【投資BOOKS】魔法の世紀(落合陽一)
「魔法のような金融政策を考えて実行することが使命ではない」
と、新日銀総裁の植田氏は発言された。
異次元の金融緩和の出口戦略に注目が集まっている。
昭和で魔法といえば、
奥様は魔女、魔法使いサリー、魔女の宅急便だ。
ハリーポッターシリーズは昭和にはまだない。
令和で魔法といえば、
現代の魔法使いとの異名を持つ、
落合陽一さんだろう。
最近、対話型AI関連で、ちょこちょこ落合さんの動画を見て、いまさらながら興味を持った。
多くの動画でワクワクする持論を展開されている。
落合さんの
『デジタルネイチャー』の概念を知りたくて、表題の問題作を読んだ。
落合さんの概念を要約することは難しいけれど、今、自分の考えを記録しておくことが重要と考えたので、投資家目線で感想をまとめてみたい。
落合陽一氏は頭が小さい
本を読む前に、3月に開催された
マネックス証券のお客様感謝Day2023の
第1部:特別鼎談
『Chat GPTの登場、AIの進化でGAFAMはどうなる?』に参加した。
場所は、村野藤吾が設計したグランドプリンスホテル新高輪の飛天。1,000人入る宴会場だ。
幸い、前から3列目に座れた。
会場はほぼ満席だった。
GAFAMにも触れていたが、
大規模言語モデルの可能性の鼎談だった。
この鼎談は、松本さんだから、できると思う。
野村證券や大和証券のトップマネジメントの中で、
ごまかしのきかない1,000人のリアル会場で、落合さんたちと鼎談できる人はいるだろうか?
おそらくいないと思う。
これがマネックス証券の強みだと思う。
リアルはやっぱり面白い。
清明社長は、背が高い。
落合さんは、頭が小さい。
松本ファウンダーは、ネットで見るのと変わらない。
大橋アナウンサーは、話の間の取り方が絶妙でうまい。
などリモートでは得られにくい情報を五感で感じられる。
これは、小さな画面の範囲しか見れないリモートに対して、リアルは、圧倒的に視野が広いからだと思う。
たとえば、
落合さんが先見性の高い発言をしたら、松本ファウンダーは、考え込み、会場がシーンとすることを生で感じられる。
生身の落合さんを見た後に、本を読んだ。
2015年出版の本なので、新時代に乗り遅れてしまったが、デジタルネイチャーの世界が目の前に迫っている気がした。
デジタルネイチャーとは?
魔法の世紀の世界観がデジタルネイチャー
本文の中で何回も言い換えられ、説明されるが、投資家としては、
人間とコンピューターの合弁会社のような世界
が、一番しっくりきた。
近代の科学により脱魔術化した社会が、
現在は、再魔術化されつつあると指摘し、
アートと技術を包含する概念を魔法と表現している。
本書は、有料のwebマガジンを書籍化したらしい。前書きと目次は公開されている。
前書きにも魔法の世紀の概念は、簡単に説明されている。
映像の世紀は人間が認知できるように設計されていたが、魔法の世紀は人間の感覚を超越し、人間を意識しない世界。
正直、中身がヤバイ。
落合さんのキャリアも異次元だ。
お名前の陽一もプラスとマイナスの組み合わせらしい。。。
人間にしかできないことがあるから、まだ大丈夫なんて、もう綺麗ごとの極致に思える。
以下は、「超」勉強法の野口悠紀雄教授の23年4月の記事だが、
『AI時代においては、「良い質問」が決定的に重要になるのです』なんて、まだ言っていて、もう既に100年ぐらい遅れている気がした。
野口教授が、何の基準で「良い質問」を決めるか謎だが、野口教授が1個、「良い質問」を出す前に、AIは、万単位?の野口教授の想像を超え、理解できないレベルの質問を提示しても不思議じゃない気がする。
落合さんの世界観を、咀嚼して自分の言葉でうまく書ききれない。
こんなときは、Bingさんに助けを求めるのが良いだろう。無料版のChatGPTでは、限界を感じるが、Bingさんは賢い。
うーん、Bingさんでも、まだ咀嚼できていない感がある。。。
デジタルネイチャーの投資家の歩き方
想定より加速されたシンギュラリティの到来。
どうする投資家!
IT業界に30年いたので、
昭和時代のコンピューターの世界観は個人的に持っている。
私の世界観は、
常に「あんたバカァ?」
と問いかける新世紀エヴァンゲリオンの惣流・アスカ・ラングレーだ。
ビジネス界でのコンピューター屋は、
黙々と働く労働者とその経営者に対して、
そんな仕事をやっていて、アホですか?
と耳元で呟く。
プログラム化すれば、10秒で終わる。
システムは、24時間稼働し、正確で疲れない。
或いは、
このビジネスモデルを今システム化したら、競合他社を1年で潰せる。
さあ、初期投資xxx億、3年でペイできますよ!
が、営業大好きボックス販売(HW,SW販売)。
アホのギャップが、大きいほど儲かる。
代わりにプログラム作りましょうか?
が、請負型システム開発。
代わりにシステム運用しましょうか?
が、IT運用一任。
代わりに業務もしましょうか?
が、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)。
金融業と少し似ている。
インフレ、低金利、年金減少などと不安をあおり、定期預金で貯蓄するなんてアホですかと罵倒し、貯蓄から投資へ向かわせる。
コンピューター屋の世界観を簡略化すると、
イシューに対して、モデル化し解決する仕事。
モデル化できるかどうかが肝。
真の課題を見つけ、汎化してモデルを設計し、
ロジックをコード化し課題を解決する。
その繰り返し。
デジタルネイチャーは、
そんな俗世界の課題解決ではなくて、
人間の認識できる範囲を超えた魔法レベルの課題に向き合う世界と理解した。
つまり、
量子コンピューターや自然が認識した課題に対して、見ることも感じることも理解することもできない人間が、
常に「あんたバカァ?」
と言われつづける碇シンジの世界。
或いは、新世紀・天才バカボンなのかもしれない。
(参)天才バカボン:赤塚不二夫の代表作。天才的にバカで純粋なボンボンとその父親のナンセンスギャク漫画
たとえ、バカとAIにいわれようと、
話は少しそれるが、
朝日放送の『探偵ナイトスクープ』での調査結果で、「アホ」と「タワケ」の境界線は、関ケ原にあり、方言は円周状に分布しているという有名な事実がある。
このデジタルネイチャーの概念が、どのように伝播していくのか興味深い。
人間界の様々な階層別に広がる予感がするけれど、正直わからない。
どうあがいても、津波のように全部丸呑みされると思う。
人間とコンピューターの境界を意識せず、
一体として存在すると考える自然観。
自分の創作物が、AIにしか読まれなかったり、聞かれなくても、創作する気概が必要になる。
嫌われる勇気ならぬ、無視される勇気が必要な時代が始まっている。
人工物と自然物の区別がない世界でのお金?投資??
正直、まったくわからない。
そもそも対話型AIでさえ、
次の文章がどうなるか予測しているだけなのに、まるで人間が回答しているような文章が生成されること自体が、解明されていないらしい。
考えるだけ無駄な気がする。
AIが分析できた時点で天啓のように教えられるはずだ。
ということで、
さらなる詳細は、落合さんのNoteコンテンツを見てください。。。
1つ面白い考察を見つけた。
日本は、この大きな波にも野口教授のように乗らず?乗れず?、独自の世界観を守り、結果的に異彩を際だたせる道もある。
映像の世紀の遺物のような『シン仮面ライダー』を作る民族、日本人投資家ならば、その可能性に賭けたくなる。
追記;
『シン仮面ライダー』を映画館で見た。
バッタ;自然
仮面;デジタル
本郷猛;改造人間
デジタルネイチャーの世界観が見事に表現されていた⁉
メイキングのドキュメント「シン仮面ライダー」も見た。
NHKの編集が大いに不満。
でも、日本的なこだわりに満ちている。
好みは分かれると思うが、日本はこれでいいと思う。
UHD版は、魔法のような最新AI技術を駆使した庵野ファイナルカット『シン仮面ライダー1.1ai』を出してほしい!!
(まとめ)
◇タイトル:魔法の世紀
◇個人満足度 ★★★★☆(4)
◇個人総評
読みやすいが論文調で少し疲れる。読みながら、もう数年で、学歴や年収やイケメンかどうかなどの旧態然とした相対評価は、何の意味もなくなる予感がした。下剋上の戦国時代なのか、理想のユートピアなのかは不明だが、ビジネスが変わるので、確実に投資環境も変わる。現在の投資手法は、過去の遺物となり、理想的なポートフォリオが激変すると思う。
この直近3年がビックウエーブになるか、封印されるのかの分かれ道の気がするので、こんな時代に立ちあえてうれしい。
地道に変化を受け入れながら、投資していこうと思う。
【今日のひとこと】
学校の成績が何よ。旧態然とした減点式のテストなんか、何の興味も無いわ!
(「新世紀エヴァンゲリオン」10話、惣流・アスカ・ラングレーのセリフ)
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