらないPFOA汚染」 旬報社 中川七海/著
第6位 「在日サッカ-、国境を越える」 筑摩書房 木村元彦/著
第7位 「ヤンバルの深き森と海より」 影書房 目取真俊/著
第8位 「国民の違和感は9割正しい」 PHP研究所 堤未果/著
第9位 「透析を止めた日」 講談社 堀川惠子/著
第10位 「フィンランドに恋して」みらいパブリッシング 伊集院 霞/著
隆祥館書店では、今回、ランキングされたノンフィクション大賞の本の展示と共に、それぞれの作家さんによる「お薦め本、3冊の棚」も併設します。
鈴木大裕さん、堀川惠子さん、藤原辰史さん、高田一宏さん、目取真俊さん、北畑淳也さん、木村元彦さん、続々と届く唸るほどの本のお薦めに、心が高揚してくるほどです。(只今準備しております。)
この機会に、ぜひお立ち寄りくださいませ。
皆さまのご来店、心よりお待ちしております。宜しくお願い致します。
隆祥館書店 二村知子
ホ-ムペ-ジ https://ryushokanbook.com