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【書評】久賀谷亮『ロスの精神科医が教える科学的に正しい疲労回復最強の教科書』

今回はロスの精神科医である久賀谷亮さんの『疲労回復最強の教科書』という本の紹介をしていきます。

私たちは疲れています。仕事、家事、子育て、学校、人間関係……様々なストレスを抱えて、場合によってはどれだけ体を休めても疲労感が取り除けないこともあります。

久賀谷さんはこの疲労は「脳」からきていると言います。
この本には、脳疲労を取り消す方法がたくさん紹介されています。

慢性的に疲れているな、心が休まらないな、という方!この本を読んで、脳から疲労を取り除き、最大のパフォーマンスを発揮できるようにしてみませんか??

本書の基本情報

基本情報

タイトル:『ロスの精神科医が教える科学的に正しい疲労回復最強の教科書』
著者:久賀谷亮(医師(日米医師免許)、医学博士)
出版社:SBクリエイティブ
価格:1,500円+税
ページ数:220p
ISBN:978-4-7973-9846-5

概要(「はじめに」より)

この本では脳科学を中心に、最新の科学的なデータに基づくことを十分に留意するとともに、比較文化的な視点も盛り込んでいます。それでいて、皆さんが今日からでもトライできるものばかりで構成しました。デジタルが人類を凌駕すると言われる「ポスト資本主義」の時代、これに押しつぶされることなく、うまく乗っていくための「近未来の脳の使い方」「疲労回復法」を学んでいただければ幸いです。

引用元:『疲労回復最強の教科書』「はじめに」より

おすすめポイント

今すぐに取り組める方法がたくさん載っている。

本書は、脳からきている疲労を解消することに焦点を当てています。
なので、意識改革や日常のちょっとした動作を変えてみようという提案が非常に多いです。

なので、休息のために「○○を食べよう」「寝心地の良い布団で寝よう」といった感じで、何かモノを買う必要はありません。

普段の生活の中で、ちょっと意識を変えてみるだけでOKです。お金がかからない、時間がかからないという点で、取り組みやすさはあると思います。ただ、ある程度の意志の力が必要になってくるので、人によっては”継続”するのが難しいかもしれません。

しかしながら、”意志力向上”にも効果があると言われているマインドフルネスの考えも取り入れた方法なので、取り組んでいく中で脳疲労が減っていくと同時に、意志力も鍛えられる可能性もあるかなと思います。

では、実際にどんな方法があるのか、いくつか紹介していきますね。

SNSで「いいね」をもらわない状態に慣れる。
⇒幸せは他人との比較で決まる。個人的で物差しがないものに投資してみよう。

「相対評価」ではなく「絶対評価」で考える。
⇒人が他人と比較してしまう事を「リファレンス・ポイント(相対基準)」、あるいは「リラティブ・デプリベーション(比較からくる疲弊)」という。他人との比較をやめてみましょう。

何もしない時間を味わおう。
⇒空白の時間ができると、そのスペースを埋めたくなります。その落ち着きのなさが疲弊につながります。空白の時間に慣れていきましょう。

「セイバリング」を行おう。
⇒セイバリングとは、”今”に座標軸を置き、今をポジティブに味わうスキルのことを言います。過去をネガティブに振り返ることは、脳の回路を膠着させ、創造性に必要な脳の柔軟さを奪う可能性があります。

森林浴をしよう。
⇒森林浴をすると血圧が下がったり、副交感神経が優位になったりします。自然と繋がりを持つことで人生の満足度が上がります。

他にもまだまだあるのですが、全ては紹介しきれないのでこの辺で。どれも科学的に効果が実証されているものですので信頼性はあると思います。

ここで紹介したものだけでも、実際に、今すぐにでも取り組めそうなものがあると思います。自分のライフスタイルに合わせて、実践できそうなものから少しずつ取り組んでいきましょう。

「考え方」や「見方」を変えるだけで、疲労だけでなく自己肯定感や対人関係にも効果がある。

本書に書いてあることを実践することで、「疲労回復」だけでなく、「対人関係の改善」にも効果があるのが面白いところだと思います。

アドラー心理学でも言われていますが、人間の悩みはほとんど対人関係からきています。

学校、会社、家族関係、友人関係……人は色んな場所で色んな人と交流しています。人と繋がることで幸福感が得られますし、また一人では達成できないことも成し遂げることができるようになります。しかし、価値観の違う者同士の交流は大きな喜びをもたらす可能性もありますが、同時にややこしい問題に発展し疲弊してしまうことも多々あります。

他者の価値観を受け入れることはもちろん大事なのですが、「振り回される」ことは避けなければなりません。
ここで、自分の意識改革がとても重要になってきます。

他人に自分の弱みを話してみる。

権威を無批判に信じ込まない。

人の心を読もうとせず、直接聞いてみる。

などなど…。

社会に無理に適応しようとしすぎて、自分自身を大事にできていないことが多々あります。不必要に他人を恐れず、時に自分の価値観も信じて生きていくことが、結果的に他者とのつながりをより豊かにしてくれます。

本書は、「対人関係で苦労している」という方にとっても非常に有益な本なのではないかと思います。

まとめ・感想

疲労回復というと、「休み方」「睡眠」「食事」に注目してしまいがちですが、「脳疲労」というところに注目して考え方を変えていく(柔軟にしていく)という提案をされているのが面白いですね。

意識改革は、やろうと思えば手軽にできますが、抵抗感を覚える方もいらっしゃると思います。まさにその抵抗感こそが脳疲労の原因でもあり、解決すべきなのですが……。本書には様々な方法が載っているので、自分にできる範囲で、自分にあった方法を試していってもらえたら、疲労が改善され、今より少し豊かな人生を歩めるようになるかもしれません。

科学的な用語も多々載っているので、理論を知っておきたい人も楽しめると思います。

では!!

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