旅日記11 タイ 離れられない街パーイ
まず初めに、前回の投稿から間も空いており、その間に
仲良くなった友達が数名いるので先に簡単な紹介をする。
自分:始めてパーイにきて4日ほど経ったあとメーホンソンに行き2泊したのち、パーイに戻る。さらにネパールへ行きますわさいなら、と言ってパーイを出た後
結局戻ってきてパーイに5泊。そんなこんなで宿に馴染めた。
シェーン:最初にパーイにきた時からずっといる。2ヶ月沈没中。
アイルランド出身。どことなく阿部寛に似ている。大体上裸。
ティム:最初にパーイにきた時からずっといて、急にいなくなった。多分ビザランしに行った。
UK出身。どことなく騎士の末裔なんじゃないかと思わせる話ぶりと髭が魅力。シェーンと沈没して1ヶ月以上一緒にいるだけあって仲よし。
すんごい小さいバックパックで旅をしているし、靴はブーツというこだわり。大抵上裸。
ザック:自分がパーイから降りてチェンマイに戻ったけど寂しくてパーイに再び戻った際にいた。
ウェールズ出身。どことなくドラクエの爆弾岩に似てなくもない。坊主。豪快ながらに子供っぽさを感じる。
セオドア:金髪で背が高い、普段ずっと宿にいる訳ではなく自分で割とコミュニティを広げていた陽キャ。なんとなくハリーポッターのセドリックに似ている。
ノルウェー出身。
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パーイでの生活は堕落的で理想的だった。私はCody Backpackersという町から20分ほど歩く若干離れた宿に泊まった。何日滞在したかはうろ覚えだが、延泊を重ね、
次の街にきてもすぐに戻るなど、合計して2週間ほどこの宿にいた。それほどまでにパーイでの生活は楽しかった。
徐々に他の旅行者とも打ち解け、朝から晩までマリファナを吸い、バーで騒ぎ、宿でみんな一緒に映画を見るなどして過ごす。自分はパーイの観光地にはほとんど行かず、とにかく自分の気分のままに生活した。今まで旅した東南アジア各所の中で、これほど心奪われた場所はなかった。雰囲気は昔のラオスのバンビエンに似ているが、もはやピッピータウンとしての魅力を失ったバンビエンよりも、パーイの雰囲気は魅力的だった。
とにかく堕落的な時間はあっという間に過ぎ、そろそろ重い腰を上げてネパールにでも行きますか、という気持ちになった。宿で仲良くしていた四人に明日でここを離れようかな、というと実は他にも明日離れる人がいて、じゃあせっかくだし今日はみんなでトリップしますか!という流れになった。
私はトリップと言ってもマリファナしか経験がない。しかも最近は四六時中吸いすぎて、以前のようなカウチノックはほとんど全くすることがなくなった。
夜中の12時、まだ騒がしいバーで皆次々にドラッグを持ち寄る。
マリファナやハシシ、笑気ガス、MDMA。
一緒にいたザックも明日離れるということで、上記のもの全て大笑いしながら試した後、街に降りてATMでお金降ろしてくるわ!と言って消えていった。
私はここで2ヶ月ほど沈没しているシェーンに声をかけ、実は初めてのマッシュルームを試してみたいんだけど、量や相場、入手先がわからないから教えてくれと頼んだ。
まかせろと言い放ち、地元のタイ人の民家に駆け込むと、彼らが売っているキノコを見せてもらった。
シェーンは、
「これは質が良く1gでトリップしてしまう。不安になることもあるだろうが、いつでもそばにいるから安心してくれ。」と言ってくれて、
それが非常に心強かった。
初めてのマッシュルームをむしゃむしゃと食べ、何も感じないなァと思いつつも宿に戻るとセオドアも戻っており、2人でさらに別のバーへ行くことにした。
本音は、自分がマッシュルームで錯乱してしまったらアブナイと思ったので一緒に言って面倒を見てもらおうと思っていた訳だが。
徐々に胃袋から周辺がゾワゾワしてきて、酒なんて全く飲むつもりはなかったので、水を頼みぼーっとしていた。
徐々に普通ではなくなっていく感覚に始めて大麻を吸った時のことをなんとなく思い出していた。どれくらいの時間が経ったのかも覚えてないな、と思ったところで
他の人と飲んでいたセオドアからそろそろ帰るかと声をかけられ、スクーターの後ろに座り宿に戻る。
その頃には今までに感じたことのないような不思議な感覚と、徐々に思考が細く細く、細切れになり、まさに自分の精神を旅するような感覚になっていた。
今が何時かもわからないまま、気がつけばベッドで寝ていた。寝ている間にセオドアが水を枕元に置いてくれたらしい。冷たい水が不安定な体によく染みた。
接種してからおそらく8時間以上経ってようやく、思考が正常に戻って来た。
朝日を浴びながらロビーに出ても誰もいない。普段ならここで誰かしらに会うのにだ。
しばらく待つとバイクでシェーンが帰ってきた。昨夜は結局散り散りになりみんなの現状をよくわかっていなかったのだが、
なんと昨日の夜ザックはお金を下ろしにいっている間にバイクで事故を起こし病院に運ばれたらしい。
改めてドラッグの類の危険さを感じたような気がした。と言っても貰い事故のような形で、そこまで重大な怪我を負ったわけではないらしい。時間もなく彼に会うことはついにできなかった。ビデオにメッセージを残し、お別れをした。
そうこうしているうちに今度はシェーンが慌て始めた。呑気に生活していたが、ビザの残り日数が後2日しかなかったらしい。大慌てで荷物をまとめて出ていくところだった。
昨日みんなで連れ立って遊んでいたのに、次の日にはみんなバラバラになってしまった。
旅をしていればこんなことは当たり前にある。なんだか少し寂しかった。
結局セオドアにも会えないまま、パーイを後にすることにした。
(※フィクションです)