【はしがき】
「上・中・下」の三部作の長編になるのが予想されるのに加えて、その3つを更に「①・②」と細分化しないと書き切れないかもしれない、そんな夢を見た。
ボリューミーだった。コメダ珈琲のフードメニューの比じゃないぐらいには、ボリューミーだった。
本当は、「コメダ珈琲の~」とか、笑わせたいのか良く分からぬ例えボケをかまさず、即座に本題に移らないといけないぐらいには、ボリューミーだった。
ココ最近、「ポエム」と題して、人様にお見せするには不適格と思われる文章を晒してしまう精神状態が、そのまま夢となってあらわれたのかもしれない。そんな内容だったし、そんなボリュームだった。
良い機会なので、じっくりと向き合ってみたい。
誰のためでもなく、僕自身のために。
なお、タイトルの「鳴かず飛ばず」に関しては、今回は内容を端的にまとめるのが困難だと感じ、仮に一単語を当てるとすれば、これが最も相応しいであろうと判断し、そう銘打つことにした。
高校生の頃の夢を見た。
僕は、同級生の男女から、「イジリ」なのか「イジメ」なのか、どこに境界線を引くべきか難しい類いの、からかいを受けていた。
からかいの内容は、”ほっぺたをひたすら触られる”、というものだった。
どうやら、僕のほっぺたは、他の人と比べてモチモチしているらしく、つまんで伸ばすと、ビョーンってなったり、逆に押してみると、プニューってなったりするようで、それが面白いらしかった。
「イジリ」と「イジメ」の境界線が曖昧な理由としては、
1.人によって嫌悪感の度合いが異なる
2.頻度によって嫌悪感の度合いが異なる
3.触り方によって嫌悪感の度合いが異なる
ざっと、こんな感じだろうか。
具体例を一つ挙げておく。
「人によって異なる」というのは、自分が日頃から好いていない男子に触られると、ちょっと触られただけでも、どう触られたとしても、一瞬でイラッとしてしまうのに対して、密かに恋心を寄せている女子に触られたら、嫌悪感よりもむしろ、性欲的なナニカが刺激されて、”もっと触って欲しい”、なんて気持ちが芽生えないこともない。
ゆえに「何をされるのか」よりも「誰に触られるのか」という点において異なる。大体、そんな意味と思ってもらえれば差し支えないだろう。
ほっぺたを触られている僕は、みんなが飽きてくるまで、されるがままの状態になっていることが、ほとんどだった。
前述したように、一口に「ほっぺたを触られる」とは言っても、不特定多数の人物に触られるというのは、別にほっぺたに限らず、決して、気持ちの良いものではなかった。
しかし、Yに触られている時だけは、例外だった。
自分で言っておきながら、ちょっと気持ちが悪い表現だと思うのだけれども、”至福のひと時”、と言っても過言ではないぐらい、僕のほっぺたを触ってくれて嬉しいと感じる子が居た。それがYだ。
Yもまた、僕のほっぺたをプニプニして遊ぶのが好きらしかった。「男の子にはもったいない」だの「私のほっぺたと交換して欲しいぐらい」だのと呟きながら、押したり伸ばしたり、つまんだりひねったりしていた。
~「上②」へ続く~
※「上②」