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世界はそれを愛と以下略

仕事帰りの道端に名前も知らない黄色い小さな花が咲いていた。何となくスマホで写真を撮って、何となく誰かに共有したいなと思って、LINEのトーク画面をスライドして君を見つけて、これはちょうどいいやと送りそうになる。この感情がおそらく好きということなのだろう。

たまに行くラーメン屋に入った。今週も一週間頑張ったから、今日はちょっとだけ贅沢をしてラーメンに味玉をトッピングした。麺とスープが絶妙に絡み合い、ひと口すするたびに幸せが広がる。味玉はまた格別だった。ラーメンに味玉が乗っていることは、僕の隣に君がいてくれるような幸福だなと思う。このナルシシズムがおそらく好きということなのだろう。

帰り道、見上げた都会の空の端っこにまあるい月が浮かんでいるのが目に入った。「月が綺麗ですね」「死んでもいいわ」脳内で君と短い会話を交わす。この妄想がおそらく好きということなのだろう。

久しぶりに君と二人で楽しく酒を飲んだ。少し酔って駅まで向かう道すがら、手を繋ぎたいような衝動に駆られた右手がムズムズして、うまく手を振って歩けない。駅まではあと5分。あぁこの5分が永遠であればいいのにと思う。火照った頬に当たる冷たい風と、耳を抜ける君の声が心地いい。この時間がおそらく好きということなのだろう。

ベッドに腰掛けてセフレがシャワーから上がって来るのを待ちながら、もし今シャワーを浴びているのが君だったらもっと幸福に包まれていたのだろうかとふと思う。この最低な気持ちも好きということなのだろうか。まあいい、そうだとしても一旦君のことは忘れることにしよう。

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うえぽん
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