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僕たちはもう二度と、友達には戻れないかもしれない

縛られるのが嫌いだから。
僕たちはそう言って互いに他の人と遊んでた。

別に特別なことはない。それが当然だと思ってたし、別れる時は別れるのだと思ってた。

どれだけ会える距離に居ても、どれだけ互いが暇でも、2人がそうしたいと思うまでは会うことも、ましてや電話をすることもなかった。

彼女との相性はよかった。
身体的な相性以上に、精神的に相性が良く、相手をストレスだと感じることもほとんどなかった。特に気をつかうこともなく、会ったときだけは互いに恋人のフリをする。だから互いに、このままの関係で良いのだろうと僕は思ってた。


彼女と付き合い始めて1年が経った頃、彼女から別れを切り出された。「本当はもっと一緒に居たかった」という彼女を「あぁ、そうか」と聞き流して僕は別れを決めた。

自分と価値観が合わなかっただけだろう。
世の中にはもっとたくさん女の人がいるし、彼女ももっと良い人が見つかるだろう。
僕は、僕の想像していた以上に冷たい人間として彼女のLINEを削除した。

「今夜飲みにいこうよ」

ありきたりで何のひねりもない定型文。
送り慣れたそのメッセージをその日も彼女以外の誰かに送った。

僕はそれからも誰かと付き合ったり別れたり
会いたいからと言い訳ばかりを考えて色んな子と遊んだりして過ごした。
彼女があれからどこで何をしているのかすら知らなかった。


彼女と別れてから2年が経った頃、彼女からInstagramでDMがきた。
交換はしてなかったはずだけど、アイコンが僕が撮った写真だったからすぐに彼女だとわかった。

「久しぶり、元気にしてる?」

久しぶりの彼女からのLINEを、僕は別の子と身体を重ねながら開いた。

「2年経っても何も変わらないね」

と彼女なら笑ってくれただろうか。


久しぶりに会う彼女は短かった髪を肩下まで伸ばし
ガシガシで指がいつも引っかかってた髪はスルッと指が通りそうなほど綺麗になってた。

友達ならずっと一緒にいることができると思って。

彼女はそう笑ってグラスに口をつけ、一通り楽しそうに笑って話すだけ話してから終電に乗って彼氏の家へと帰っていった。


僕たちはその日をきっかけにまた関係を始めた。
けれども、あの頃と違って彼女は必ず終電で帰るようになった。

会いたい人に会って、遊びたい時に遊んで
そんなふうに暮らしてれば幸せになれると思ってた

価値観が合う人とだけ仲良くしてようと思ってた


あの頃と違って幸せそうに生きる彼女と。
相変わらず寂しさを埋めるために他の誰かと寂しさを共有する僕と。


僕たちはもう二度と
友達には戻れないかもしれない

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りゅう
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