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【商品考察】ファンドラップ(4) ~悪評ベスト3について考えた~

数ある金融商品の中で、
悪名高いファンドラップに興味を持った。

興味があるので、
頭の中を整理する為にシリーズで書いている。

ダイワファンドラップを継続している理由は3つある。

・IT運用一任の経験から、投資一任に興味があるから
・投資方法は正しいと思うから
・生涯継続できるかもしれないと思うから

既に買っているので、
自分への言い訳というか、
サンクコスト効果のような感じでもあるけれど、

世の中のファンドラップ悪評ベスト3ついて、
自分なりに考えてみた。


ファンドラップへの悪評ベスト3


ネットで、よく見る悪評は3つだ。

1)コストが高すぎる。
2)投資は丸投げするものではない。
3)ブラックボックスでわからない。

ほとんどが投資一任フィーコストが論外で、
考えるだけ無駄というのがネットでの主張。
投資本で著名な方も門前払い扱い。

表紙には、
金融庁もダメ出し。
クズ投信を買うだけのファンドラップ

とデカデカと書かれている。

回転売買や仕組債などを長期間放置し、
へんてこなNISA制度しか設計できない金融庁がダメ出して、
なんか意味あるの?
って感じ。

よく金融庁の「資産運用業高度化プログレスレポート」の引用からの批判を見かける。
ほんとにアホかと思う。

・コストが二重構造で顧客の負担が大きいという指摘
 単に投資一任料がサービスとして追加されているだけ。
 美容院で、頭皮マッサージを追加するのと同じ。
・バランス型投信のシャープレシオの平均での比較で劣後している指摘
 平均で比較しても何の意味もない。
 劣後していない優秀なラップ口座を選択すればよいだけ。

 良い例がうかばないが、
 短距離走のタイムの平均の比較で、
 プロ野球とJリーグのレギュラー選手では、
 同じプロスポーツ選手でありながら、
 プロ野球選手の方が大幅に劣後するという指摘のような感じ。

そもそも、従来型のファンドラップは対面販売なので、

対面窓口へ行くな!

というネットの主張に従うと、そもそも買えないが。。。

そこまでになると本当に?と疑ってしまう。

3点目のブラックボックスに関しては、100%同意。
ファンドラップといっても1社しか経験がないので、すべてのラップ口座ではないとは思うけれど。。。

ほかには、
退職金投資での地雷商品、
元大手証券会社社員のぼったくり裏話や、
金融庁の回転売買の代替策としての問題視などなど

悪評はワンパターン化していて面白くない。

逆の意味で、こういう広告付きの記事には注意したい。

2点、反論するとしたら、
今の60歳と対面金融営業の評価が低すぎると思う。

60歳といっても様々だとは思うが、
退職金が高額ということは、社会に貢献してきたということ。

その中での経験値がある。
投資経験がなくても、判断能力はあると思いたい。

もし投資経験がなかったとしたら、
一番のネックは、金融商品の値動きへの耐性だと思う。
数10万下がっただけでも、経験がなければ過度に動揺してしまうだろう。経験があっても気分が落ち込むので。
ちょっと下がっただけで、すぐやめてしまっては意味がない。
そうだからこそ、むしろ対面アドバイザー(信頼できる友人等でも可)が必要だと思う。

また最近の対面営業、
特に野村證券さんは、変わろうとしているのがよくわかる。
野村證券さんの本気の行動規範を読んでほしい。

野村證券さんの昨年の満足度調査は、行動規範に沿ったものだった。
対面営業マンが行動規範から逸脱していないかを問う設問があり、その本気度には感動した。
行動規範逸脱を、忖度なしで直接顧客に安易に聞けるものではない。

沁みついた企業体質が、簡単に変化するとも思わない。
ただ、変わりつつあると思う。

こういう営業目的の浅い記事は、なくなって欲しい。
対面営業より、相当悪質だと思う。


さらに、他を批判しておいて、
自らの商材に誘導する内容のない記事。。。

上場企業で、こんな業務をする業界は他にあるのだろうか?
すぐには思いつかない。

わざと遠回りするタクシーのような感じの会社に、
一時期でも所属していた元銀行員の暴露話なんて、聞きたくない。

金融業界が、こんなレベルの記事を放置しているから、
投資が敬遠される最大の原因だと感じる。


1つづつ悪評について考えてみる。

1)コストが高すぎる


フィーが高くて、勝ちにくいのは事実。
勝つというより、減らさないというか、守っている感じ。

コストが高いというのは、
あまりにも乱暴な指摘で、
運用を一任した料金を支払うのは当たり前のことで、納得して買うかどうかだけの話。

新幹線で、
グリーン席にするか、普通席にするかは、自由。
グリーン席が高いというのは、変。


最近の日経の記事で、QUICK資産運用研究所が出したデータがある。
平均をとったこれも乱暴なレポートだが、雰囲気だけはわかる。

それにしてもQUICK資産運用研究所は、何を考えてこんな資料を作るのだろう?

ないよりはましというより、誤解を与え危険。
データ処理の切り口をいろいろ変えて、1位にした企業から何かもらっているようにしか思えない。

金融庁は5月に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」で、「高コストで安全資産の組み入れ比率の高いファンドラップについては、真に顧客利益に資するものか、商品性についての再考が求められる」と厳しく指摘した。

と記載しているが、
リスクの低いポートフォリオは、債券の金利に合わせてフィーを調整したり、外国資産の比率を上げたり、既に再考しているラップ口座は、益が出ている。平均で論じないで欲しい。

論点を明確にするために、65歳からの2つの切り崩しケースで比較してみる。

(ケース1)自力で75歳まで投資する。
(ケース2)ラップ口座で生涯投資を継続する。

比較する前提として、
・65歳時点で退職金2000万円を一括投資する。
・65歳以降、投資資産から、月6万円を切り崩す。
・(ケース1)は、75歳まで、自力で年3%運用する(75歳以降は年0%)
・(ケース2)は、年1.5%(コスト減額済み)、ラップ口座で運用を継続する。

上記の前提での資産寿命は、
どちらのケースともに、相続などの他の要因を考慮しなければ、
100歳ぐらいで、ちょうど同じように資金が尽きる。

リスクは、長く資産を市場にさらしている分、(ケース2)の方が高めだと思うが、(ケース1)にもインフレリスクがある。

iDeCoで積み立てた資金の年金形式ので受け取りとうまく組み合わせられたらベストだけれど。

何を言いたいかというと、

単にコストだけの比較では意味がないということ。
ラップ口座で年1.5%は、十分狙えると思えること。

75歳以降もボケていなければ、投資できるよとか、
ラップ口座の最低金額は300万だとか、細かいことは別にして、
要は、どちらにするかは、選択の問題だということ。


取り崩し計算は、以下のサイトを使用した。

生涯投資するとして、

対面証券会社ではなく、
ロボアドや、ネット証券+IFAなどの選択も当然ありで、
好みの問題だと思う。


対面証券会社も、ネット証券+IFAも、資産管理営業に舵を切っている。

非金融資産にも目を向けて決めれば良いと思う。


2)投資は丸投げするものではない


なぜなら、

丸投げでは、投資スキルが身につかないし、
コストの安いインデックスファンドで充分で、簡単。

ものすごく短絡的ロジック。

そもそも、
投資対象は、いろいろあるものの、

株式投資は、企業に投資する行為であって、
中身がよくわからない企業の株式を丸っと買うものだろうか?

コストがかからず、効率的にお金が増えたら
それでいいのだろうか?

上場していても企業の不正は絶えない。

それを、政府や金融村主導の「貯蓄から投資へ」のようなスローガンで、政府や他人が推奨するものだろうか?

無リスク資産は、
国債を購入することで、
x田政権のバラマキ政策への原資に
献上したいのだろうか?

そいういう意味で、
ファンドラップは、アクティブ型を選んではいる。

問題は、
丸投げの是非ではなく、

どうすれば運用会社を評価できるか?と、
運用会社側は、どうすれば投資の正当性を提示できるか?

だと思う。


まったく同じ議論がIT運用一任(ITアウトソーシング)でも繰り返し議論されていた。


3点目のブラックボックスとも関連するが、

要はやり方の問題。

個人レベルで、コモディティやヘッジファンドへの投資も含めて、高度な国際分散投資をとれるとは思えない。

プロを舐めてはだめだと思う。

ただ、大和証券のチームが、高度なプロかどうかは、よくわからない。
じゃあ、情報開示があれば、プロかどうかわかるのかい??

と問われても、直感と損益結果しかないとは思う。

IT運用一任は、プロセスとKPIと定期報告会で管理するが、
投資一任では、まだ運用が確立されていない。

今後に期待するとともに、
提供側が運用を確立できないなら、
自分で丸投げでない運用を作ればいいと思う。


3)ブラックボックスでわからない

最後に、中身がわけわからん問題。

ファンドラップの購入層は、3つに分かれると思う。

・営業員の提案で、中身をよくわからないで買ってる。
・投資経験のある富裕層が、深く考えずに適当に買っている。
・ファンドラップを好きで買っている。

とりあえずおためしで最低金額で買う人は除いて、
感覚的に、上から 

50:40:10
ぐらいの割合じゃないかと思う。

わけわからん問題が発生するのは、
3層目と2層目の1部だけで、少数派だろう。

1層目は、悪評に共感する層。そもそもわかろうとしていない。
2層目は、一任していて、元本割れしなければ、気にしないハズ。

3層目は少数派なので、
提供側も放置しているのだろう。

顔の見える運用をしているラップ口座は、ロボアドを除くと、三井住友信託銀行のファンドラップしか知らない。

三井住友信託銀行に直接確認したところ、四半期ごと対面での報告会(現在はリモートオンライン開催)で運用状況を報告している。すばらしい!

ただ、毎月、顔の見える運用をしていても、運用成績のふるわない、ひふみ投信のようなファンドもあるので、あればいいというものではない。

三井住友信託銀行は、サービス内容を明記していたり、他社より誠意を感じるが、中身は他社同様に見えない。隠すというより、見せ方が分からないような印象を受ける。金融業の視点しか持っていないことが原因だと思う。

これまであまり参考にならないと思っていた、
金融庁の資産運用業高度化プログレスレポートの2022年版に、
ファンドラップを評価する上で、参考になる記載があった。



調査の中で、主に投資信託で課題視された事例が示されている。
内容は、非常に生々しい。

[コスト設定と見直しが不適切]
・商品組成時におけるコスト水準の設定に当たって、他社の同種商品のコスト水準を比較するのみで判断するなど、個別ファンドの運用方針の違いや自社の運用実績も踏まえた判断がなされていない。また、運用状況に見合ったコストの見直しや運用を継続していくことの可否についての検討が適切に行われていない。

野村證券と大和証券の投資一任フィーは、同じ0.3 %だ。
ポートフォリオも、組み込みファンドも運用会社も異なるのに、同じ数字はありえない。

まあ、相手が、0.3 %なので、きついが、0.3 %でやるしかないという方が近いのかしれないけれど。

[不良ファンドの対応不足]
販売会社等の外部のファンド関係者との調整コストを理由に、長期に大幅なマイナスが継続するファンドであっても、社内での対応は運用手法の改善や運用担当者の交代等にとどまり、信託報酬水準の見直しや繰上償還の要否の検討など、商品性の課題についての抜本的な対応を行うプロセスや社内ルールが設けられておらず、外部のファンド関係者に対して組織的な対応を行うことができていない。

報告がないので、投資一任の中身は、ブラックボックスだ。
ファンド入替時の補足説明はあるものの、手を抜いているかどうか、資金が有効に使われているか、まったくわからない。

[体系的なプロダクトガバナンスの機能不全]
社内の部門横断的な品質管理の権限と責任の所在が不明確
なため、商品部門、営業部門、運用部門やリスク管理部門等の各部門の体系的なプロダクトガバナンスが機能しておらず、品質の検証プロセスに関する適切性の確認を行う社外取締役を含めた経営陣に対して十分な情報共有が行われていない。

ガバナンスが機能しているかどうか開示がないのでわからない。

IT運用一任では、品質管理プロセスは、公開する。
公開しないと運用レベルを示せないし、改善活動なども提示できない。

投資一任は、提案時に示されたリスク&リターン内のパフォーマンスで、数字さえ良ければ、問題ないとも言えなくはない。

IT運用一任でも、極端な話、使用するHWは中古でも要求されたパフォーマンスを出せるのであれば、何の問題はない。HWが、中古かどうかの報告義務は、通常の一任契約では必要ない。

投資一任も投資判断をAIでやろうが、天才的な新人でも運用成績がよければ文句はない。

ただ同様のサービスは、他社でもあるわけで、運用成績だけでは再現性が保証されないので不安だ。

少なくとも、

たとえば、批判されがちな自社ファンドのファンドラップへの組み込みに対しても、コスト的に顧客にとって有利であるのなら、しっかり説明責任を果たして欲しい。

コストは通常、2重構造なので詳細を公開できないのは、どの業種でも同じ。金融業も他業種を見習ってでも努力して欲しい。

[海外ファンドに対する精査不足]
本事務年度においては、国内の資産運用会社が海外ファンドに投資するに当たって、投資対象先の運用体制や運用実績について十分な検証が行われておらず、投資家に約束している運用が実際に行われているかについて確認ができない等、投資先選定時のデューデリジェンスやその後のモニタリングが不適切であった。

コロナの影響はあるだろう。
密室の中で、誰がどのように精査しているか少し気になる。

[検証体制の未整備]
他社比で特徴のある投資先を選定したいとの意図が先行する一方で、投資対象資産の特徴を踏まえた運用実態や財産管理の状況を十分に確認できるだけの知見をもった人員の確保を含めた検証体制が整備されないまま、投資が実行された。

体制まで指摘されると、なかなか怖い。

体制については、以下の日本投資顧問業協会のサイトで、たまたま見つけた。

投資一任業(ラップ業務)のpdfの中に体制の記載がある。
想像していたよりかなり少ない。



ということで、
金融庁の資産運用業高度化プログレスレポート2022からは、

・フィー設定と、見直しが適切に実施されているか?
・不良ファンドに対して、迅速で忖度ない対応がとられてるか?
・投資先選定時のデューデリジェンスやその後のモニタリングが適切に実施されているか?
・運用の知見をもった人員の確保を含めた検証体制が適切に保証されているか?

などの論点をいくつか理解することができた。

金融庁が推進する資産運用業高度化会議の中で、実際にこれらの課題が議論されているのは事実で、何かの機会で理解したいと思った。

これらが適切に開示されないのであれば、
長期のファンドラップの保有はないと思う。


まとめ


2007年の大和さんのラップ口座No1戦略が興味深い。
https://www.daiwa-grp.jp/data/current/qlink-855-attachment.pdf

海外では、すでに投資信託レベルに一般化ているようだが、
日本での庶民向けのファンドラップの歴史は、まだ15年くらいだ。

日本でのラップ口座の是非を問うには早すぎる。

学生時代、実験は、かならず3回測定して
平均値を採用することが義務付けられていた。

でも実験は時間がかかるので、早く帰りたい怠け者チームは、

2回は実験するか、1回は、公式での計算値を使い1回分の実験をごまかす。

たまに、例外値も出して、
教授をなるほどと、うならせることも怠らない。

そんないい加減な学生は、公式での計算を間違えて、実験で計算値に近いデータがでないので、実験をエスカレートさせ、実験器具の限界を超え、器具を壊してしまうこともある。。。


学生時代のようにズルしないで、

まずは、3年間を目途に、
ファンドラップを継続しようと思う。


【今日のひとこと】


「すばらしいあした」はきょうという日をきれいごとだけ...おていさいだけととのえてすごしていては永久にやってこないわ。血にまみれ、あせやどろにまみれ、きずだらけになって...しかも他人には気ちがいあつかいをされるきょうという日があってこそ...あしたは...ほ...ほんとうのあしたは...!

(あしたのジョー 白木葉子)


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