2024年度夏の青春18きっぷ旅行 4日目その2+5日目朝 夕日ケ浦 佳松苑別邸ふうかステイ
前回のあらすじ
轟雷。怪しい雲行き。IRいしかわ鉄道。ハピラインふくい。JR小浜線など。丹鉄こと京都丹後鉄道。雷雨の天橋立。知恩寺。大吉。みたらし団子。
本題に入る前に、旅の計画と夕日ケ浦について
※前回の更新から時間が経ってしまったので、おさらい。
今回の旅のメインは石川・加賀温泉(山代温泉)で、ここでの宿泊が能登半島地震の復興支援・応援に繋がったら嬉しいな、という思いで選定した。前口上はさておき、九州(南福岡)から石川まで青春18きっぷで向かうには、石川に向かう道中のどこかで1泊挟む必要があった。
早朝始発から終電まで乗り継いでも関西圏までいくのがせいぜい。そのため、山陽本線付近の宿をチェックポイントにすることにした。往路は倉敷、復路は呉。机上の計画では九州→倉敷→石川→呉→九州のルートで青春18きっぷの4日分(4回分)の行動で済む。
ところで、この場合青春18きっぷには残り1日分(1回分)の効力が残る。これを別の旅に充当することも可能だが、使う余裕がなくて使用期間が終わる懸念もあったし、都合の良い道中で寄り道して好みの宿に泊まることを企てた。今回の旅程を俯瞰し、寄り道スポットとして選んだのが前回の記事で訪れた悪天候の天橋立である。
天橋立付近で宿も抑えられたら良かったが、予算オーバーだったり、宿に風呂がなかったりして難航。宿に風呂がないってどういうことやねん。旅好きの知人に楽天トラベル以外の宿泊予約サイト(一休.comとか)を教えてもらいながら調べたが、なかなか予算内で良い宿が見つけられなかった。
こうなれば丹鉄宮福線で南下して別の宿を探すか、と丹鉄の路線図を見ていたとき、天橋立から西側へ向かう丹鉄宮豊線に「夕日ケ浦木津温泉」という駅名を見つける。同地観光協会の説明では、夕日ケ浦温泉は「海の京都」と呼ばれるエリアにあり、名前の通り夕日が美しい海沿いの温泉地だという。温泉なら石川で浸かる予定だが、温泉なんてなんぼあったっていいですからね。観光協会お墨付きの夕日は綺麗そうだし、それに、日本海側の京都なんていかにもツウな感じがあって良い。決まりだ、俺は夕日ケ浦に行く。
京都丹後鉄道宮豊線 17:22→18:15夕日ケ浦木津温泉着
回想おしまい。天橋立にて休憩がてら甘味処でみたらし団子を喫食した後、コインロッカーからスーツケースを回収。天橋立駅から本日の宿に向かう。西舞鶴の時点で丹鉄各駅では交通系ICが使えないことが分かっていたので、実は天橋立に着いた瞬間に夕日ケ浦に向かう切符を買っていた。旅行の移動がスムーズなことに越したことはない。
1時間に1本程度しか運行していないこの路線、やはり天橋立は鉄道より車とかで来る観光客のほうが多いんだろうなあ…と思いながら乗車する。乗客の3分の2くらいを学生で占めていた。日本三景と謳われる観光地を通り過ぎて通勤通学している地元の人たちだ。俺にとって青春18きっぷを介した非日常は、彼ら彼女らにとっては寄り道だってできる通学路の風景で、割と近くにある日常、後から振り返ったときに初めて分かる青春の背景一部。そして俺は、この1両編成の車両に学生と観光客が渾然一体となって青春の1ページに残ろうとしている。エモーショナル。ところで、車内は人でぎゅうぎゅう詰め。スーツケースで場所をとって申し訳ないし、彼らの日常に土足で踏み込んでいる気がしなくもない。すまん。
駅から歩いて宿に行く
駅では俺ともう一組、手持ち花火を抱えたうら若き女性ツーリストたちが降車した。俺が駅構内の足湯に浸かるかどうか思案している間に姿が見えなくなった。たぶん夕日ヶ浦の浜辺でキャンプとかしながら手持ち花火でエモい夏を過ごすのだろう。青春だね。
ここから宿まで、時刻的に送迎バスが終了しているので約1.3kmの距離を徒歩で向かう。もっと早い時間なら送迎バスもあったようだ。まあ、徒歩でも所要時間は約20分くらいだし、歩きながら日が暮れていく風景も見たいし、暑いことを除けば特にマイナス要素はない。晴れているからこそ歩ける。マジで雨止んで良かったな。自分の計画性の無さにヒヤヒヤしている。
ちなみに宿では朝食のみを予約している。宿周辺の飲食店は昼・夜はそれなりにあるが、朝は空いていると思われる場所がなく(探しきれなかっただけかもしれない)、最寄りのコンビニはこの駅の近く、つまり宿から徒歩20分の距離にある。朝だけはしっかりと宿でいただこう、という魂胆。
なお、宿での夕食の予約は予算都合でカット。前日の料理自慢の宿で食べた献立の余韻が薄れることも危惧していた。今晩何を食べるかが問題だが、財布の中身やこれまでのクレカの利用額などの現実が脳にチラついていた俺は、何を血迷ったかコンビニで値引きされていたオムそばを調達をした。ビジホに泊まるノリ。愚か。
ふうかのおもてなし エントランス編
駅から約1.3km、雨上がりの高温多湿な環境で汗だくになりながらスーツケースを転がし約20分ほど歩き、本日の宿泊先「夕日ケ浦 佳松苑別邸ふうか」に到着する。送迎バスが利用できる時間に来るのをオススメしたい。それか自家用車。
「一度良いホテルに泊まると終わるぞ(良い意味で)」とは先述の旅好き知人談。旅好きがそう言うのであればそうなのだろうし、百聞は一見に如かずということで、多少奮発して背伸びして選んだ(※注:知人の紹介で見つけたのではなく、Reluxでレコメンドされたのでこの宿にしました)。
もちろん、せとうち児島ホテルや葉渡莉やホテルききょうも上記のマインドに倣って「きっと良いホテルに違いない!」と思って選んだし、実際に眺望や温泉や部屋や料理が素晴らしい宿だった。今日の宿だってそうだろう。平凡な日常を脱して体験できる上質な空間や時間が良いホテルにはあるし、今日に関してはそれを味わうのが主な目的だ。
ロビーの圧倒的高級感を前に「こういうところに汗だくで入っちゃって良いのか」という逡巡すら覚える。分不相応だったりしないか、とか、ここってドレスコードとかあるんだっけ、とか、見当違いな不安にまで駆られる。それと同時に、形容する言葉が足りないくらいのトキメキをこの空間に感じていた。ただただ「俺は今、めちゃくちゃ素敵な経験をしているに違いない」という確信めいた気持ちでいっぱいになっていた。実際、チェックインの説明も上の空で聞き流してしまい、何度か「ごめんなさい、さっきのもう一回説明してもらっていいスかね……」と返してしまった。良い宿に泊まるという経験が不足しすぎて緊張してバカ丸出しになっている。
ふうかのおもてなし 客室編
1人で過ごすには贅沢な空間。1泊だけしかしないのはもったいないな~と思うくらい素敵だった。こんな良い空間で値引きされたコンビニのオムそばを食べるなんて風情がない、愚の骨頂である。学生時代ならこのエピソードだけで今後あだ名が「オムそば」になりかねない。
ふうかのおもてなし ラウンジ編
順番が前後してしまったけど、実は部屋を案内された後すぐに8階のラウンジに向かった。この滞在先での最大の目的である夕日を眺めるためだ。沿岸まで行って夕日が水平線の彼方に沈みゆく様子を眺めながら海の京都を楽しむプランとどちらが良いかを比較していたが、日没時間が迫っていたこともあり、イチから絶景スポットを手探りする賭けに出るよりは確実に良い眺めが見られる場所に直行したほうが良いと考えた。
ふうかのおもてなし 日没、夕焼け、ブルーアワー編
日没の様子を観察していると、意外と日が沈む速度って速いんだなと気付……いや、日が沈む速度というか地球が自転公転している速度によるのか……? 俺は理科ができなくて文系に進んだ身なので判然としない。この目で見た夕焼けの美しさくらいしか分からない。
夕焼けが瑠璃色に染まっていき、夜が近付いていく。夕日の美しさに心を打たれたり、空の色彩に感動したり、海や雲の流れで変わる風景に目を奪われたりしているうちに時間が過ぎていった。
ふうかのおもてなし 朝食編
日付は変わって、青春18きっぷの旅5日目である。前日の夜はブルーアワーを眺めた後に大浴場①に浸かり(他の客は早い時間に済ませたのか1時間くらい貸切状態だった)、オムそばを食べて寝て、朝早くに起きて客室の風呂に入りながら日本海を眺め、夕日ケ浦の海岸まで散歩し、ちょっと汗をかいてしまったのでまた大浴場②に浸かった。風呂は露天もジャグジーもサウナもあって極楽で居心地が良かった。写真がない説明が難しい。代わりと言っては何だけど、朝食前のひと時の写真を貼らせていただこう。
さて、朝食である。他の宿泊客の都合で食事処に8:30からしか入れないので、朝早くに起きて昨晩のうちにできなかったこと(館内浴場めぐりや夕日ケ浦散歩)を済ませた。それもあって割と空腹だったので、朝食をめちゃくちゃ楽しみにしていた。
宿を予約した時の説明では、「朝食は身体よろこぶ美活御膳」とあり、以下の内容のことが書かれていた。
最初に読んだときの印象は、「なんか多くない?」だった。それで、食事処『風水』の個室に訪れた際に出てきたのがこちらである。
多い。とにかく多い。給仕してくれた仲居さんが「ごはん足りなくなったら申し付けてください」と言っていたけど、釜には茶碗3〜4杯分ほどの量が入っていた。1人でその量が足りなくなることなんてないだろ。美活ってフードファイトなのか? かくして朝から男子高校生くらい食べることになった。先日の朝食ブュッフェで一般成人男性くらいしか食べられなかったことに対するリベンジマッチ。しかしながら、こんな立派なおもてなしを受けていいのだろうか。祝われている気にすらなっている(何を?)。
全部食べた。完食するのに45分くらいかかって、危うくチェックアウトの時間とか送迎バスの時間に間に合わなくなるところだった。とても美味しかったです。
かくして5日目がスタートする。続