【詩】速度
ワールドツアー中のバンドのボーカルがこんなことを言っていた
飛行機で移動するというのは実はとても不自然なことだと思う
体は海を渡って運ばれる
でも大切ななにかがこぼれ落ちてしまっているような気がする
速すぎる速度は体に悪い
そうか
時差ボケはなにかがこぼれ落ちてしまった体が上げている悲鳴だったのか
わたしには歩く速度がちょうどいい
自転車でも怖い
車は暴力的で
新幹線は走るたび世界を突き破っている
むかし読み囓った相対性理論
ついに光速を超えた先で
時間は遅延する
速く
もっと速く
その先に待っているのが遅延とは
なんという皮肉
あるいは世界からの警鐘なのだろうか?
体にやさしい速さで生きていけ と
世界は残酷でやさしい
諭されるぐらいがちょうどいい