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説明力を高める意義と実践とは?

さて、今回紹介するのは、こちらです。

 私自身、土居先生の著書をいくつか読んでいました。漢字指導法や音読指導法、指示について勉強させていただきました。土居先生は常に膨大な先行研究を根拠に、効果的な指導を提案されています。実際に試すと、子どもたちが本当に成長します。今回も、素晴らしい著書となっています。
 今回は「こうすれば説明力が上がる!」というハウツーではなく、土居先生による説明の本質のみを紹介します。その後、私なりの実践と組み合わせてみようと思います。

説明の役割

 土居(2022)では、説明の役割が三つに整理されています。
  ①学習内容の理解を促す
  ②学習内容を意義付ける
  ③子どもの説明力向上
 一般的に「説明」と聞くと、①を思い浮かべるかもしれません。①は、「平行四辺形は、向かい合った2組の辺が平行な四角形です。」のように、新たに学ぶ概念や用語を定義づける役割があります。
 ②については、向山(1985)が挙げる「趣意説明の原則」に関わる内容です。土居(2022)の例を参考に、私なら平行四辺形を学ぶ意義次のように説明します。

「平行四辺形やひし形、台形を学習しましたね。長方形や正方形を含めると、全部で五つの四角形を学習したことになります。辺の長さ、対角・対辺の関係、垂直と平行というポイントに分けることができましたね。こうやって、細かく分けて考えると新しく学習したことが理解しやすくなります。みなさんが九九を覚えているのは、5のだん、2のだんと分けて練習したからですよね。だから、今回は図形の学習で、分けて考える練習ができたのです。きっと、次の学習でも使えますよ。」

 土居(2022)は、「教科書や指導要領、指導要領解説の記述をさらに教師自身が深く追究し、解釈していく」ことで「学習内容を意義付ける」説明ができると考えています。では、私の例はどこに紐づくのでしょうか。
 まずは、学習指導要領解説の算数編です。

 (前略)平行といった直線の位置関係に焦点化したとき,平行が何組あるかに着目することで,図形を分類することが可能になる。四角形を取り上げると,一組しかない四角形(台形)と二組ある四角形(平行四辺形,ひし形)に分類することができる。さらに,図形を構成する要素である辺の長さや角の大きさに着目することで,さらなる図形の性質が見いだされる。

小学校学習指導要領解説 算数編 p.204 (太字は筆者による)

 さらに、総合的な学習の時間においても、分類の重要性がわかる記述を紹介します。

 「考えるための技法」とは,この例のように,考える際に必要になる情報の処理方法を,「比較する」,「分類する」,「関連付ける」のように具化し,技法として整理したものである。

小学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間 p.83

  考えるための技法として、「分類」が挙げられています。算数に限らず、他教科等につながることが分かります。土居(2022)が言うように、教科についての深い理解と追究をするためには、学習指導要領の内容をを頭に入れておくことといいです。
 ③のためには、子どもたちの説明力を上げるためには、教師がモデルになる必要があります。土居(2022)は、子どもたちが説明することで、「わかったつもり」を深い理解に落とし込めると考えています。 

リフレクション

 最近、自分の説明に疑問を持つようになりました。
「長いかな?」
「この例で伝わるかな?」
「今日の説明は、その場しのぎなものになってしまった・・・」
 そんな中で読んでいくと、ヒントがたくさん詰め込まれていました。非常にスッキリした内容で、明日から実践できそうな本に仕上がっています。

 聞き手に響く説明や話し方は、土居先生の著書をご覧いただければ、効果はすぐに出ると思います。ここに、私が考える価値を二つ付け加えてみたいと思います。

①周囲の人たちとの信頼関係とリスペクト
 これがないと、どんなにいい説明も相手には響きません。説明以前に、人としての在り方を問われている部分です。永松(2019)では、話し方の技術を上げることは、心を磨くことと説明されています。「この人の言うことなら、聞きたい!」と思われるような人間性を持ち合わせたいものです。

②逆算思考
 授業を「まとめ」から逆算して構成することがあるように、単元・学期を通して、どのような子どもたちを育てるのかを逆算して考えることが大事だと考えます。
 本書は理論と実践のどちらも書かれている素晴らしい本です。しかし気をつけたいのは、「本に書いているから実践する」「○○さんが言うから、これが正しい!」という思い込みは持つことです。これでは、思考が止まり、ただ追試するだけになります。
 一方、「具体例を使って説明できること」を課題としているクラスであれば、本書に載っている実践が役に立ちます。それは、子どもの課題と教師の見取りと本書の内容がマッチしているからです。
 マッチしていない場合は、どうしたらいいでしょうか?
 私は、自分自身で新たな実践を考え、試していきます。著書の内容を最大限活かし、なおかつ目の前の子どもたちに合った指導ができるといいと思っています。これぞ教師の醍醐味というように思っています。

おわりに

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。「文は人なり」と言われるほど、口から出る言葉を意識できるかと思います。みなさまも、ぜひお読みください。

【参考文献】
土居正博(2022)『子どもに一発で伝わる!説明の技術』学陽書房
永松茂久(2019)『人は話し方が9割』すばる舎
向山洋一(1985)『授業の腕を上げる法則』明治図書

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