ケイコ、目を澄ませて（２０２２、日本）

聾唖の女性ボクサーが東京下町のボクシングジムに所属し、周りの人たちとの交流をしながら、ボクシングをするというお話。

友達に勧められて観ましたが、渋いながら、とても良い映画です。

俳優が皆さん良い。主人公の岸井ゆきのはさすがです。ジムの親父役の三浦友和さん、元もとの人柄と役柄がマッチして、口数は少ないが優しさにあふれるオジサンを演じており、三浦友和の魅力がよく出ています。その奥さん役の仙道敦子も、若い時から好きでしたが、良い感じで年を重ねておられますね。その他のジムのコーチの人達も良い感じです。

映画の一番良いところは、主人公が耳が聞こえないため、色々な音を細かく拾っているところ。主人公が歩く道路を通っていく車の音、荒川をまたぐ鉄橋を走る電車の音などなど、音に注意を向けさせる作りになっています。

ボクシングについても、いくつか勉強になります。闘う気持ちがないまま試合をすると、相手にも失礼だし、選手にも危ない、という三浦友和演じるジムの親父のアドバイス。耳が聞こえないと、ボクサーとしては、セコンドのアドバイスも、レフリーの声も聞こえないことで、不利なことばかりとか。友達のボクシング好きから聞いてはいたものの、奥深い世界なんでしょうね。

エンディングも、とても地味ながらかっこよいです。ここでも、街の音が細かく録られています。

最近、なぜか好きな映画は日本の渋いものばかりです。昔はあれだけ、外国好きだったんけどなぁ。日本映画をもっと外国に売り出したいし、きっとその良さは伝わるはずだと考えています。がんばれ、日本映画界！