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ネイバーアート3 アートに囲まれている②

アートに囲まれている①の続きです。
まだご覧になってない方は、先の投稿からどうぞ。→こちら

宮崎県新富町の富田浜の草地

富田浜の草地に立つと、そこと入り江や海辺とのつながりが読み取れます。いろんな、たくさんの存在がレイヤーのように重なりあい、「富田浜」というフィールドができあがっていて、個人的には、これはひとつの「作品」ではないかと感じています。

そんなことを考え出すと、新富の土や水、遠くに見える山々など。草地から見えてるものが、この「富田浜」に関わっていることを感じます。だって一ツ瀬川でつながっていますから。そうなると、目をこらしても見えないような、台風や海流が生まれる場所ともつながってるんでしょうね。こういうイメージ、大好きです。

このイメージ、すごく絵になります。これを絵にしないと!

話がちょっと大きくなりましたが、たくさんの存在がレイヤーのように重なってできあがる「富田浜」。その構造が「ばあちゃんの赤飯のおにぎり」と同じなんです。

先祖が切り拓いた畑でとれた作物。
光や風、気候や自然環境。受け継がれる伝統文化。
そこにある暮らしや営み。いろんな存在を味方につけてるような祖母。
それらが重なりあいできあがる「赤飯のおにぎり」。

草地、入り江、海辺の生き物。
そこにある固有の自然環境。
意識を広げれば、川でつながる遠くの山々。
感知できないくらい遠い場所からやってくる台風や海流。
それらが重なりあいできあがる「富田浜」。

富田浜も赤飯のおにぎりも、人間だけで作り出せるものではありません。
こんな偉大な作品をぼくは見たことがありません。

二つとも、ぼくにとってはすごく身近なネイバーアートです。
そんなネイバーアートを生み出す新富町や宮崎県がとても気に入ってます。
なんとも言えない居心地、うまく言い表せられないものがあるから。

宮崎県新富町の富田浜の入り江

ここには、当たり前にあるようで、とても貴重な存在があります。
日本各地の地方や地域、世界中にも、こんなネイバーアートはあると思います。いろんなところを周るキュレーターになって、みんなのそばにあるネイバーアートに気付くキュレーションをしたいです。

甲斐隆児 / アーティスト、ネイバーアートキュレーター
宮崎県出身。大学で油絵を専攻。子どもNPO法人、児童養護施設、農業などに従事。福岡県で緑地保全活動等に携わり、2021年に宮崎県新富町の地域おこし協力隊として移住。アートプログラムや新富芸術祭を担当。


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