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メモ

三輪山の観音を見た。幻のような美しさは時代を駆け、場を越えていた。不変美とも言えるようなそれは誰にも悟られることはなく、六月の紫陽花を求める轡虫の恋心のように御遊びになられていた。朽ちぬ黄金は変わりゆく時代を照らしては、迷える民を導いた。その出立ち、その御顔、その眩耀、その指先、全てが三輪山に向けられていた。祈りの形は時代により変わってゆく。しかし、三輪山を信仰する人々の心は変わらない。私は瞼裏に浮かぶ三輪山を見ていた。

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