見出し画像

損得を考えると尊徳にいきつく(のか?)

毎週水曜の早朝(7〜8時)に行っている、文化雑談会「トーキョーアーツのれん会」の話題を共有するnoteです。
前回は、渋谷のカフェ PUBLIC HOUSE渋谷で行いました。
※今後の予定やおすすめ書籍の案内は最下部にあります。

今回は、世界で観られまくっている映像制作会社「augment5」の井野さんが初参加。また、奥渋谷の開拓者「SHIBUYA PUBLISHING BOOK SELERS」(SPBS)の福井恵子さんや、芸団協さんの大井さんが久々のご参加でした。

まずは、改めて芸団協の説明から。(福井さんは元・芸団協)
芸団協=公益社団法人日本芸能実演家団体協議会は、芸能人(実演家)の業界団体の集合体で、" 俳優や歌手、演奏家、舞踊家、演芸家など、
さまざまなジャンルの実演家の権利を守る実演家著作隣接権センター(CPRA)事業と、実演芸術の振興を図る事業及び調査研究・政策提言事業等 " を行っている組織です。
▼芸団協とは

舞台に関わる人々の実態調査を行った際に、労災についても研究し、啓蒙のためのパンフレットをつくりました。

また、舞台スタッフについては、15の関係団体と劇場等演出空間運用基準協議会を組織して、初任者・管理職にもわかりやすい舞台技術に関するガイドラインや基礎的な教科書もつくっています。

映画の仕事もする伊野さんからは、日本で新たな、映画のユニオンを構想しているとのことで、現在煩雑な海外からのロケに対するルールや、リーガル面、賃金などのことを考えているそうです。
井野さんの「augment5」の映像では、東日本大震災後に海外の人達がどんどん日本から出ていってしまうことに危機感を覚え、オーストラリア人の友人を草津温泉に連れていき、その様子をノンバーバル(言葉なし)のビデオにまとめ、ネットに投稿し、このビデオは世界中でバズりました。
▼augment5 KUSATSU

福井さんは、かつてニューヨークに留学し、ダンサーのキャリア転換についての研究をし、身体が資本のパフォーマーたちが、怪我をしたときにそこから現場へカンバックをサポートするNPO「芸術家のくすり箱」を立ち上げました。今は、家業(SPBS)が忙しく、NPOの方にはなかなか関われていないのですが、くすり箱は着実に事業を進めています。アメリカ留学中には、AGMAという芸術団体の組合も参考にしたとのこと。
AGMAは、アメリカの実演芸術家の組合で、不当契約などへの対策(相談、対応)などもおこなっています。
▼AGMA - AMERICAN GUILD OF MUSICAL ARTISTS


続いて、井野さんは、最近羽田空港の仕事(アドバイザー)も始めたということで、そんな話題へと。
羽田は便数が増えて、都心上空を飛ぶようになったので、反対する住民への説明、関係性づくりが必要になってきていて、そういうときに文化コンテンツを通じたコミュニケーションの場を作っていくことなども考える必要があるということでした。また、空港に来る人達のアイドルタイムに刺さるソフトもいろいろとあり、こののれん会でも何度か話題になった、空港のピアノなどもいいよね、というようなことを話し合いました。
▼羽田未来総合研究所

福井さんからは、とある空港でディズニーミュージカルのアラジンチームとライオンキングチームが居合わせ、その場で歌のバトルが始まるYOUTUBEを教えてくれました。
▼THE LION KING & ALADDIN Broadway Casts Airport Sing-Off

さらに話題転じて、井野さんは、中国で二宮尊徳が評価されているという話題。ポスト資本主義やブロックチェーンを考えるときに、報徳思想が改めて参考になるのだとか。
▼教養として知っておきたい二宮尊徳(この本が良さそうです)

常連の生協前田さんからは、協同組合(イギリス発祥:適切な労働、品質価値が高いものを資本家に預けずに自分たちで支える方法)が日本に入ってきたときに、そもそも報徳思想などのコミュニティに根ざした考え方があったので、日本にも馴染んだといいます。

生協を利用している福井さんは、東日本大震災時には、本来東京圏で販売する品物を東北へ回したり、ポイント寄付などもあり、ごく普通に品不足も納得できたと話しました。前田さんによれば、ポイント寄付は、日常的に社会支援メニューとして用意しているということです。生協はカタログ+ネットショッピングだから、品物の文脈を知って買うことができる(消費者がどうやって産地とつながるかを伝える)という点もいいところだね、と話しました。
▼生協の歴史

また、演劇の世界では「こども劇場」の活動があり、絵本では福音館の「こどものとも」など、今でも共同購入的な手法で続いている仕組みが有り、これらは、情報過多時代に、信頼できるキュレーションを提供していると考えることもでき、再評価されていくのではないか、という話をしました。
▼こども劇場ネットワーク


▼こどものとも

AIなどのディープラーニングの結果、ひとりのその道のエキスパートが言う知見とほぼ同じことになるというようなことが起こっているという話もありました。将棋の羽生さんは、経験を積めば積むほど、無駄を捨てることができるといい、人が蓄える知識の大切さが改めて大事だよね、ということで話題が落ち着きました。

「組合」をキーワードに話題が進んだ朝でした。

2019.5.29 @PUBLIC HOUSE渋谷 6名参加

---------------------------------------------
【今後の予定】
6/5 両国門天ホール
参加はこちらから→ http://bit.ly/noren181
6/12 ALMOST PERFECT TOKYO(新御徒町)
6/19 PUBLIC HOUSE 渋谷
6/26 出張のためお休みです
---------------------------------------------
—おすすめ書籍—
ルールメイキング: ナイトタイムエコノミーで実践した社会を変える方法論
齋藤貴弘(著)
http://bit.ly/noren-rulemaking
一言コメ:のれん会にも参加する齋藤弁護士の初単著。文化関係者も必読!
---------------------------------------------


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?