【勉強ノート】【日本社会のしくみ】日本と欧米、雇用の特徴
この記事は「日本社会のしくみ」(小熊 英二:著)を通して勉強した内容のメモと、それに対する自分の考えをまとめた記事です。
今回は第二章から、日本と欧米の雇用の特徴についてまとめました。
学位と学校名
日本は学歴社会と言われていますが、著書によると実際に重視されるのは「学校名」であり、「学位」ではないと言われています。
ヨーロッパなどの欧米社会ではその職務に必要な専門性を持つ学位が重視され、昇進・昇給にも影響しているとありました。そのため、専門性を持つ人材が雇用されやすいことになります。
重要なのは「職務」に対して専門性を持つ人材が雇用されることです。
そのため、すでに「職務」が定まっているという特徴があります。
それに対し日本では「学校名」が重視され、取得した学位や「何を勉強してきたか?」が問われない傾向があると言います。
この際、組織に順応できる適応性を持つ人材が雇用されやすくなります。
組織ありきで雇用するため、雇用の際には従事することになる「職務」が定まっていないという特徴もあります。
学歴社会とひとことに言っても単に学校名が重視されているに過ぎず、そこで何を学んできたかは関係なくなってしまう。大学まで進学し勉強してきたといういわば「量的」な考慮がなされてしまい、「質的」な考慮がなされない。これはどちらがいいのか?というより、「何をしたいのか」「何のための勉強なのか?」と言った、目的意識において重要かと個人的には思いました。
メンバーシップ型とジョブ型
上述の学歴において重視する観点の違いはメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の違いにも現れているようです。
メンバーシップ型とは、初めに「人」を決めておいてその人に仕事を割り当てる形態。入社すると言われるように、その会社のメンバーとなること。
ジョブ型とは、初めに「仕事」を決めておいてその仕事に人を割り当てる形態。就職すると言われるように、その職に従事する。
すでにお分かりのように、日本はメンバーシップ型と言われています。
会社などの組織を優先し、それに順応できるかが重視される観点です。そのため、組織に入ったあとに割り当てられた職務にも順応できる、高い順応性・適応性が必要になります。
そこを判断するのが「勉強量」と言った「量的」な観点だったのでしょう。
対してジョブ型は職務を優先しています。優先と言うより職務をしっかりと定義していると言った方がいいかもしれません。
遂行してほしい「職務」が定義されており、それを遂行できる専門性を持った人材が必要になります。こちらは「質的」な観点となるでしょう。
まとめますと、
欧米はジョブ型であるので職務に対して職員を募集する
そのためはじめに「職務」があり、それにふさわしい専門性を持った人間を雇用する。→就職
この際重視するのは学校名ではなく、学位である
日本はメンバーシップ型であるので会社に対して社員を募集する
そのため「社風」があり、それにふさわしい適応性を持った人間を雇用する。→入社
この際重視するのは学位ではなく、学校名である
まとめ・次の疑問
第二章から日本と欧米の雇用の特徴について学びました。
学歴社会と言われていますが、量的なものであって質的なものではないと言うことは、漠然と感じてはいましたが、欧米との比較によってさらに理解できた感じはあります。
この学歴の「質」の差が、組織・会社の体制にどう影響するのか?疑問が出てきました。次回はこちらについてもまとめていきたいと思います。