くどうれいん 「うたうおばけ」読了。岩手に帰省した気分になれた。
くどうれいんさんを知ったのはSNSからだ。なぜこの著者さんが気になったかと言うと、私の地元の出身者だからである。
本名も工藤玲音だという。素敵な名前だ。れいん、という言葉の音が良いと思うし、玲音と言う字面もきれい。ご両親も言葉のセンスがあるのだろう。
「うたうおばけ」、これはエッセイ集だ。エッセイ集なのだから自身の体験したことや感じたことを書いているのだろうけれど、本当にこんなことあったの?というようなエピソードが多数。彼女の友人知人、そして彼氏さん。きっと彼女の人柄ゆえに引き寄せた人たちなのだろうな。羨ましくも思う。
私は岩手を離れて17年になる。その間に近隣の市町村は合併したりして、あれ、日本一大きい村って言われてた滝沢村って今は滝沢市なんだっけ、という感じ。祖母の家は村だったけど今や盛岡市だ。
岩手から離れた当初は一年のうちに何度も帰省していたが、子供たちが大きくなるにつれて帰省する回数は少なくなり、期間も短くなった。ここ数年は夏に1度帰省するくらい。今年はついにコロナのこともあってお盆に帰ることを断念した。
そのせいだろうか。「うたうおばけ」を読んで盛岡の描写が出てくると非常に懐かしい思いになり、時にはそんなお店あったかな?と検索して新しい発見をしてみたり。
この一冊でなんだか帰省した気分になってしまった。
帰省した時はどうにか時間を作っていつもお世話になっていた美容院に予約を入れ、おなじみの美容師さんにカットしてもらいに行く。その数時間にお互いの近況を話したり、最近の盛岡はこうなんですよといった情報をもらう。
その後、美容院を出た後は大通り商店街から駅までを歩く。「うたうおばけ」にもたびたび出てくる開運橋を渡る。OL時代に毎日歩いた道だ。
ある夏には映画館通りから大通り商店街、盛岡城跡方面へ抜け、肴町まで歩いた。街並みが変わったな、あのお店は無くなったなと、キョロキョロしながら昔よく行ったお店があれば訪ねながら歩く。
よ市をやっている材木町を家族で歩いてみたこともある。ここも、学校帰りや仕事帰りに時々歩いた。
さんさ踊りも帰省のタイミングが合った時に何度か行った。OLの時は会社の人たちとお祭りが良く見えるお店の2階を予約して、楽しかったな。
車で帰省すると約500キロメートル。休憩を入れて6~7時間。
住んでいた当時とは違って、盛岡駅周辺は道路も再開発されて様変わりした。近年では帰省して出歩くとちょっとした探検のようになる。
何十年もお世話になった場所になにもお返しできていないことが気がかりだけれど、地元の活気と発展はやっぱり嬉しい。
そして、くどうれいんさんのように発信してくれる人がいるというのは本当にありがたいことだと思っている。
作中に桜山神社近くにある、昔よくふらりと行った喫茶店リーベが出てきた。
昭和レトロな感じの落ち着ける喫茶店。店内に流れるビートルズ。
まだあったんだ。今度帰省したら絶対行こう。
忘れないように手帳の行きたい所リストに書いた。
近いうちに帰省出来ればいいなと心の中で祈りながら。